帝都双月魔術陣:034要約


 
明示二十六年文月(七月)
第一話(表)五十三枚の札
担当:虎井信盛マスター

 飛行機械と半人半獣の異形の者を使い女性を誘拐するという事件について、帝室顧問の中条蓮太郎が御簾の内の女性に報告を行なっていた。軍に知られないようにしているが、その娘は「連なる者」という血筋の物で「棍棒の十二」がついていたのだが力及ばなかったようだ。更にはこの件を「照らされざる者」に知らせることで動かそうとしている者も存在すると。

 「異形の神」を信奉する者たちが「神への供物」として市井の女子を掠っているという噂について、「無貌紳士」より情報を得ようという者達がいずこかへと集まった。円卓を囲みながら、誰の正面にも「無貌紳士」が座っているというあり得ない状況の元、無貌紳士は噂を肯定し、女性達が「とある血筋の者」だということも明かす。それを帝室顧問に繋がりのあるものならわかるはずということも。

 「特零」でもこの事件について動き出している。それは特級の秘密事項で軍内部でも漏れるのを許されないという。それを「夢見」で知ってしまった者に明かした言葉によると「この一件が議会やら軍上層部に知れると、この国がひっくり返るかも」ということだ。

 無貌紳士との会見では帝室顧問についての情報が明かされていた。書類上は宮内省の所属でミカドの周囲の者の身辺調査や、ミカドの個人的相談役となっているが、ミカドに近い者たちは出会ったこともなく、存在も知らない。その実体は「ある血筋」を守護する集団だという。その血筋の者がプロメテウスや異国の者に掠われたとなると、議会や軍の急進派に口実を与える存在だという。また、誘拐実行犯の翡翠面の男はエイル・ヴィックスと言い、獣人はハグアルというそうだ。

 そしてまたしても誘拐予告があったことがどこからか流れてきた。回船問屋「近江屋」の養女、しづが今回の対象である。そこに集まった者たちの情報交換では、飛行船自体は「黎明IV」と同型らしいこと、先の事件の被害者の大黒屋は頑に口を閉ざしていることなどがわかった。そして予告に備えて替え玉も用意された。

 満月の晩に襲撃してきたエイルの仮面が「パレンケの仮面」だというのは一部の者には容易にわかるものだった。地上に現れた獣人とも戦闘が行なわれ、替え玉ではあるが誘拐も成功してしまう。その現場近くには、最近噂の「手札にない男」も現れていたが、彼はのらりくらりと追求をかわしている。その様子からは戦闘に向いているようにはみえなかった。

 夜明け近くに替え玉となっていたものも逃げ出し、戻ってきた。ただし空中で飛び降りたところを拾われているので、行方はわからない。調査を進めているが、補給設備などがありそうな場所も存在しない。また、獣人たちを戦闘させたままに逃亡したにもかかわらず、気が付くとその姿が無くなっていたのも不可解な点だ。

 その後、屋台の飲み屋で管を巻くエイルが目撃されている。「美しい子はいないか」というエイルに酒場のオヤジは「浅草の白骨長屋の律っちゃん」と答える。それを聞いたエイルは走って去って言った。一足違いで彼を捕まえそこねたものに、オヤジは「横浜の居留地で聞けば」とアドバイスし、やはりその者も走り去った。そしてオヤジが怪しいと見抜いたものの前で、彼は「無貌紳士」へと姿を変え、闇に消えていく。


 情報量が結構多いですね。かなりが謎ですが、全3回の短期ですから予想を使って大胆にいった方がいいのかも。

2001,07,30
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明示二十六年葉月(八月)
第2話(表)「強き船の墜ちるとき」
担当:虎井信盛マスター

 エイルの操る格闘飛行船については、本当に脅威となるのはその機腕ではなく、それを機能させて余りある強力な機関部だとの見解が示されていた。

 「照らされざる者」達はエイルの隠れ家を急襲したが、倒すまでにはいかなかったということだ。そして、今まで事件の起こっていた満月の日の前日、予想された白骨長屋の少女・律の家には予告である白羽の矢は打ち込まれなかったが、その余裕がなかったのだろうと警戒はゆるめられていない。

 エイルの格闘飛行船に対抗するため、自分たちで飛行船を用意して武装と機腕を装備する者もいるが、急遽装備された機腕はエイルの飛行船のものには劣る。

 そして夜空に格闘飛行船が姿を表わした。同時に地上には獣人たちが現れ、照らされざる者たちとの戦闘に入る。その獣人を打ち倒し、意識を覗いた者は「猫や鼠」というイメージに混乱する。

 格闘飛行船の本体に攻撃しようという者もいるが、その一人の言う「ひっさつぶき」は時間がかかるそうで、時間を稼ぐ必要がある。そして様々な手段で攻撃に入るが、その格闘飛行船は幻影であった。それに気が付くとすぐ、いくつもの格闘飛行船の姿に囲まれることになる。

 事態が変ったのは新たな2機の飛行船が参戦してからだった。それに積まれた計器は幻影を見抜き、本物を識別する。その他の撹乱もあり、戦況は互角となっていた。

 「ひっさつぶき」は気圧を急激に下げることで台風を作るのを目的としたものだった。それは台風にこそならなかったものの、強力な高速下降気流・ダウンバーストを産む。空を飛んでいたものは墜落していくが、格闘飛行船はそれでも上昇して逃走しようとする。それに対し鋼鉄線を機腕に絡みつかせて止め、制圧しようと乗り込んだ者たちもいるが内部の罠にかかり、撤退していく。そして格闘飛行船の機関部と操舵室は分離してどこかに墜落していき、船体は攻撃により爆発した。

 獣人たちの正体は、エイルの魔術により額に翡翠を付けられ、姿を変えられた動物(今回は猫)だった。それらは朝日と共に本来の姿に戻るが、他の動物でも可能なのかはわからない。

 墜落した機関部はまだ生きており、手足を伸ばして巨大人型兵器としての姿を表わす。エイルが逃亡した事で活動はしていないが、惜しくも取り逃がした者の話では「帰ってくる」と言っていたそうだ。

 数日後、律は何者かに掠われていたことが判明する。同時に、帝室顧問は事件を解明しようとする者たちを敵対勢力と認識したということもわかった。


 一二三は格闘飛行船の牽制で、風船に薬物の粉を仕込んで空域に突入。故意に割られることでそれを撒き散らしています。それによる効果はなかったものの、薬物対策に追われていた分隙が出来ました。

2001,09,01
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明示二十六年長月(九月)
034:異国の仮面
第3話(裏)「出勤せよ くろがねの城」
担当:虎井信盛マスター

 格闘飛行船の機関部は、帝都住人から「くろがねの城」と呼ばれ、親しみさえもたれていた。それが恐るべきものだと知るのは「照らされざる者」達だけである。

 その「くろがねの城」は特零の手回しにより回収作業が進められていた。未知の動力源に対する恐れから、不用意な手出しも控えられている。

 気球により進められた回収作業は翼を持つ獣人たちにより妨害されて、原野に降りた「くろがねの城」の周りでの戦闘が繰り広げられる。

 引き続いて行なわれていた分析により、動力源が危険なものではないと判明したことで「くろがねの城」に対する攻撃も始まった。しかしそれに対して「くろがねの城」は反撃を開始。あらためて「良目零壱(いーあい・ぜろわん)」と呼称されることになったくろがねの城との戦闘となる。

 苦戦の末、一人がその頭部に取り付いた時、そこにいたのはエイルではない「照らされざる者」の一人だった。エイルより先に乗っ取ろうとしたのだが、制御しきれず、逃げることもできない。いま動いているのは自動防衛機構によるものらしい。そして頭部に行なわれた攻撃で機能停止したことでようやく脱出に成功、「くろがねの城」は大爆発と共に姿を消した。

 帝室顧問、中条蓮太郎は「利用させてもらった」といい、エイルが逃げ延びたのと、誘拐された娘たちが無事見つかったのを告げると立ち去った。

 「くろがねの城」の動力部分を解析し、再現をしようとした二人の背後には、それぞれ「無貌紳士」が立っていた。そして次に彼らが発見された時には機関部の記憶はうしなわれていた。

 その後のエイルの行方は不明のまま、帝室顧問も姿を見せず、戻ってきた娘たちも、その関係者と共に一月余りの間に姿を消したということだった。


 一二三は「くろがねの城」の乗っとり。エイルの手にわたるのは阻止できたのですが、攻撃されている間ずっと頭部に貼りついていたようで。貢献度はそこそこ有るようですが、ひどい目にあっています。

2001,09,28
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