『無』はすべてを生み、
すべてを育て、
肯定と否定の
すべてを受け入れる
永遠の『母』である
沈黙

沈黙


 耳を澄ませばシーンという音 これは機械音だ 人間という機械
 静まり返った 山里のお社の境内 天夷鳥命
 焚火の音 烏の鳴き声 小鳥の鳴き声
 チッチッチッチィーツチィー
 風ひとつ無く 鎮まり返った樹木
 ぐみ なら くぬぎ かし まつ すぎ ひのき
 沈黙 
 
 「書かれていないような現実はない」理性の人はこういう
 現実には書き得ない要素がたくさんあると感性は思うのだが
 チョチョピッチョロピピー ヒョッヒョッヒーヒョッヒッ
 しよせん自然を写し捕るなんて出来ない相談だ
 自分の感じ方を記号にしてみせるだけだ
 書かれたものだけが現実だという
 気持ちだけなら分かるのだが
 それなら自然は現実を超えたものだということだ
 「あらゆるパロールは他のパロールのモザイクである」
 彼らにとって大事なのは言語だということなのだろう
 私にとって大事なのは言語を超えたものだということだ
 

soul

無!
空洞