SEIKOの秘密その16

現行機械とそのベース機械の違いについての第2段です。

まずは、現行の4S系を見てみましょう。
4S系と言いますと8振動の自動巻き(手巻き仕様のモノもありますが・・・)で、
主にクレドールやローレル等に搭載されています。




最初に1996年製の『CREDOR RETROGRADE:4S77』です。
4Sにレトログラード式曜日表示と24時間表示インダイアル(2ndタイム)を追加した、
28石の自動巻き(手巻き付き)で、機械も金メッキ処理された美しいモノです。



次は、1996年製の『ALPINIST:4S15』です。
25石の自動巻き(手巻き付き)で、回転式インナーベゼルにスクリュウロック竜頭の
いわばスポーツモデルといった位置づけのモノです。




石数や機械の仕上げの違いはありますが、どちらも同じベースである事は明確ですね。



では、1970年代の52系を見てみましょう。

これは、1972年製の『LORDMATIC SPECIAL (52LM):5206』です。
23石の自動巻き(手巻き付き)の極めてベーシックなモデルです。



次に1973年製の『KINGSEIKO-SPECIAL ”VANAC”:5256』です。
25石の自動巻き(手巻き付き)で、まさにバナックデザインです。


(余談ですが、52系はローターに腐食が出易く、酷いモノはこんな↑感じになります。:参考)


話は戻りますが、
52LMと52KSも、石数や緩急調整機構に違いはありますが、ベース機械としては同じですね。

では、52系と4S系を比較してみましょう。



やはり、これらは、明らかに同じ機械ですね。

ちなみに、52系機械には、特徴(?)がふたつあります。
まず、『竜頭1段引き日付早送りモードで、ゼンマイ巻き上げ可能』と言うモノがあります。
(もちろん、竜頭を引き出さない状態でのゼンマイの巻き上げも可能なのですが・・・。)

機構上の詳しい事は分かりませんが、要するに日付早送りの為に竜頭を回すと、ゼンマイも
巻上がってしまうという事です。
これは、国産の機械では、唯一セイコーの52系にのみある特徴的な機構です。
そして、もちろん4S系も全く同じ機構が残されています。

(余談ですが、レマニア1341も同じ機構<早送り時ゼンマイ巻き上げ>を持っている事が
最近分かりました。)

次にテンプにあるアオリの調整機構です。



このテンプに付けられているのがアオリ調整機構です。
テンプの交換等をした時に振り角の等時性を調整ものですが、要するに高精度を狙った調整も
可能と言う事です。(手抜き説明:笑) もちろん、4S系にも残されています。

以上の事から、4Sも'70年代の52系機械を焼き直したモノであると証明できました。
52系の部品に困っている方は、4Sの部品を流用しましょう。(笑)