登山データ
長野県安曇村、岐阜県上宝村
3190m
2004.7.30(金)・31(土)
歩行時間=1日目→約9時間、2日目→約7時間

上高地河童橋(5:55)−明神館(7:00)-徳沢園(7:50)-横尾山荘(8:50)-
本谷橋(9:50)-涸沢ヒュッテ(11:45〜12:10)-穂高岳山荘(15:00) 【テント泊】
穂高岳山荘(5:40)-奥穂高岳山頂(6:30)-紀美子平(8:10〜25)-
岳沢ヒュッテ(10:40〜50)-上高地河童橋(12:50)
登山紀行
 登山者のあこがれ穂高岳に登ってきた。涸沢から入って、ザイテングラートを登り、穂高岳山荘へ。翌朝、奥穂高に登り、そこから吊尾根を渡って紀美子平へ、そして岳沢へと下って上高地に至る一番の人気コースである。
 台風10号が東海沖を通っていて心配であったが、信州は大丈夫だろうと楽観的な気持ちで出発した。前日上高地の入り口、沢渡まで車で行き車中泊。
 翌朝5時起床、5時半のバスに乗り、上高地に入る。バスターミナルから余分なものは見ずに梓川に沿って歩く。途中1時間ごとに、明神館、徳沢園、横尾山荘とあるのが、ちょうど休憩しながら歩くのに具合がいい。左手に梓川を隔てて、明神岳、前穂高岳がとても大きく迫っていて、これからの山行に胸が躍る。槍ヶ岳へ向かう道と分かれ新しく大きな横尾大橋を渡ると、ようやく山道になる(これまでは観光地の遊歩道であった)。左手に屏風ノ頭の絶壁を見ながら歩くこと1時間で本谷橋が現れる。橋を越えると急坂になり、1時間ほどで涸沢ヒュッテが見えてくる。しかし、見え始めてから到着するまでの1時間はかなりつらいものがあった。
 登山者のメッカ涸沢は、広いすり鉢状のカールで、見上げると、前穂高岳、奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳といった3000m級の山に囲まれ、絶景のはずであるが、あいにく雲が多く、それらの山頂を覆い隠していたのが残念だ。
 一休みして、パノラマコースを登っていく。涸沢がどんどん下になっていくのがおもしろい。ザイテングラートに入ると、急な岩場が続き、高度はどんどん稼げるものの、疲労と恐怖心でくたくたになった。
 ようやくたどり着いた穂高岳山荘は奥穂高岳と涸沢岳の鞍部にあり、風が信州から飛騨へと吹き抜ける。テントの幕営場が特に風が強く、テントを張るのも大変であったし、張ったら自分がおもし代わりに中に入っていないと吹き飛ばされそうで、テントを離れることができなかった。20分で涸沢岳に行けるはずであるが、そんな気にはなれず、テントの中で暗くなるのをじっと待っていた。 台風の影響か、いつもこうなのか、夜中じゅうずっと暴風が吹き荒れ、テントが壊れはしないか、テントごと飛ばされはしないかと、心配しながらうつらうつらしていた。
 翌朝、飛ばされそうになりながらテントをやっとの思いでたたみ、5:40出発。霧の中の小雨でコンディションは良くないが、ここまで来てやめるわけにはいかない。濡れた岩に手をかけながら、岸壁を上っていく。穂高岳山荘からの取り付きの部分が特につらく、危険である。6:30にとうとう奥穂高岳山頂に着いた。小さい祠と展望指示板がある。時折霧の中からごつごつしたジャンダルムや、足もとの上高地が見えるが、それ以外には展望が開けず残念であった。待っても無駄なので、すぐに吊尾根にかかる。予想より危なっかしいトラバースが続き、冷や冷やの連続であった。予定より時間がかかり1時間50分で紀美子平に着く。ここから30分、上に登っていけば前穂高岳。楽しみにしていたが、深い霧の中で展望は何も期待できないし、疲労がピークに達していたので、前穂高岳は次の機会にとっておくことにした。そこで紀美子平から重太郎新道を下っていったのだが、上から見ると絶壁のような急勾配で下るのも大変であった。平均斜度は60度以上あったと思う。こんな道を開いた重太郎さんもすごい人である。紀美子平から2時間あまりで岳沢ヒュッテ、さらに2時間あまりで上高地。上高地では土曜日とあって観光客がうじゃうじゃしている中を、ひとり疲れてとぼとぼ歩いていた。しかし、心の中は充実感でいっぱいであった。振り返ると、今日登ってきた奥穂高岳が雲の中ではあるが、私にだけは鮮明に見える気がした。
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徳沢から前穂高岳 涸沢から涸沢岳 涸沢から奥穂高岳
登山道から涸沢 ジャンダルム 奥穂高山頂の祠

84奥穂高岳
(おくほたかだけ)