登山データ
長野県長谷村、山梨県白州町
2967m
2003.9.7(日)晴れ
歩行時間=約8時間15分(登り4時間30分下り3時間45分)
登山紀行
 深田久弥が「日本百名山」の中で「もし日本の十名山を選べと言われたとしても、私はこの山を落とさないだろう。」「日本アルプスで一番奇麗な頂上は、と訊かれても、やはり私は甲斐駒をあげよう。眺望の豊かなことは言うまでもないとして、花崗岩の白砂を敷きつめた頂上の美しさを推したいのである。」とまで言わしめた、白い花崗岩の山、あこがれの甲斐駒に登ってきた。
 9月6日(土)長野県長谷村からはマイカー規制のため、戸台という部落にある「仙流荘」に車をおいて、1時頃バスで出発。約50分で北沢峠へ。このバスの運転手が、ガイドも兼ねていて、ほとんど一人でしゃべり詰めであった。それにしても博識な運転手で、地質学者、地球物理学者も顔負けである。北沢峠から、仙水小屋まで約45分、初日はここでテントを張った。
 前日、7時過ぎには眠ってしまったので、3時半頃目覚める。テントを片づけ、4時12分出発。暗い中、ヘッドランプの明かりだけで歩いていくが、直径30cmほどの岩がごろごろと広がっているところで、道がわからず迷いそうになった。ここは、アルプスでも一番古い地質なんだそうだ。4時52分仙水峠にたどり着くころには、東の空が明るくなり、湧き上がる雲海の中に、摩利支天、甲斐駒、そしてアサヨ峰から続く鳳凰山などが浮かんでいる幻想的な風景を目の当たりにした。
 ここから駒津峰に登る道はアルプスでも屈指の急登だそうである。途中5時半頃、神秘的なご来光を拝み、6時40分駒津峰につく。目の前に甲斐駒、摩利支天が迫るが、ここからはやせ尾根を上下するので、自然に視線が下がってしまう。途中あまりに疲れたので、テントやシュラフの入った大きな荷物を六方石のあたりにおいて、ここからは身軽になって白砂を歩いていく。本当に純白の岩や砂で、深田久弥の「あまりにその白砂が奇麗なので、踏むのがもったいないくらいであった。」という言葉を、頭の中で繰り返していた。8時、ついにその山頂に立つ。低いところに雲海が広がっているものの、360度の展望が楽しめ、遠く富士山から、地蔵岳のオベリスクが特徴的な鳳凰三山、北岳を初めとする白根三山、中央アルプスの山波、御嶽山、乗鞍岳・穂高・槍ヶ岳と連なる北アルプス、眼前に迫る八ヶ岳と、こんなに有名な山々が一望できるところはそうはないと思われる。
 帰りに摩利支天に寄ろうと思ったが、その道がわからずあきらめた。駒津峰までは同じ道を引き返し、駒津峰から双児山を経て、北沢峠に着いた。いつも下りになると思うのだが、「こんなに登ったかな。」と不思議に思えるほど、下っても下っても下に着かない感じであった。特に双児山からは樹林帯で展望がきかないので、つらいだけであった。とはいうものの、本当にいい山であった。

 
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御来光 甲斐駒と摩利支天 富士山と鳳凰三山
甲斐駒ヶ岳山頂 雲上の八ヶ岳 北岳

65甲斐駒ヶ岳
(かいこまがたけ)