SEIKOの秘密その11

SEIKOの時計をタイマーとして、組み込んだトランジスタ・ラジオをご存知でしょうか???

これは、SONYのTRW-621という6石AMラジオです。
如何にも'60年代風のデザインが、素敵です。



まるで、時計付きラジオなのか、ラジオ付き時計なのか分からない位、時計が目立っています。
文字盤には、『SONY』と『SEIKO』のまさに、ダブルネーム!!


組み込まれている時計は、何なのでしょう???



内部を見ると分かりますが、時計は、ちょうど電池ホルダーの下にあります。
電池は、006Pと懐かしい…。(笑)
もちろん、電池を入れれば、今でも元気にラジオも聞けますし、時計も動きます。
タイマー機能も正常に動作します。




時計をラジオから、外した状態です。裏ブタは、金属では無くプラ製です。
1&2のネジに、電極が接続され、時計に連動しラジオに通電出来るギミック(タイマー)になっています。




風防に赤い三角印が、描かれていて、その風防を自由に回す事ができます。
赤い三角印に合わせた時間になると、タイマーONとなり、ラジオを鳴らす(電源が入る)機構です。
上の画像の左は12時、右は4時30分に赤い三角印を合わせた状態です。
一見文字盤に赤い三角のある目安板方式に見えますが、風防に印刷されています。


では、その時計の機械を見てみましょう。



7石仕様の1枚地板で、如何にも作りっぱなしの仕上げですネ!!
しかし、テンプ受けのブリッジは、特徴的な形状です。
間違い無くCronos系の機械の一種であると思われます。
しかし、Aoは、腕時計に入れられたこの機械を見た事がありません。
仕上げの感じから言っても、機器組込み用の専用機械だったと思われます。

追記:'00/10/12
1962年頃発売された『スポーツマン・セブン』という時計に搭載されていた様です。
いわゆる廉価モデルの先駆けの様なモデルだったと思われます。
Aoは、現ブツを未確認ですが、資料を確認しました。




右はCronosの機械ですが、地板の形状と刻印・石数を除けば、まさにそっくりですネ。
これは、明らかにCronos系キャリバーの派生機械である事に間違いありません。

この様な、機器組込み型の時計は、何種類かあった様ですが、実際に見てみると
腕時計とは異なる事があり、色々と面白いですネ。

<<2002.8.28 追記>>
時計愛好家であり、ラジオ愛好家でもあるこたつ猫さまより貴重な情報を頂きました。(感謝!!)
---ここから---
昭和36年(1961年)のカタログに載っていました。当時のTRW-621の定価は10,300円です。
SONYのラジオ TRW-621と同じカタログに載っていた時計無しの同等のタイプTR-630が
6,300円ですので時計の付加価値として4,000円ということになるのでしょうか。
ちなみに型番の『W』はWatch付きを表します。
---ここまで---


この他にも、機器に組込まれた時計の現ブツや情報を御持ちの方は、是非ガラ研にご一報下さい。