登山データ
岐阜県高山市
2898m
2006.8.25(金)26(土)曇り時々晴れ
歩行時間=1日目登り6時間50分、2日目下り5時間
1日目…新穂高駐車場(5:30)−笠新道登山口(6:30-50<朝食>)−杓子平(10:00)−稜線分岐(11:25)−笠ヶ岳山荘(12:40)<テント泊>
2日目…笠ヶ岳山荘(5:00)−笠ヶ岳山頂(5:15-45<朝食>)−クリヤノ頭(7:15)−錫杖沢出合(9:10)−槍見館(9:50)−新穂高駐車場(10:30)

登山紀行
 江戸時代、播隆上人が非常な苦労の末、この山を開山し、この頂上から槍ヶ岳に仏の姿を見たことから、やがて槍ヶ岳をも開山することになった話を新田次郎の「槍ヶ岳開山」で読み、それから何年もあこがれていた山である。北アルプスのこの山は2898mと3000mにわずかに足らないが、槍・穂高からは西側に屏風のようにそびえ、高山からは東側にくっきりと特徴的な笠の頭を見せる飛騨の最高峰(県境を除く)でもある。8月5日にもこの山をめざしたが、弓折岳を経由する遠回りのコースで、体調も悪く、その上かんかん照りの日で大ノマ岳を越えたところで残念ながら断念した。そこで今回は最短距離の笠新道を通るコースでチャレンジした。
 朝5:30駐車場を出発し、1時間ほど車道を歩くと笠新道登山口になる。ここからが有名な急登の始まりであるが、まだ元気もあり天気も曇っていたので、3時間10分という短時間で杓子平に着くことができた。案内図では4時間20分になっているところである。ここからは森林限界を超え、高山植物のお花畑を眺めながら、ガレ場の道を進んでいく。稜線手前はきつい登りであえぎあえぎという状態になってきたが、稜線に出てしまえば、雲間にかいま見える槍・穂高を眺めながら、快適な稜線歩きであった。途中、巨岩が二つ門のようにそびえる抜戸岩をくぐったが、自然のいたずらのようであった。登りが厳しくなって、ふと顔を見上げたときに、ガスが晴れ、笠ヶ岳山荘が見られたときは、達成感というよりもほっとした。早速キャンプ指定地にテントを張り、まずは一眠りをしてから、雲間の槍・穂高連峰、双六への稜線、そして振り返って笠ヶ岳の笠の部分をゆっくり堪能した。
 日暮れとともに爆睡し、朝4時過ぎ、近くのテントの人の声で目を覚まし、そのままテントをかたづける。5時15分笠ヶ岳の山頂に着いたときは、東の槍・穂高のシルエットに朝日が今にも昇るところであった。すぐに槍の右側大喰岳の辺りから朝日が漏れだした。たくさんの人とともにきれいな御来光を迎えたが、二百年も前に播隆上人がこの中に仏を見いだしたのと同じ御来光だと思うと感無量であった。御来光のあと、そこにいた人たちは笠ヶ岳山荘へと下っていったが、私一人は下山するために反対方向のクリヤ谷へと向かった。笠新道の賑わいとはうってかわって、ひっそりと静かな山旅で、稜線を越えるガスの中を、時々見える槍・穂高を左に、背中の笠ヶ岳を時々振り返り、垂直な岩山を巻いたりしながら1時間半、稜線歩きを楽しんだ。クリヤノ頭からは、稜線を離れ樹林帯の中の急坂を下っていった。錫杖沢を過ぎると、斜面も緩くなり、右側に錫杖岳の険しい岸壁が見られるようになった。この沢を越えるとき、石に足を滑らせて、沢に転落し、下半身ずぶぬれになったのがいい思い出になった。結局、下山するまでに、夫婦1組と4人のキャンパーにしか出会わず、静かに森林浴を楽しめた。

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テントから笠ヶ岳 雲間の槍ヶ岳 槍と御来光
笠ヶ岳山頂 南稜線から笠ヶ岳 雲上の槍ヶ岳

122笠ヶ岳
    (かさがたけ)