「 微熱 」






 初めに戻るのは体よりも意識だった。
 獣の体でいる時はある程度思考も肉体に左右される。 具体的に言えば普段より抑制が効かなくなり、攻撃的になる。 それが突然思い出したように人である時の穏やかな心持ちが湧き上がり、 全身を満たすのだった。そしてその思いを噛み締めている間に体の変化は終わる。
 シリウスはゆっくりと手を動かして体に触れ、自分の輪郭を確かめた。 服の上からでもはっきりとそこにあるのが元の体だということが分かる。 毎回この瞬間だけは漠然とした不安を隠せない。それは彼の人狼の友人である鳶色の髪を持つ人物の、 意識の範疇にない変身を何度も見たせいだった。 そしていつも変化の後には友の苦悩に思いを馳せ心を痛めることが彼の習慣だったが、 今回はすぐにその思考も中断された。
 シリウスは跪いて彼の足元で横たわっている人間の上体をそっと抱き上げた。 ぐったりと力の入らない体が容易く腕の中に収まり、触れた場所から体温が伝わる。 散々熱を上げさせたせいか、彼の体はどこもまだ病人のように熱かった。
_________________ ジェームズ」
 名を呼ぶが反応はない。虚ろなまま開かれた瞳はシリウスを映してはいたものの、 意識はまだここにはなかった。シリウスは彼に覆いかぶさると顎に手をかけ唇を合わせた。 それはいつも彼らがするような互いの熱を煽る激しいものではなく、 触れるだけの緩やかなものだった。彼の呼吸を遮らないよう、 ゆっくりと味わうように存在を確かめる。
 触れては離れ、そしてまた触れる。
何度も繰り返される口付けに始めはされるままにまかせていたジェームズだったが、 次第に角度を合わせて答えてきた。
 それ以上はまた熱が上がりそうなところまで繰り返すと、シリウスは自制心をもたげて 身を起こした。今度こそ意識を戻した相手と視線を合わせると、彼は腕の中で小さく笑った。
「もうその姿なんだ」
普段より随分掠れた声にシリウスは自分のした行為を突きつけられたような気がした。
 ジェームズが声をからすのは珍しくない。彼は抱かれる度に堪えることなく声を上げる。 行為の最中のジェームズは何の抑制もしない。だから煽れば煽るだけ熱を上げ、情を深めた。 だがいつもならこれほど疲れさせる前にシリウスが止めるのが常だった。 何もかもを見失うほどの衝動の波から自分も彼も引き上げて熱を冷ます。 そうして元ある場所に戻してやるのがシリウスの役割だった。
 すっと目を細めてジェームズの体を見る。もうしわけ程度にしか衣服を纏っていない 彼の体には所々に小さな裂傷があった。それは自分が彼を地に押さえつけた時に擦れたものや、 獣の鋭い爪で掻いたものだったので、何の言い訳もなく自分のせいだとシリウスは思った。

 もう一度軽く唇を合わせると、シリウスは近くに散らばったままのジェームズのマントや 眼鏡を片手で手繰り寄せた。それらをまとめてジェームズの上に押し付けるように乗せると 彼ごと抱えあげる。
「どこ行くんだ‥‥?」
「誰も来ないところだよ」
 そろそろ授業が終って大勢の生徒が近くの廊下を通る。 何かの気まぐれでここに足を運ぶ者もいるかもしれない ___________________ 先ほどのセブルスのように。
 軽く舌打ちをするとジェームズが不思議そうに自分を見た。 何でもないと言ってはみせたが、苛立ちはシリウスの中で渦巻いたままだった。
 セブルスがシリウスを嫌っているのと同じ程度にはシリウスも彼が嫌いだった。 ただ、その根本となるものはセブルスの場合とは違ってかなり八つ当たりめいたものだった ことは否めない。
 それはまだ自分がジェームズの存在すら知らなかった頃、 そんな時代が自分にあったというのも今考えれば腹立たしい限りなのだが、 ともかくそんな時もあるにはあった。
 ジェームズの外見はそう目立った風ではない。正直に言えばかなり凡庸な部類だった。 だから入学当初は彼が同期だということも、同じグリフィンドール寮にいるということも 知らなかった。後にジェームズから「あの時のシリウスは誰も見てなかったから」 と評され、確かにそうだったのかもしれないとシリウス自身も納得した。考えてみれば、 入学当初の記憶はほとんどない。ホグワーツに入れたことは確かに心躍る出来事だったが、 一方で自信家の彼にしてみれば当然だという思いもあった。
 シリウスは周りを省みることがなかった。だからジェームズがその時どんな風だったのかも 覚えていない。彼がジェームズを意識するのはそれからしばらく、 半年以上の月日が経ってからで、さらに今のような関係になるには もうしばらくの歳月が必要だった。
 だが、セブルスは違った。彼は彼特有の特異なものをかぎ分ける能力をもって、 初めからジェームズに特別な想いを抱いていた。
 自分がジェームズを知るずっと以前から ___________________ たとえ本人にその自覚がなくとも ___________________ セブルスはジェームズに心を奪われていた。 今よりも少し幼いジェームズを自分よりも長い間見ていたのだ。
 いかな気に食わない相手とはいえ、 シリウスはセブルスの慧眼を認めないわけにはいかなかった。
 つまりそれは嫉妬だった。ジェームズを初めに認めたのが自分ではなく 他の誰かだというのが気に入らなかった。たとえ現在彼を手に入れているのが自分だとしても 、そんなことでは治まらないほど憎らしく、羨ましかった。
 キミは嫉妬深いな、とジェームズに言われたことがある。 それは全くその通りだったのでシリウスは言葉に詰まりそんな自分はやはりどうかしているの だろうかと考えた。だがそのすぐ後に彼が笑いながらそんなところも好きなんだけど、 と付け足したので何やらひどくからかわれたような、安心したような複雑な気持ちに なったのだった。
 好きだと、言われる度に体が熱くなり、その情動のままに行動する。 だがその結果がこれだ。相手のことを考えたとはとても言えない 自分の行動の結果にシリウスは彼にしては珍しく自己嫌悪に陥っていた。



 なるほど、と抱えられた腕にしがみ付きながらジェームズは納得した。 確かに「叫びの屋敷」になら人は来ない。自分を軽々と抱え上げて長い階段を下りる シリウスは先ほどから変わらず憂鬱そうな表情だったので、 どうしたんだと声をかけるが、その時だけは自分を見ながら何でもないと笑ってみせる。 だが、視線を逸らすと再び物憂げな表情になるのだった。
 ジェームズはそんな彼の思考に容易くたどりつき、何をくだらないことを考えているのだか、 とシリウスが知ったら間違いなく口論になりそうなことを思った。
 ジェームズにしてみれば、シリウスが悩んでいることなど全く取るに足らないことだった。 確かに傷ついた体はじりじりと痛みを訴えているが、そんなことは別に大した問題ではない。 こんな程度でどうにかなってしまうほど自分は繊細でもないし、 それは彼だってよく分かっているはずだった。 しかし、こういう間柄になってからというもの、 シリウスはジェームズが傷をつくるのを極端に嫌うようになった。 大切にされているのだというのは分かるが、どうにも落ち着かない。 元々、お互い容赦なく手をあげていた関係だっただけに、 よけいにくすぐったいような気にさせられるのだった。
 それに、彼はまるで自分の勝手でジェームズが傷ついたと考えていることも、 気に入らないことだった。
 痛みがあっても、触れられないよりはずっと良い。少しくらい傷ついたって、 そんなことには構わず熱を交わしたい。 それを何よりも切に望んだのは誰でもない自分なのだと言ってやりたかった。
 しかし、シリウスはたとえ誰が何を言っても自分を責めることは止めないだろう、 とジェームズは思った。そういう部分では、彼は自分などよりも随分と勝手なのだから。
 そうして互いに少しずつ交差しない思いを抱えているうちに 階段の向こう側の明かりが近づいてきて、シリウスは扉に手をかけた。 ギィっという軋みをたてながら重々しく扉が開くと、 そこには荒れた装飾と、最低限の家具類が散らばるように置いてある部屋が見えた。 その瞬間は二人ともここが以前は孤独と悔恨に満ちた呪われた屋敷であることを思い出し、 さらにそれが今では冒険心を掻き立てる仲間内だけの秘密の場所であることを思った。
 そうして意識を他へ向けた二人だったが、シリウスの方はすぐに頭を切り替えて部屋の隅にあるベッドへと足を運び、ジェームズを下ろした。 その動作がいつもとは違う、労わるようなものだったので ジェームズは少しおかしな気分になりながらシリウスの首に絡めていた両腕を外した。
「水を汲んでくるから」
 耳元で囁かれた声に小さく頷き、 彼が部屋の向こうまで行き姿が見えなくなるまで視線で追うと、 ジェームズはすぐにベッドへと横になった。柔らかいシーツの上に顔を埋めて さらさらとした感触を味わうと、唐突に眠気が襲ってきた。
 自分では意識していなかったが、身体はかなり疲れているようだった。 小さな痛みが全身に広がり、それがまた疲労と眠気を増長させる。 シリウスが戻ってくるまでは起きていよう、という決意とは裏腹に、 ジェームズは自分でも知らないうちに夢の中へと潜り込んでいった。


 意識を取り戻したのは髪を梳く心地よい感触を感じたからだった。 誰だろう、と夢見心地で思ったのも一瞬で、慣れた感触にすぐにそれがシリウスだということに 気付く。
 彼がこういう風に自分に触れてくるのはよくある事だった。 身体を重ねてまどろんでいる時や、クィディッチの試合後疲れてうとうとと眠ってしまった時、 気付くとこうして眠っている自分の傍らで触れてくることがあった。 覚醒しない、夢うつつの状態でシリウスを見上げると、 そういった時には決まって普段は見せないような穏やかな表情でいるので、 ジェームズはいつも彼の激しい感情とのギャップに不思議に思うのだった。
________________ 水」
 掠れた声で要求するとすぐにコップを差し出されたが、ジェームズは不満そうに首を振る。 その視線が飲ませてくれ、と言っているのに気付いたシリウスはすぐに自分で口に含み、 ジェームズの背に手をまわして上半身を起すと口移しで飲ませた。コクン、 コクンと喉を鳴らしてジェームズが水を飲む。それを何度か繰り返し、 ようやく彼が満足すると、シリウスは再びジェームズを寝かせ、 ベッドの縁に腰かけながら再び彼の髪に手を差し入れた。しばらくの間そのまま無言で クセのある髪を嬲る。
「なぁ、シリウス」
「‥‥ん?」
 心地よい感覚に再び眠りに落ちそうな意識を何とか引き戻したジェームズは、 髪を梳く手を取り端整な指先を軽く噛んだ。舌で指を絡め取るように舐めて 意味あり気に視線を送る。
________________ こら‥」
「別にいいだろう?」
 彼の意図したところを汲み取ったシリウスは、 彼の傷ついた身体を思って今日はもう駄目だと振り払おうとしたが、 ジェームズは掴んだ手を離そうとしなかった。
「僕なら平気だよ」
「平気って‥‥」
 自分のつけた傷跡に目を留め、シリウスが顔をしかめる。 やっと固まったばかりの血がこびりついている傷口が痛々しくて胸が痛んだ。
「酷い事をした‥‥」
「平気だって!」
 むっとしてジェームズが言い返す。 彼にしてみれば平気だと言っているのにそれを受け入れられないのは ________________ それが彼の性分だと分かっていても ________________ 自分を信用されてないように思えて、 腹立たしく思うのだった。しかし、それでも自分を気遣うシリウスの気持ちも知っていたので すぐに口調を和らげ哀願するように掴んだ手を強く握った。
「こんな状態で放っておかれる方が辛い」
 激しく、熱い行為の後の敏感な身体に心を掻き乱す触れ合いを与えておきながら、 そのせいでどうしようもなく疼いた熱を放っておかれるなんてあんまりだ。
________________ シリウス」
 目を伏せて頼む、と小さく嘆願するとしばらくの沈黙の後にシリウスが瞼に唇を寄せてきた。
「どうなっても知らないからな」
 呆れたように呟く声に、ジェームズは満足そうに笑った。
どうなっても知らない、とそんな台詞を言葉通りに信じる気にはなれない。 何を言っても、結局彼はいつも自分のいいようにしてくれるのだから。 それは時にひどく乱暴な結果をもたらすこともあったが、 そんな激しい熱を帯びたものもジェームズは嫌いではなかった。
___________________ いや、むしろ‥‥
 好きなんだ、と思う。
彼のその熱さが心地よい。中途半端な温もりよりも、 身を焦がすような激しい熱を好む彼にはそれが何よりも心地よかった。
 しかしシリウスは分かっていない、とジェームズは自分に覆いかぶさる体温を感じながら 思った。酷い事をしたと彼は言うが、そんなことは全く、酷い事だとは言い難かった。 たとえ彼がどれほど自分を手荒に扱ったとしてもそれは酷い事などではない。 何故ならが自分に施すどんな行動だってその根幹をなすものは、 ジェームズが何よりも求めてやまない種類のものだということを理解していたからだ。
 だからそれは本当に大したことじゃない。 昔、まだジェームズがホグワーツに来る以前に、 自分の本意ではないところで無理矢理押さえつけられた苦い記憶に比べれば 全く大したことではない。それは、今とは逆に、どれだけ丁寧に扱われても、 我を忘れるほど煽られても、恐怖と絶望に心が悲鳴を上げる日々だった。 本当に酷い事というのはああいうモノだと思いながら、 ジェームズはうっすらと過ぎ去った時間のことを思い出そうとした。
 だが不思議なことに、以前は胸を締め付けるような痛みと共に再現された光景が 今ではほとんど思い出せなくなっていた。何故だろうと意識の底にある、 普段なら触れない部分に矛先を向けようとしたジェームズだったが、 シリウスが唐突に身体を沈めてきたのですぐに現実に引き戻された。
「つっ‥‥!」
________________ 痛むのか?」
 慌てて身を引こうとしたシリウスの背に手を回す。押し入るように体内に入り込み、 繋がった場所は痛みで焼け付くようだったが、ジェームズはかまわずに目の前の体を引き寄せた。
「んっ、続けっ‥‥て」
 途切れがちな声で哀願すると、シリウスが表情を曇らせた。
「すまない‥」
 身体をジンと疼かせる心地よい低音で囁かれ、しばらくは言葉の意味よりも声に酔っていたジェームズだったが、彼の言った 意味を理解するとシリウスと視線を合わせる。
「どうして?‥‥何を謝るんだ?」
 何も謝る必要なんてないと、目の前にある頬を両手で挟み、自分に引き寄せる。
「キミはこんなにも優しいのに‥‥」
 その衝動のままに口付けると、すぐに深いものとなった。 そうして熱く翻弄される身体に互いに忠実になった時にジェームズが再び続けて欲しいと ねだると、今度はシリウスも躊躇なく彼を駆り立てた。
「あぁ‥ん、シリウスっ」
 深く穿たれる度に名を呼ぶと、言った方も言われた方も身体の芯から熱が湧き上がる。 喉を震わせて何度も声を上げ、触れていない場所がないほど互いをまさぐる。
「も‥僕、もうっ」
 自分の意思とは無関係なところで快楽を追う身体を感じて限界を訴えると、 背に腕を廻して引き起こされる。今日、何度目になるのかもわからない口付けを交わして、 シリウスの胸に倒れこむと彼のうっすらと汗ばんだ身体が熱を持っているのが分かった。
「ジェームズ、オレも‥‥」
 腕の中に納まった身体を抱きこんで囁くとジェームズが痙攣するように震えた。 彼はもうこの後の最高の快楽を知っている。 だからそれがもうすぐ与えられる予感に耐え切れずに自分から身体を動かした。
「んっ、あぁ‥‥」
 頭の奥でズキズキと痛むような、痺れるような感覚を味わった後に限界を感じて シリウスに縋りつく。断続的に襲いくる愉悦の波に身体を支配されると、 シリウスが彼の中に放つのを中で感じた。何度か余韻を味わうように揺さぶられるのを 小さく啼きながら受け止めたジェームズは、今度こそ抗いようのない深い眠りに 意識をあけ渡した。




「知ってたよ」
 と返した時のシリウスの表情といったら まったく、とジェームズはまるで人事のように冷静に思った。 だから、動揺を隠しもせずに「いつから知ってたんだ?!」 と問いただされた時も動じることなく、「2回目の途中くらいから」 と答えたのだった。
「だいたい、気付かない方がどうかしてるよ」
 とジェームズはすっかり皺になったシーツに顔を埋めながら、にこにこと話した。
________________ オマエ、知ってて‥‥」
 見られているのを知っていて欲しがったのか、とはジェームズほどは直接的になれない シリウスは言うことが出来ず言葉を飲み込んだが、言わんとした事は伝わったようだった。 だが、ジェームズはそれに何を返すのでもなく、ただいつものようにニヤリと 笑ってシリウスを見上げているだけだった。
 シリウスはしばらく愕然としながらジェームズを凝視していたが、 そんな自分の表情すら彼にとっては娯楽の一つだということに気付いて こめかみに手を当て深くため息をついた。
 そして確かにそういう彼を見るのは楽しい、とジェームズは思っていた。
彼はシリウスの普段とるような構えた態度よりも、 こういう人間味溢れる本音の見え隠れする表情の方が好きだった。 だからもっと困らせてやろう、引っ掻き回してやろうと まるで義務のように考えるのだった。
「何考えてるんだ‥?」
 怪しい沈黙を不審に思ったのか胡乱気な声で問うシリウスに視線だけをやったジェームズは「何も」と嘯いた。 もちろんシリウスにはそれが嘘だということは分かりすぎるほど分かっていたのだろう。 白状しろと詰め寄られたが、そんなに知りたいなら僕を締め上げればいいじゃないかと 平然と言い放ったジェームズは無防備に横になった。 疲れた体に無理はされないと分かっていての行動だったが、 思った通り効果は覿面でシリウスは渋面な表情をしただけだった。
 そんなシリウスを堪えきれない笑いと共に眺めたジェームズは、ふと、 自分はいつかこうして穏やかな時間を持てたことを幸いに思うのかもしれないと 頭の隅でぼんやりと考えた。
___________________ なぁ、気付いているかい?
 キミは振り回されてばかりだといつも文句を言うが、それはお互い様なんだということを。 隣にいて必要とされることが何よりも嬉しいということを。 どれだけふれあっても全然足らないと思うほどに貪欲になってしまったことを。 人には執着したことがない自分がどうにかなってしまいそうなほどキミに執着していることを。
 そういうコト総てを、彼は知っているのだろうかと考えたが、 きっとシリウスは知らないのだろうと苦笑する。 色恋沙汰には手慣れているくせに変なところで鈍いのだから。
___________________ うん、でも
「知らなくてもいいや‥‥」
「何?」
 うつ伏せになっていた体を上向きにされ、軽く押さえ込まれるようにして抱きしめられる。 そのままじゃれ合うようにして視線を絡め肌に触れると、 二人で顔を見合わせてクスクス笑った。
「何を知らなくていいって?」
 穏やかに聞かれれば、もう誤魔化す気にもなれない。
「このままでいいってコトだよ」
一言だけ、そう伝えると抱きしめる腕に少しだけ力が加わった。

 そうして全身で感じる穏やかな熱さが、ジェームズにとってのすべてだった。








 ところで今一番心配なことは、シリウスの変身後の姿が映画のフラッフィーくらい 大きかったらどうしようかということです。ジェームズさんが壊れちゃうヨー!



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