2−3:ゲーム機やPCでRPGをやっている。

 現在日本で主流となっているRPGは、非常に大雑把に言ってしまうとプレイヤーが操るキャラクター達はシナリオの中でいろいろな役目をすでに与えられていて、いかにシナリオのクリア条件を見つけるかというものでしょう。クリア条件もある程度の強さを持つ敵を倒す事であり、経験値を稼ぐためにザコをちまちまと倒すといったものが多いと思います。また、繰り返しの戦闘に飽きさせないためにゲームの楽しみのかなりの部分を戦闘時の駆け引きによっているとも思います。

 さて、PBMではまずは形式がまるで違います。郵便で行うので、キャラクターの行動も紙に(大抵は文章で)書いて郵送し、行動結果も印刷物として返ってきます。また大きな違いとしてPBMでは行動を判定するのが運営側の人間であるということもありますが、その辺は後で触れることとし、前段落の項目について比較してみましょう。

 PBMでは一般的にキャラクターの役割はプレイヤーが決めることになります。役割が決まっている数少ないゲームでも選択する余地は残されています。ウィザードリィなどのようにプレイヤーが能力値を決定できるというだけではなく、シナリオの中での立場も(いきなり重要人物というのは大抵無理ですが)決められます。もっともそれはそのための条件があるというよりはキャラクターの行動によって決められるということになるでしょう。

 ゲームはシナリオの局面をクリアできなくても進んでしまいます。極端な話、何もしなくてもゲームは終了しますが、重要な局面でミスをしたならば、不利な状況のままに進んでしまうという事になります。やり直しも普通は効きません。シナリオは決められた期間があり、進んでいくのです。

 戦闘も重要ではありますが、戦闘の為の戦闘というのはあまりありません。シナリオ上必然性があって「戦闘になってしまう」場合がほとんどでしょう。その場合に戦術を考えて戦うのが有効という場合もありますが、大抵は毎回状況が変わってしまうので同じことの繰り返しとはなりません。戦闘によって経験値を得るというのも普通はありません。ボーナス的に貰える事はありますが、パラメータの調整はシナリオから外れた副次的行動として処理される場合がほとんどです。

 さて、ここまで触れなかったあと一つの大きな違いは、同じシナリオに複数、大抵は数十人の参加者がいるということです。ゲーム機等ではやはり自分が動かす仲間や、競争相手、ライバル達、場合によっては敵勢力すらも他の参加者が動かすキャラクターであるのです(余力さえあれば一人で全てをこなす事も可能ではありますが)。その相手の行動も他のプレイヤーが決定し、時にはシナリオ展開に影響を与えます。この複数の参加者のキャラクターの行動を総合して調整、判定し、描写するのが運営側の役割となります。

 他のキャラクターも(全てではないのですが)参加者が動かすキャラクターであるということでプレイヤー同士の駆け引きも可能になります。シナリオ内で無理にならない理由がつけられれば対向勢力が手を結ぶことも可能です。そのためもあり、行動結果にはプレイヤーの連絡先が同封されています。事情で非公開というプレイヤーもありますが、運営側を経由して転送してもらう事も可能です。

 また、参加者の多い商業PBMでは一つのゲームがいくつかのシナリオに分割されている事がほとんどであり、全体の情勢を大まかに伝えるための情報誌も発行されます。ここにも参加者の投稿欄があり、シナリオ情報交換が呼びかけられたりもします。最近ではWebの上での活動も盛んになってきました。ここのリンクだけでも数十個のPBM関連ページが登録されています。


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