登山データ
長野県安曇村、岐阜県丹生川村、岐阜県高根村
3026m
2002.8.30(金)晴れ
歩行時間=約1時間45分(登り1時間、下り45分)
登山紀行
 ご存知のように、乗鞍スカイラインは2003年から上高地などと同じようにマイカー規制が敷かれる。つまり、マイカーで山頂近くの畳平まで行けるのは今年10月が最後である。乗鞍は今までに何回か行ったことがあるのだが、そんなことから是非今年中に一度は行っておきたかった。
 前夜愛知県から5時間かけて岐阜県平湯温泉の乗鞍スカイライン入り口まで行き、そこで車中泊。入り口前には既に長蛇の列ができていたが、開門が3時半ということで、そんな時間に起きる自信がないので、別の空き地で一眠り。4時過ぎに目が覚めたので、すぐに出発。入り口前の長蛇の列は一台も車が残っていなかった。下界はほとんど曇っていたが、スカイラインを登るとすぐに雲を抜け、星降るような夜空に変わった。畳平駐車場は既に満車状態で、かろうじて、トイレの前の隙間に入れることができた。日本人の勤勉さがこんなところにまで表れているなんてと、自分のことを棚に上げて感心をした。
 いろいろ準備をして5時過ぎ、歩き始める。外はほんのりと薄明るく、まもなく御来光があることを告げている。かなりたくさんの人が駐車場近くの鶴ガ池のほとりで御来光を待っていたが、今日は山頂まで登ることが目的なので、かまわず山頂への道へとたどっていった。15分ほどで肩ノ小屋に到着。ここで御来光を迎えることになった。
 ちょうど東の八ヶ岳や浅間山の上がオレンジがかり、わずかに顔を出すと同時に、まばゆい光の筋が上空180度に放たれ、しばらく光のショーが繰り広げられる。西側を振り返ると、これから登る剣ガ峰の頂上が朝日に照らされて紅く輝いていた。信仰心はないのだが、あまりの神々しさに思わず手を合わせていた。
 すぐに何事もなかったように普通の朝の情景に変わったので、再び登山道をたどる。肩ノ小屋からはゴロタ石の急斜面になり、普通ならかなりばてるところだと思われるが、なにせ登り始めたばかりなので、体も心も軽く6時過ぎに剣ガ峰頂上に立った。3026mである。3000m近くまで車で来られるところはほかにはなく、その恩恵のありがたさを感じるとともに、それもこれが最後かと思うと、感慨もひとしおである。
 頂上は快晴。360度の展望が望め、眼下には雲の絨毯、そしてその絨毯の間から、北は槍ヶ岳、穂高、笠ヶ岳、焼岳などの北アルプス、東は浅間山、八ヶ岳、南東には、南アルプス、その手前に中央アルプス、南には御岳、西には先日登った白山、などの名だたる山々がその秀麗な姿を、現している。あいにく富士山を認めることはできなかったが、これだけの展望を目にすることができるのは本当にすばらしいことである。
 山頂で朝食を食べ、下山。下山後は時間も早いことから、20年ぶりに上高地へタクシーで行く。上高地では穂高の山々が迫ってくるような山容を見せていたのだが、完全に観光地化してしまっていて、山を見に来たのか人を見に来たのかわからないほどである。せっかくの景色を見られたのだが、悲しい気持ちに襲われた。
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八ヶ岳(右下)と御来光

南アルプスと雲海

朝日に映える山頂

山頂と白山遠望

 眼前に迫る御岳

槍ヶ岳(左)と穂高(右)

43乗鞍岳
(のりくらだけ)