帝都双月魔術陣:032要約


 
明示二十六年皐月(五月)
032:妖怪パラダイス
第1話(裏)「森羅の吸い方、教えます!」
担当:福山東次郎マスター

 銀座に開店した「露西亜パンの店」では半猿人や掌サイズのキキーモラが働き、露西亜妖怪婆のバーバヤガーが大鍋で天魔王ヴェータラを煮込んでいる非常に怪しい店である。だが、そんな裏のことは知らない銀座の人々は「食べた後もお腹の中でパオパオいう」シチーに群がるのだった。

一方、日本妖怪の店として堂々と開店した「妖怪パラダイス」では、新人の女給もたくさん入ってやはり繁盛している。ここでの人気は「雪娘の冷やした冷たいゾンビール」だ。また、指名料として「森羅」を吸われたものは一月ほど「元気がない」らしい。

 その「森羅」は妖怪には必須である。完全に無くなれば人間も死ぬようだが、半妖や人間には通常の食事でまかなえる物らしい。そして「森羅」は「ほとんどなくなって、もう復活しない霊力の源」だということだ。

 銀座には他にも給仕男がサービスをするカフェ「失楽園」も人気を呼び、また、正統派の西洋マナーを教えるという欧風カフェ「人形館」もオープンしている。

 「妖怪パラダイス」の売り上げは1000円を突破したが、妖怪であることを隠さない客もまた増え、同時に悪い噂も流れ始めた。いわく、女給達は不潔であり、病気がうつると。実際に森羅を吸われた者たちは体調を崩しているのだが、銀座から追い出したい勢力の意図的な情報操作もある。また、「妖怪パラダイス」の女給の一人ヨモギは失敗して街を歩いているところを「露西亜パンの店」に捕えられた。来月は「日本妖怪の壷焼き」がメニューに出るという。


 軽いお色気ものっぽい感じかな。まあなかなかいい感じかと。何がやれるのかはちょっとまだわからないけど。

2001,05,28
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明示二十六年水無月(六月)
032:妖怪パラダイス
第2話(表)「森羅の王国」
担当:福山東次郎マスター

 「妖怪パラダイス」には森羅を吸われ過ぎて寝込んでいる客もいるが、妙な料理(天魔王バジリスクの管のジェラートなど)に戸惑うほかはそれなりに楽しくやっている。そして、店員たちは「不潔な店」との評判を覆すために銭湯へと赴いていた。

 銭湯は貸し切りとされ「日本の伝統」である混浴となっていた。猫又のクズなどは抵抗するが、まだ珍しい石鹸なども使って互いに背中を流しあったりする。森羅が豊富な新大陸へ移住しようかという冗談混じりの話も出ていた。

 衛生的となった「妖怪パラダイス」は客が盛り返してきた。看護婦による診療サービスで体調管理も行なわれ、何を考えてか「森羅を吸われない対策」をして店員に挑戦するものなどもいたが、評判はおおむね良好である。また、人間からでなくアイテムでの森羅補給も試みられている。そして天魔王ジェラートには失われた森羅を補給する効果があるのもわかり、不謹慎にも天魔王の再来を望む者も出ている。

 クズは見かねたものの訓練により、踊らずに化けるとともにより大きな猫に変身できるようになった。そして「露西亜パンの店」に捕えられたヨモギを救出に向かう。襲撃は店を全焼させて一体を焼け野原とする火事となったが、ヨモギは救出された。

 「妖怪パラダイス」の支配人であるところのぬらりひょんは売上金を使って女を買い、森羅を補給していた。「これからは妖怪も金次第」というぬらりひょんは、憤りを覚えたものにより「露西亜パンの店」の焼け跡にて露西亜妖怪に引き渡されてしまった。

 森羅の不足に悩む妖怪たちは、森羅がまだ枯れていない国への移住を真剣に考え始めていた。だが移住にも先立つものは必要で、悩みはまだまだ尽きない。店の方は反対派が店から出た客に呪詛をかけて病人とし、騒ぎが広まったことで再び閑古鳥が鳴くこととなる。またヨモギは救出された際に催眠術をかけられており、ライバル店の「失楽園」へと移籍する。

 そのような要因が重なり、売り上げはそれほど伸びずに終った。そして露西亜パンの店の焼け跡には森の妖怪レーシイがやってきており、突然森が出現していた。


 妖怪を眼鏡っ娘にしようとしてみたりして。いや、仮面師の技術で森羅補給のアイテム製作出来ないかと思ったついでに、つけても違和感のない眼鏡にしてみたということなんですけどね。森羅を吸われて壊れちゃったけど。

2001,07,02
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明示二十六年文月(七月)
032:妖怪パラダイス
第3話(表)「妖怪パラダイス」
担当:福山東次郎マスター

 全世界的に見ても森羅の減少は見られており、日本はそれが早かっただけとも見られている。人間にとっては大地がある限り存在するわずかな森羅でも問題は無いが、妖怪たちにはそうではない。

 「妖怪パラダイス」は森羅補給料理などを試しているが、評判が落ちたために客は開始当初からの常連以外にはほとんど見られなくなっていた。それに対して飛行船を使った派手な宣伝、臨時の出し物も行なわれることになり、懸命の集客がされている。

 出し物は人と妖怪が心を通わせるという昔の劇だった。それ自体は好評で迎えられたが、終わりに「妖怪害毒論」を主張する者たちが集団で舞台に登り、抗議として「自決」する。それは反対派により操られた人々であったが、混乱は避けられなかった。

 ここに至り、妖怪たちは日本に見切りをつけ、慎国に渡る事を決意した。閉店が決まった「妖怪パラダイス」も移動の準備が始まり、店内はもぬけの殻となった。


 今回はボツですね。それはいいのですが、終盤の一般人虐殺でこのシナリオに嫌悪感をもってしまいました。残り1回で結果が気にならないわけではありませんが、撤退しようと思います。

2001,07,28
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