WHITE WHISPER Song of Trinity
リアクション要約
 
第1回R242
ハイランドタワー攻防記−ソーマ・アゴーサイド
担当:阿波座泡介マスター

 自調団のハイランド計画本部長であった二宮源太郎の葬儀は勝緒寺で行なわれていた。その休憩室で休んでいた柳春夫はあるものから手渡された手紙の内容にパニックを起こす。

 ハイランドタワーは現在工事中ではあるが一部は公開されていて、子供たちを対象にしたイベントも行なわれている。また、個人商店を誘致もしているのだが、テナントはキャンセルが相次いでいて大型店舗の他にはまだ2店しか開業を決めていない。また、イベントにもテナント出店者の対応にも管理部長で源太郎の長男・二宮晃が「暇だから」と自ら対応していた。

 「ヤタガラスの会」はソーマの「天鴉」の団体でハイランドタワーへの反対活動をしていたが、メンバーの松尾風が雷に撃たれて死亡した事から同じソーマの「蛇龍」を疑い、荒れていた。だがその場所に現われたアゴーの者が、雷は自調団の仕業である可能性を示唆し「雷を使う蛇龍が対抗して選ばれるかも」と発言した事から、一気にハイランドタワー襲撃へと話がまとまった。

 自然保護団体「メール・レユニオン」の主催者・海士宮(あまみや)美沙季は松尾風が死亡した時に現場にいたという。そのことについて話し合いをしようかと話していたところに「ヤタガラスの会」がタワーを襲撃するとの情報が入り、止めようと出かけていったが合流することはできず、タワー近くで待つことになった。

 夜のタワーには破壊活動を目論むアゴーやソーマが幾人か侵入していた。しかし建物は頑強であり、警備も厳重であったため、連携の取れていない個人行動では何の役にも立たないか、撃退されるだけだった。

 天鴉の攻撃隊12人はハイランドタワーへと飛んでいた。ヘリの放つミサイルは「騒霊」で操る小石で迎撃し、一気にタワー攻略に向かおうとした時、空中に放電が起こりそれに巻き込まれる。海士宮はその音を聞きつけ飛び出していく。松尾たちと合流しようとしていたものも現場に辿り着くが、そこでは「水蛇」と「雷龍」で暴れ回る狂戦士と天鴉の死体多数を目撃することになる。まだ息のある松尾を見つけた者は急いで狂戦士から逃げていく。一方で海士宮に同行していたが振り切られ、ようやく追いついたものは喉の他には傷がないのに服はボロボロになって倒れている彼女を見つけ、近付いてくる自調団を察知して逃げ出した。

 ハイランドタワー内のコンピュータにも侵入者があるが、それは「房州塾」を名乗り薔薇を投げて攻撃する筋肉ムキムキのタキシード姿の一団に妨害された。姿を隠してやり過ごして後を追うと、彼らはピコピコハンマーで戦う「アゴーのカヲルちゃん」と名乗る少女と戦っていた。その流れを見ていたものは、タワーの頭脳が地下にある事に気がついた。

 ハイランドタワーには来月大阪湾の夢州で行われるイベント「ウルトラレスキュー2000」の事務局も置かれているが、電話番をしている二宮晃が居眠りをするほど暇である。また、タワー運営事務局局長であった柳春夫は実権が総裁局に移ってしまい、繁華街で酔っぱらっていた。

 海士宮の異変には同じ蛇龍の者が「逆鱗」であると気がついた。「知覚者」である彼女の父は無愛想で、パーティーの最中にいきなり海に飛び込むような娘に仲間が出来たのを喜んでいるという。

 松尾鈴は治療を受けて帰って来てから、ずっと泣き続けているという。

 巷では梅田のエルプスユンデを襲撃したハルモニアを撃退したカヲルが十三の「ワイヤード」で見かけられたと噂が流れていた。


 流は商店会結成して反対派活動に対抗する勢力を作ろうかと思ったら、出店者がいない事態(^_^;)。次回はどうしたものでしょうね。

2000,11,27
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第2回R242
HLT攻防記−ソーマ・アゴーサイド
担当:阿波座泡介マスター

 十三の「ワイヤード」にはアゴーの「カヲル」に会おうと訪れたものがいたが、そこにいた「破壊を撒く者」シェルツに今日はいないといわれる。仕方なく一人で「ウルトラレスキュー」の現場に向かった者に、シェルツはまた来れば多分会えると言った。

 ハイランドタワー(HLT)運営事務局長の柳春夫は、実権を奪われて公園で過ごしている。彼に気がついたものは酒を飲ませてIDカードを手に入れたり、グチを聞いてやりつつHLTの話を聞いたりしている。それによると雷撃攻撃の正体はタワー屋上に設置されたGT砲であるが、タワーにはクラッキングを受けて正常に作動していないシステムがあり、GT砲が暴発したのもそのせいだろうという。また制振システムも異常が起こっていて揺れが止まらず、このままでは主体構造に損傷が起きる可能性もあるともいっている。

 そんな柳の噂をマスコミに流して記者と共にやって来た者もいるが、それに対し柳は「HLTの欠陥の為に二宮源太郎が死亡した責任を負わされた」と自分に都合のいいように伝えている。それを伝えるべく飛び出していったはずの記者は、少し離れたところからハルモニアのホーミングペンシルミサイルで攻撃をかける。それは居合わせた幻視者の能力で切り抜けたが、怯えた柳の言葉によるとそれは総裁の護衛で公安の津那兵庫だったという。

 「ヤタガラスの会」の松尾鈴の元にはタワーに反感を持つものなどが集まってきている。IDカードを手に入れたものが潜入して情報収拾しようというのに対して陽動を提案し、今にも出かけようとした時に現われたのは「メール・レユニオン」の海士宮美沙希たちだった。

 美沙希は松尾風が死んだ時、そしてこの間のタワー攻防戦の時に「空が変」であるのを感じた直後に雷が起きた事で異変を感じて飛び出したが、頭が真っ白になって詳しい事は覚えていないという。また、タワー攻撃の際には「怪物」を見ているともいう。そのことを包み隠さず話し合おうとやって来た美沙希に対し松尾は挑戦的に応じるが、「怪物」の話が出ると「自分に何かあったら美沙希を殺す」という話を「保留」にすると宣言、タワーへと出発していった。

 タワーの地下19階では階段が途切れていて進むことはできなかった。外壁を登ったものも80階付近で狙撃にあい、更に上からロープで降りて来た者達にタワー外へ突き落とされる。その間に狙撃ポイントは潰していたが戦闘自体は決着がつかなかった。その間に柳に化けたものは情報を収拾し、様子を見に来ていた美沙希たちも撤退を確認して帰っていった。

 災害対応演習「ウルトラレスキュー」では電光により破壊された街並みを「極限環境作業ロボット」に偽装した陸戦装甲が手際よく消火し、瓦礫を撤去していく。それは京都の破壊、制圧のための演習であった。

 「ウルトラレスキュー」の舞台裏では責任者の二宮晃が破壊された倉庫でパンツ一丁の姿で発見されたりしている。さらにデジタルウェブでも侵入者と防衛側のやりとりが繰り広げられる。それは防衛側が有利であったが、カヲルの登場で防衛側は撤退する。しかしカヲルも何があったのかベソをかきつつ消えていった。

 侵入者が持ち帰った情報によると、タワーは他は一般建材だが中央のチューブ状の柱のみトップシークレットで、おそらくトリニティー技術と思われた。地下には戦闘部隊のサポート施設と発令所があるはずであり、制振システムは99階と149階、199階の3機。そしてハイランドタワー内部は外部こそ修復されたものの内部は壊れたままで、80階から瓦礫を登って上がる事も可能なままにされている。


 流は柳のID奪って情報収集。そこそこいい動きが出来たかな。あと、交流してる方にR241いただきましたが、そちらでは侵入者が「柳」と表現されてたり、こちらで名前が出ていない方もあちらで名前が出ていたり、その逆だったり。いろいろと面白いです。

2001,01,22
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第3回R242
HLT攻防記3−ソーマ・アゴーサイド
担当:阿波座泡介マスター

 「樹」の天鴉の松尾鈴をリーダーとする過激派「ヤタガラスの会」の拠点のプレハブ小屋では「虚」の者達までもが集まり「理」に対抗する共同作戦を計画していた。それには同じ「樹」で「蛇龍」の海士宮美沙希をリーダーとする自然保護団体「メール・レユニオン」も加わっている。

 ハイランドタワー(HLT)では「中原中也展」が開かれ、大盛況であった。客として入場した「樹虚連合」は運営協力者の手引きで監視カメラの死角を利用し、上部へ進む。

 HLTには「アゴーのカヲル」を名乗る少女を連れてきた者もいる。だがその様子には妙なところがあった。また、管理部長の二宮晃を連れまわすものもいるが、仕事が忙しいと喫茶店で寝込んでしまう。「つまらない」といろいろイタズラをしても一向に起きない二宮の目蓋を開いてみると、彼の目は赤く光っていた。

 HLTのデジタルウェブではハッキングされてゲームに偽装されたトラップをクリアし、更にそれを使ってトラップを仕掛けていた。そこにダイブして来たカヲルはそれに引っかかり、足留めされる。

 地下5階ではライブに大勢の観客が入場していたが火災による煙が入り込み、それでも続けられた演奏で誘導放送がかき消された事で混乱する。その騒動に乗じてメンテナンスベースに入り込んだ者は避雷針からのアース線を切断する。

 地下6階の駐車場には陽動のため美沙希たちが入り込んでいた。だが「虚」の提案する無差別な破壊に美沙希が対立。「虚」の者は美沙希をまきこんでの爆発を起こして「陽動」とした。その結果、美沙希はエージェントに捉えられる。

 タワーは避雷針のアースが切断されたことで静電気を逃がす場所を失い、着陸しようとしたヘリコプターに放電してしまい不時着、セキュリティシステムにもダメージが生じて復旧までに240秒の空白が生じた。

 侵入したものは幸運が重なり99階の制振システムまで無抵抗で辿り着く。そこに2人を残して松尾たちは更に149階のシステムに向かう。松尾は共闘したはずの美沙希が合流しないのにいらだちを覚えていた。「理」側もそれに対応して戦力を集中。侵入側は制圧した制振システムを使ってタワーを揺らすことで突破口を開こうとするが、デジタルウェブを使って199階のシステムで中和される。だが、デジタルウェブでの力をそちらにも向けたため、カヲルは脱出してしまった。

 侵入側は結局99階まで撤退し、そこで美沙希が捕まったことも知った。また墜落したヘリのパイロット・幾島戒は居合わせた者に拘束される。そして「ヤタガラスの会」のプレハブ小屋は狙撃を受けてHLT元責任者の柳春夫が死亡。焼夷弾により火災が起きてプレハブ小屋も壊滅する。


 流は中原中也展に協力した運営側として侵入の手引き。でもリアクションの感じでは侵入を前提とした迎撃アクションが多かった感じもありますね。うまくはいっているのですが、無駄だったかもしれません。

2001,02,19
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第4回R241
HLT攻防記4
担当:阿波座泡介マスター

 ハイランドタワーではヘリが墜落して行方不明だった幾島戒が戻ってきた。それをむかえた管理部部長・二宮晃であるが、彼には「アゴーのカヲル」ではないかという疑惑がかけられる。「兄さんはアゴーなんかじゃないと信じる」という、実は異母兄弟だった幾島に対し「母さんと同じ、お前はアゴーなんかじゃない、アゴーが息子のはずはないって・・・僕は父さんのようになりたかっただけなんだ」と叫んだ二宮は意識を失った。その目を確かめ、"心喰らう者”の特徴である赤い光を放っていることを確認した幾島は葛藤しつつも銃を向けるが、空間を歪めて現われた大人よりも大きいサイズのフランス人形が二宮を抱えて逃げ出した。

 屋上に設置されているGT砲が京都に向けて発射準備が進みつつあった。地下50階の発令所には自調団総帥・神部宗一郎も姿を見せている。  屋上の警備をしていたものには、アゴーの「破壊を撒くもの」シェルツが襲撃してきた。”もうアゴーのカヲルと名乗る必要がない”というシュルツは無数のゴキブリに姿を変えて攻撃し、それに対して物理的に有効なダメージを与えることができない警備のものは撤退する。

 地下四十九階に捕えられている海宮美沙希を救出するべく松尾鈴たちが進んでいた。もともとハルモニアのホームグラウンドである上、通路を作るため破壊活動を行なっているので奇襲というわけにはいかない。そして外部で行動していたものが変電所を破壊したためおこった停電による、自家発電に切り替わるまでのタイムラグに乗じて美沙希は脱出した。

 発令所では「GT砲が最優先」という神部と「箕面市にも半分の電力をまわすように」という幾島が短い睨み合いを演じたが、「非常事態では現場が優先」という幾島に対して折れた神部は総裁室へ引き上げていった。

 制圧した制振システムに対して干渉してタワーを揺らそうという侵入者たちであったが、それは補助電力の回線に細工して電力をストップしたことで失敗する。

 地上149階では、戦闘していたものたちが二宮晃を抱えたフランス人形が登っていくのを目撃する。その能力でミラージュを覗いたものは、そこにカヲルがいるのに気がつく。カヲルは上を指差し、協力を求めているようだったがフランス人形はそのまま登っていった。

 脱出した美沙希はタワーの補助電源であるガスタービン発電機の前で松尾たちと合流した。だが、彼女らが集まる時を狙っていた者が狙撃、美沙希は能力で躱したが、松尾は胸に銃弾を受ける。美沙希は逆上し、周囲の被害の可能性を知りつつも補助電源を破壊し、タワーを倒壊させようという勢いだ。

 デジタルウェブの屋上ではカヲルが山口小夜子を磔にし、虐待していた。カヲルは宝箱の中の、京都が映った青い宝珠と、大阪が映った赤い宝珠を見せる。それはGT砲の制御プログラムであるらしく、カヲルは「王様が見ているのは青い宝珠」だという。

 地下50階の総裁執務室では幾島が電力不足を理由にGT砲の射撃中止を申し出ていたが、神部は発射を急がせる。また、駆け落ちした娘の子供、つまり孫である二人の山口小夜子がデジタルウェブから戻らず、山口康宏が重体であるとの報告を受けたが、「娘をフェダーインに殺されてから家族はいない」と言う神部は事務的に処理するよう指示を出した。

 そして幾島は総裁の態度に不安を覚え、アゴーであった二宮が何かをしていた可能性も頭に浮かべていた。また、今まで嫌がらせ程度しかしなかった事も裏があるように感じ、不安を覚えていた。


 今回は三勢力が一つのリアクションです。情報が分散していないのはいいんだけど、量は多いですね(^_^;)。オマケに時間も前後してるから。要約ではそれなりに入れ換えてますが、まだ完全ではないはず。流は二宮にカマかける方法とったけど、他のPCさんがズバリと指摘してしまいましたねぇ。

2001,03,19
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第5回R241
HLT攻防記5
担当:阿波座泡介マスター

 夕凪運送社長・山口宏重は大阪に向かうために京都を通過中だった。その山口の携帯電話に入ったメールには幾島戒の造反の可能性が記されていた。また、現在の自重団総裁の神部宗一郎にもアゴーの「カヲル」こと二宮晃に記憶操作を受けた可能性が出ている。それを何とかするための情報は手に入れているようだ。

 ハイランドタワーで銃弾を受けた松尾鈴の治療には、そのための能力者がいないので外部の病院に運ぶしかない。それについては海士宮美沙希の家の主治医が知覚者であり秘密も守れるということであり、海士宮も脱出に同行した。その陽動には「一般人警備員を呼び寄せる」という幻視者としては掟破りの方法まで使われた。

 また、その騒ぎに紛れて発電機の破壊も行なわれたが、補助発電機の一台を止めるに留まった。それはタワー内の電力不足を招き、テナント街への送電も中止された。これでHLTは都市としての役目を失ったことになる。

 地下50階の総裁執務室では神部がGT砲発射装置のトリガーを前にしていた。発射を止めようとするものや山口も入室して、総裁が膵臓ガンであるカルテを元に入院を迫る。だが「どうせ助からない」という神部は、なぜか充電されていたGT砲の照準器に捉えられた京都に向けてトリガーを引き、カウントダウンが始まった。

 タワーを破壊しようという試みも続けられているが、カヲルは「もっと面白い事をする」と破壊には手を貸さず、制振システムは200階にある一基に干渉することができずに手詰まりを迎えていた。

 屋上のヘリポートに二宮晃の身柄確保に来たものは、入れ替わっていたシュルツに捕えられる。また、デジタルウェブで捕えられていた山口小夜子を助けに行ったものは「涜心」を使われた小夜子に攻撃を受ける。小夜子はかろうじて攻撃を抑えたが、ほとんどの力を使ってしまい衰弱が激しく、ホワイトアウトも時間の問題だ。

 カヲルはGT砲の発射システムのダミーを作り、総裁が見ていた方は京都に向かい発射トリガーも繋がっているが、実際の発射プログラムは大阪に向いている。実際のGT砲も能力により偽りの方角を向いているように偽装されていて、それがわかったのは総裁によりトリガーが引かれた後だった。

 気がついた二宮晃は、夢で見た大砲が目の前にあるのに驚く。だが発射プログラムは「理」の懸命の書き換えにより、着弾地点を大阪市街の「大阪魔城」に変更することに成功した。神部は自分が騙され、更にそれを利用した者がいることに「長く生き過ぎた」といい、「ちょっと用事を済ませてくる」と姿を消した。

 そして山口は幾島を呼び寄せ、HLTの人員を自分の元に加える事を「要請」したが、反論を許す雰囲気ではなかった。


 今回も一本リアです。そして珍しいことに流は登場してません。名前がでたのと、結果が描写されているだけ。幾島を陥れる行動をして失踪するというアクションでしたが、こういう結果になるとはね。面白いなぁ。

2001,04,23
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第6回R241
HLT攻防記6
担当:阿波座泡介マスター

 ネットダイブから帰らない山口小夜子の父である夕凪運送社長・山口宏重はそれを見舞いにか医務室を訪れる。だが、社長は医師が電話を受けている間に姿を消した。その後、白衣が一着と医師の私物である包丁とが無くなっているのが判明した。

 そして山口社長はハイランドタワーに用意された宿泊室で死体となって発見された。死因は腹部からの出血多量によるショック死。生命活動停止からの時間が経っているためハルモニアの技術でも蘇生は不可能であった。その傷口は皮肉なことに診断を下した医師の私物の包丁であったが、彼にはアリバイがあり、内側から鍵がかけられていた室内は密室であり、状況からは自殺としかいえない。

 HLTでは貯水タンクを破壊して混乱を狙った者がいた。巨大建築であり、都市ともいえるHLTに蓄えられた大量の水は、隔壁で閉鎖された深地下施設には浸水しなかったものの、地下下水道へと流れ込んでいく。

 地下下水道では属性転換を起こしかけているハルモニアのエージェントに対し、自ら「けじめ」を付けようという自調団総裁・神部宗一郎の姿もあった。破壊衝動に突き動かされるエージェントとの戦いで神部は左腕を失う。そこに押し寄せた大量の水でエージェントは押し流されたが、神部はかろうじて引き上げられた。

 タワーに立てこもるソーマとアゴーの勢力に対し、幾島戒は大規模な掃討作戦を決定した。既にタワーへのダメージは深刻であり、もはや維持を前提とした作戦はほとんど意味がないのだった。そして開始された攻撃の惨状に、二宮晃の精神は崩壊、替わって「カヲル」が支配する。これ以上のタワーの占拠には意味がないと判断したカヲルはシューターを確保して脱出していき、同時にデジタルウェブの勢力も撤退した。数日後にデジタルウェブでの山口小夜子も発見され、操作を受けた恐れのある数ヵ月分の記憶を代償に現場復帰した。

 HLTは既に重大なダメージを受け、さらにはこの地域のドメインレベルの低下によるハルモニア技術の弱体化により、グレートカオスの過ぎ去った後の倒壊は避けられない状況だ。いまやハルモニアの目標は、いかに被害を出さずにHLTを解体するかに移っている。神部が指揮していたタワーの倒壊による影響力の低下は、ある幹部の漏らした「9月までに1000メートルのタワーを作れ」という課題をクリアでもしないと埋まらないだろう。

 そしてカヲルもタワー倒壊にあわせて行動しようとしていた。一般人に被害があったならば重大なことになるだろう。そして彼女らにとって、それが本物の破片での怪我でなくても構わないのだ。


 遅刻してしまって行動失敗。GWの最中では郵便事情が悪かったかな? しかしハルモニア側には選択肢が多くなりましたね。

2001,05,21
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第7回R241
HLT攻防記7
担当:阿波座泡介マスター

 大阪北部のある花屋は口コミで広がって地域限定ながら大ブームの「植物占い」の仕掛け人自身がアドバイザーとなり、大変な繁盛をしていた。仕掛け人は更なる発展を目指しているが、あまりに若いその年齢に企業では二の足を踏んでいる。

 ハイランドタワーの宿泊室で死体となって発見された山口宏重社長の死因についてはネット上でも怪情報が飛び交っていた。まだ本調子ではない山口小夜子はそれに憤り、自らダイブして発信源に報復しようと考えるなど、罠である可能性に指摘されるまで気が付かない有様だった。

 その山口小夜子は事件の調査をしていたものに状況検分の結果をこっそり知らされる。それは、山口社長は部屋の外で刺されたが、負傷に耐えて自室に入り鍵をかけ、自ら指紋をふき取った上で死を受け入れたのだろうということだ。まるで犯人をかばうように。そしてその頃、小夜子は「虚」によって操られていた。

 HLTの正面玄関には「HLTが欠陥建築」だという噂に躍らされた一般人が押し寄せていた。そこにまた、混乱を狙った爆発物が轟音を上げ、周囲はパニックに陥りかける。だが、幾島戒が自ら巨大な建機で現れて、全てはテロリストの仕業であると説明し、一般人は一応の落ち着きを取り戻した。

 存続のためには期限内に再度の営業開始を求められているHLTの地下50階では、再建の起死回生の策であるという「アシッド3」の検証が進められていた。そして判明したのは、それが特殊な鉄を生成するプラントであり、更に制御部分が未完成であるということだった。

 父である二宮源太郎の残したアシッド3に大きな期待をかけていた幾島は、それが特殊とはいえ鉄を生成するものだと知って絶望しかける。だが、元総帥の神部宗一郎は、アシッド3の使い方を説明する。それはドメインレベルに左右されるHLTのメインシャフトのC60構造体に、既存技術の最高峰のスーパースチールを組み合わせることで強化するものだった。

 それが今までなされなかったのは、これを使うためにはGT砲を撤去する必要があったからだ。GT砲を優先する神部の独断でアシッド3の計画は中断されていた。神部はそれを告げるとTSCへ向かう覚悟を決めたことを告げた。

 アシッド3の制御機構は既成の部品には合うものが無く、さりとて新たに作っていてはスケジュールに間に合わない。それに対し、小夜子はネットダイバーが直接制御を行なうことで解決しようとする。負担が大き過ぎるという声に小夜子は「私なら出来ます」と答えた。

 HLTは再建の為に動きつつ、現在の物を主柱を残し撤去しなくてはならない。だが、物見高いマスコミが侵入したりという些事にも悩まされる。そして幻視者の侵入者との戦闘の最中を狙い、最後の爆破が行なわれた。幻視者も逃げ出したが一般人を巻き込むこともまたなかった。

 海士宮美沙季の住むマンションには、偶然であるのか「アゴーのカヲル」となった元・二宮晃も住んでいた。それに神経を尖らせるものもいるが、療養中の松尾鈴たちを抱えた一同はなんとなく所帯染みてきている。

 異母兄である二宮晃との思い出の場所にやってきた幾島は、そこでカヲルと遭遇する。かつて異母兄弟でありながら結婚したいと言ってしまったために引き離され、監視されつつ育った晃が心の中に押し込めた思いが、かつて二人で決めた名前である「かをる」。それが目覚めてしまったことを告げるカヲルに、幾島は何もすることができなかった。だが、その光景は各陣営が様々な理由から目撃していたのだった。

 また、療養中でありつつもリハビリ名目で夜空を舞っていた松尾は巨大なヘリコプターを目撃し、それを追ってみた。それは夢州の広域防災センターへと着陸したという。


 流自体は派手な行動して無いけど、扇動はまあまあ成功。PC名こそ出てないけど結果は新聞にも載ってますし。

 しかし情報量がぐっと増えてますね。NPC達がハルモニアでさえ感情で動いてるのが複雑になってる原因かと思います。

2001,06,25
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第8回R241
HLT攻防記8
担当:阿波座泡介マスター

 トップが替わった自調団は配置転換に伴った混乱も起きている。それには対立勢力の情報操作も入り込み、神部宗一郎元総裁一党が幾島戒を使ってアゴー勢力と通じていたという疑惑を強めることになる。

 幾島はネオハイランドタワー計画の発表を行なっていた。新総裁の江梶降三により旧ハイランドタワーを「愚行」と言われるのは幾島にとってつらい事だろうが、ハイランドタワーの再建を進めるには孤立するのは避けなくてはならない。

 ネットダイバーを制御回路の一部として使う事で、スーパースチール生成プラント「アシッド3」は起動した。制御回路を交換する事でダイバーの負担を減らす工夫も施されている。

 アゴーのカヲルはシェルツの化けたカヲル達と外出していた。そこに属性転換を起こしたものが襲撃し、シェルツを本物と誤認して攻撃する。無数のゴキブリと化したシェルツはとどめを焦り「刻印」のある者まで攻撃に使い、それを潰されて死に致る。

 その騒ぎを聞きつけてやってきた幾島は、監視していた者によりアゴーとの関係を確定される。確かにカヲルに会いに来ていたのであるが。そして狙撃された幾島はカヲルが「具現」を使って運び出し、それに遭遇したソーマの海士宮美沙希が匿うことになる。

 TSC病理研究センターでは神部がサイボーグ化手術のため訪れていた。適性のない神部をサイボーグ化するには一度仮死状態にする必要があった。そしてその手術が終わり、蘇生作業に入っていたところでハルモニア内部からの襲撃を受ける。その結果、起動途中だった神部はどこかへ姿を消した。

 HLT工事現場には惡人の侵入者が現れていた。戦闘で地下49階まで落下してなお侵攻する惡人に、正体不明のサイボーグが応戦する。古武術を使うそのサイボーグは悪人を圧倒し、排除したが突然作動停止する。その鉄の仮面の下にあったのは神部の顔だった。

 夢洲の広域防災センターには巨大なヘリがあるという噂が流れ、野次馬も現れていた。警備の者は「世界に一機しかないヘリで、箕面でタワーの工事に使う」という。そのヘリも襲撃にあうが、それを牽制してHLT再建現場に到着した。

 山口小夜子はHLT襲撃の際、退避命令を無視して作業を続けたことで休暇を取らされていた。デジタルウェブには強くとも現実世界に疎い小夜子は、からまれていたところをアゴーの者に助けられた。その接触は小夜子を戸惑わせることになる。

 HLTは電波中継塔としての役目をいちはやく持たされ、便乗する形でFM放送局も設置され、ハルモニア側の宣伝を行なっていた。一方では地域住民の要望に応えてタワー周辺を緑地公園とする事も決まり、来月には一部解放されるという事だ。

 自調団内部では幾島や神部を襲撃した関西支部幹部が贈収賄の嫌疑で拘束された。そして幾島にも本部から召喚状が出ている。再来月の査問会に出席するようにという事だ。


 また今回も行動結果だけで本人の登場無しでした。冒頭での情報操作です。しかしやっぱりハルモニアのお家騒動だよなぁ。

 あと、植物占い関係もありましたが本筋にまるで関係ないとみて除外。これがあと2回で絡んでくるならこちらの読み違いですが。

2001,07,23
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第9回R241
HLT攻防記9
担当:阿波座泡介マスター

 ハイランドタワー再建現場付近に設けられた緑地公園では、巨大ヘリコプター「ワーク・ヘイロー」による作業がちょっとした見物となっている。だが、そこに訪れた客には少なからず体調を崩すものが出ていた。タワーからの電磁波や植物によるアレルギーの所為ではないかという噂も流れ、「植物占い」関係者の思惑は半分は成功したものの、残る半分の結果は不本意であっただろう。それも実は「虚」によるものであったのだが。

 自調団内部から狙われた「理」の幾島戒は、「樹」の海士宮美沙季に匿われ、そこには「虚」の二宮カヲルも厄介になっている。意識を取り戻した幾島は、神部総帥が大変なことになったと聞き、身体に鞭打ってHLTに向かう。それには「樹」と「虚」の者達も同行していたが、HLT側では情報戦に巻き込まれるのを恐れ、彼らをタワーに迎え入れた。

 回収された神部は、地下駐車場の大型トレーラー内でそのサイボーグの体の整備をされていた。だが脳の活動は殆ど認められず、孫の小夜子の名前に反応するのみだった。そして襲撃から逃げるために首が体から離れたままに起動された神部は、たまたまそこにいた少女を連れて逃走してしまった。この騒ぎの隙にタワー内に入った「樹」と「虚」はほとんど姿を隠したが、カヲルだけは堂々と捕えられ、「理」の監察から引き渡し要請が出ている幾島も謹慎を命じられる。また、神部の所在はつかめているが回収チームは全滅させられた。整備中で予備電池を積んでいない神部にとって、メイン電源の切れる時が死を迎える時となる。

 地下だけではなく、空中での戦いも行なわれた。「ワーク・ヘイロー」への攻撃は完全には行なえず、損傷を与えたものの修理は可能だった。だが、自調団本部からは京都侵攻のために「ワーク・ヘイロー」の供出が命じられた。普通の設備で展望台を取りつけ、作業を完成させるのは殆ど不可能だろう。

 タワーではおとなしすぎる幾島とカヲルにかえって不安を募らせていた。また「虚」との接触から心を乱す小夜子の姿も一部の者の知るところとなっている。


 まずは前回要約に付けたコメントの訂正。植物占いには「樹」の評判を高め、「理」への反発をさり気なく混ぜるという要素があったようで、ストーリーにまるで関係ないと読んだのは浅慮であったようです。

 流は緑地公園での暗躍。倒れた人も噂の内容も流の仕業です。

2001,07,23
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第10回R241
HLT攻防記10
担当:阿波座泡介マスター

 前・自調団総帥である神部宗一郎の葬儀は、権力を失っていたもの故に弔問客も少なかった。そしてそこには、本来いないはずの山口小夜子の姿が見られた。こうなるまでには以下のような事があった。

 サイボーグ体となったものの暴走して飛びだした神部を回収するべく出動したチームには、山口小夜子も含まれていた。そして「虚」の誘導により回収チームに攻撃をはじめる神部だが、小夜子の呼びかけに落ち着きを取り戻す。しかし、「虚」の仕込んだ「封爆」により制御の狂った神部はその手で小夜子の頭部を傷付ける。狂乱した神部は自らを破壊した。

 回収で手薄になったタワーではカヲルが行動を開始していた。外部からの攻撃に乗じて、仕込んであった「トロイの木馬」を発動させシステムをハッキングしたカヲルは逃げ出し、同じく監禁中だった幾島戒の部屋のロックも外れる。「具現」を呼出し脱出していくカヲルに合流した幾島は、カヲルに銃を向け、発砲した。妨害により急所は外れたが、幾島がカヲルを撃ったという事実は記録された。

 大型作業ヘリ「ワーク・ヘイロー」は懸命の引き伸ばし工作も実らず、展望台取りつけ前に柏木に貸し出されることになり、引き渡しの日を迎えていた。だが、そこにはやはり「樹」と「虚」の介入があった。外部からの攻撃で損傷し、内部でも乗っ取りが行なわれてワーク・ヘイローはタワーへと向かう。デジタルウェブからの介入で衝突は回避したものの、ワーク・ヘイローは墜落、火の玉となった。

 ハイランドタワーを巡る騒動は「理」によって歪曲された宣伝目的のドラマとなり、文字通りの広告塔となったネオ・ハイランドタワーの工期目標は大幅に緩和された。これは「理」が人々の心を掴まなくてはならない切実な事情があるためだろう。そして、神部の葬儀には、いまだ意識不明の小夜子の代役を立ててのイメージ戦略も行なわれている。そして本物の小夜子の体内には小さな命があった。

 植物占い関係者は熱心な信者も獲得し、ひとまず順調に動いているようだ。

 カヲルは海士宮のツテで大陸にわたり、一人旅をするという。一方で幾島戒も中央アジア情勢視察という名目で、某国外人部隊所属となっていた。

 その後、ある家庭で引き取られた子供はパソコンのモニタに向かって「ママ」と言っていたという。


 HLT、倒せませんでした。しかしプレイヤーサイドの現実世界で航空機が高層ビルに突っ込むテロがあった直後にこういうことに。ワーク・ヘイローを乗っとってHLTに突っ込ませようとしたのはウチのキャラです。アクション〆切は例の事件より早かったですからね。しかしなんというタイミングなんだか。

2001,09,25
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