☆ 食糧・農業・農村基本問題調査 ☆
中間とりまとめ
平成9年12月に答申された。
今、やっと・・具体化し始めている。   決して古い話ではない(2007年)
 貴方はアクセスカウンター番目のお客様です。ようこそ! 
 ☆ はじめに ・・・ 人口爆発と食糧問題 「高校講座・地理」 東京学芸大学教授 矢ヶ崎典隆 氏監修より
 1, 人口爆発と食糧不足のこと
 1999年7月世界の人口60億人であった。

  これが・・
 2005年 には、65億人を超えた。 
 1950年頃から急激に増え始め、わずか50年で2.5倍になった。

 このまま増え続けると、2060年には90億人を突破するだろうと推定されている。
 このまま人口が増え続けると、食糧不足が大きな問題である。

 発展途上国では食糧が足りずに餓死する人が大勢い居る。
 その一方、先進国では肥満に悩む人が大勢いて、食べ物が大量に捨てられている。

 飢餓と飽食! 世界の食糧事情には、この大きな格差があるのである。

 世界の人口は、20世紀の後半に爆発的に増加した。
 このような急激な人口増加のことを
”人口爆発”と呼んでいる。
 増加する人口に対して、どのようにして食糧を供給していったらよいのか?
 
 地球の資源と空間は限られている。著しい人口増加と食糧供給は、21世紀の大きな課題である。
 その中で如何に食糧を生産するか?は、非常の大きな課題である。

 世界が直面する人口と食糧の問題について考えてみよう。
 
 人口が減少している地域と増加している地域がある。地域差は著しい。
 2, 人口増加のあらまし ・・・密度と増加率のこと
 ☆ 人口密度の高い地域(1㎢当たり100人以上)。
  ○ アジアが人口密度が高い。アジアは、世界の人口の60%を占めている。
    ・・・アジアの人口密度の高い地域は、集約的な農業の発達した地域である。
  ○ ヨーロッパ・アメリカ合衆国の北東部も、密度が高い。
    ・・・これらの地域は、商・工業の発達によって人口密度を高くしている。
 
  ☆ 一方、人口密度の低い(1㎢当たり1人未満)地域は、人間の居住が困難な地域である。
   例えば、
   乾燥地域・熱帯雨林地域・高山地域および高緯度の寒冷地域である。
 
☆2000年~2005年の人口増加率☆
 先進国では、人口増加率が低い。一方、発展途上の国々、例えば、アフリカで、人口爆発が起きている。
 発展途上国では、人口爆発をくい止めるために、出生率を人為的に下げる必要がある。一般的には、「家族計画」を奨励したり、教育を改善したりしていく。
 しかし、このような発展途上の国では、子供は”労働力”として大変重要な役割を果たしているのである。従って、なかなか出生率が低下しないのが現状である。
 必ずしも、人口密度と人口増加率とは関係がないようである。
人口転換の段階

 
多産多死  多く生んで、沢山の子供が成長前に死んでいった。第一段階。総人口は安定していた。
多産少死  衛生状態が改善され、進歩した医療が導入された・・人口の爆発的変化 (発展途上国)→人口増加を人為的に下げる必要がある。
 家族計画を進めてはいるが、子供は重要な労働力であるので、その方策はなかなか功を奏さない。
 ○ 急激な人口増加に、食糧の供給が追いつかないと言う現状がある。
   人口増加率の高い地域では、食糧の自給が追いつかない。→自給率が低い。
少産少死   都市化・工業化が進んで、生活が豊かになり、教育水準が上がると、出生率が下がり始める。
 女性が社会に進出すると、多数の子供を持つことに、だんだんと消極的になってくる。
 乳児の死亡率が低い。・・一方、人口の高齢化が進んでくる。
           日本では少子化が問題になっている。
 このように、発展途上国では、急激な人口増加をしながら、食糧の供給がそれに追いつかないという現実がある。食物の自給ができないという現実を孕(はら)んでいる。


☆ 世界の穀物自給率 ☆
国連世界食糧計画資料2004、他より







○ アフリカは穀物の自給率
  が低くなっている。

○ 日本の場合・・・
  穀物自給率が大変低い






 日本の場合には経済力があるので、注:外国から食糧を購入することができる。


管理人による注
 注: ◇ 経済力が有っても食糧は買えない時期が来る ◇ ・・・ 苦縁讃
 ①  乾燥地帯


潅水による

栽培の限界
 降水量の少ない地方で、スプリンクラーなどによって潅水して栽培し、これを輸出している。
 だが、このような地帯での栽培は、10年に満たない間に、地表に塩の膜が出来はじめる。
 やがて、その地は作物は塩害で収穫量が無くなってしまうのだ。
 食糧は、単純な技術では生産量を増加させることは困難である。
 
 生産量に限界がある。
 一方、世界の人口は増加中である。
飢餓の国と

飽食の国
 「今、自国が食べられれば、他国のことはどうでも良いか?」
 発展途上国が、飢餓に苦しんでいる。
 それを横目で見ながら、美食・飽食が許されない時代が必ずやってくる。
 その時に、「武力か又は金力で、強引に食糧を買い占める。」と、政治家や企業家が、甘い先の見通しを行っているとしたら、これは大きな誤算である。
 穀物を生産する国の、不誠実な商社が自国の食糧不足を物ともせずに、おのれの利益追求のために、高価で買ってくれる国に喜んで供給できる間は、何とかなって居るであろう。
 しかし、何ともならないときがキッとやってくる。これが、ことの道理である。
 
ないものは

やはり無い
 無い!! いくらお金を沢山出すからと言っても、「ないものは無い」のだ。
 日本は、今、低い食糧の自給率を気にしないで、工業生産のみに頼って、外貨の獲得に専念している。しかし、これは無謀な行為だとしか思えない。
 このことは、発展途上国のモノカルチャーに似ている。 
 いったん原野化した土地は、簡単には耕地化できない。
 耕地にするための、労力と時間が必要なのだ。
食糧自給・栄養供給の課題
 ① 干ばつと内戦
☆ 各国の栄養不足度(2002年) ☆ 国連世界食糧計画資料2002より

 一般的には 先進国で 栄養不足の比率は低い。

 一方、アフリカの中部から南部に掛けて、栄養不足の比率が高くなっていることが判る。
 人口爆発と栄養不足の関係は密接である。
 しかし、栄養不足度は、様々な問題と関連している。
 ☆ アフリカの場合 ☆
 2005年、アフリカ南部の国、マラウイは大規模な干ばつに襲われた。
 主食のトウモロコシは壊滅的な打撃を受け、収穫は必要量の40%にも達しなかった。
 WFP(世界食糧計画)では、緊急な食糧支援に乗り出したが、援助を必要とする人びとは予想を超えるペースで増え続けた。
 病院には、栄養状態の極度に悪化した子供達が次々と運び込まれた。衰弱して命を落とす子供も数多く出た。
   ☆ 例えば、シエラレオネ内戦(1991~2002年) ☆
 アフリカの各地で起きた内戦も、食糧生産に多くの影を落としている。
 シエラレオネでは、10年あまりも続いた内戦のために、豊だった農地が荒れてしまった。
 荒れ地を開墾する村人の中には、手首のない人もいる。
 反政府勢力によって、手首を切断されたのである。
 農作業を出来なくさせるためであった。被害者の中には、小さな子供達も大勢いる。不自由な体と、無惨に荒らされた農地がここに残った。アフリカでは、このように干ばつや内戦によって、食糧生産の基盤が崩壊してしまった。
② モノカルチャーと経済のグローバル(Global)化
   ☆ ガーナの場合 ☆  (1957年に独立した)
 発展途上国で、食糧の自給が難しいという理由の一つに、植民地時代のプランテーションが生んだ「モノカルチャー」の弊害が挙げられる。
 発展途上国では、食糧の自給が難しいという理由には、植民地時代のプランテーションの影響と、もう一つの要因は、「経済のグローバル化」である。
 ガーナは、人口2、300万人。アフリカ諸国の中では上位に入る経済国ではあるが、食糧自給は達成できていない。
 イギリスの植民地だった時代に、ヨーロッパ向けにチョコレートの原料となるカカオ豆だけを栽培する大農園・プランテーションが各地に造られた。
 独立後もガーナは外貨獲得のためにカカオだけを栽培していた。カカオの生産量は順調に伸び、一時は、世界の50%を占めていた。
 しかし、その価格は、好調だった1980年代に比べ4分の一にまで下落している。
 グローバル化の波がアフリカにまで及び、他の生産国との激しい価格競争に晒されるようになったからである。
  ☆ カカオ取引の中心地:ロンドン ☆
 カカオを買い占めるのは、巨大製造メーカーや投機家達である。
 価格決定の主役はコンピュータ。世界中のカカオの最も安い価格を把握している。
 原価を割ってでも出荷せざるを得ない生産者の事情を反映させることはない。
 価格を決定する力は、外国の投機家達に握られているのである。
 カカオ取引の中心地・ロンドン。カカオを買い付けるのは、巨大食品メーカーや投機家達である。
 市場では、世界中から情報を集め、最も安い買値を割り出すコンピュータが、価格決定の主役となっている。
 原価を割ってでも出荷せざるを得ない生産地の事情を反映させることはないのである。
 ガーナ商工会議所のウィリアム・クロフェ氏は、「ガーナだけでは解決できない問題です。原因は、国際取引にあります。カカオの国際価格の決定権は、外国の投機家に握られているのです。」と、述べた。・・・・・・

 しかし、このことと”食糧の自給とはどのような相関関係があるのであろうか?
 もともと、食糧の自給をしていた国にプランテーションが導入されて、たった一つの作物を栽培すれば経済が成り立つ、ものカルチャー経済(特定の一次産品の輸出に頼る)に変化したのだ。
 プランテーションは、いわばモノカルチャー経済である。
 もともと食糧の自給のために農地を使っていた国に、プランテーションが取り込まれると、独立後も一つのものを生産するだけに留まってしまい、食糧自給のために多様な作物の栽培をする方式へ脱却できない国が多いのである。
 いまも、ガーナは特定の一次産品の輸出に頼り続けている。

  ☆ 食糧の生産と貿易に非常に大きな影響を与えている要因は ☆ ・・・・・グローバル化する経済と大きな資本を持つアグリビジネスだ。
  ○ アグリビジネスは、多国籍化を進めている。
多国籍化したアグリビジネス   これらの企業は、国籍を問わず世界中で活躍している。
 この中に穀物などを取り扱う「穀物商社」がいる。 
 生 産  流 通  加 工  資 材
トウモロコシ
バナナ 
トラック
穀物倉庫 
缶 詰
牛 肉 
 農 薬
トラクター
  食糧の競合の課題
  ☆ 世界での穀物消費量 ☆
 
 アメリカ合衆国は、世界最大の穀物消費国で、一人1年当たり500㎏以上の国である。それはアフリカの3倍である。

 他にも、オーストラリア・アルゼンチンも消費が高い。・・・だが、
 ”消費量の高い国々は、穀物を沢山食べている”とは言えない。
 多く消費している国々は、穀物を沢山食べているわけではない。
 肉生産のために、しかも、美味しい肉を生産するために、穀物を家畜に飼料として沢山食べさせている。
 牛は、本来草食動物である。
 だが、”霜降り肉”のように、肉に脂肪の混ざった美味しい肉は、せっせと食べさせて、いわば”肥満児"を作るように、胃の中に詰めこまないと駄目なのである。アメリカでは、牛肉を1㎏生産するために、穀物を8㎏食べさせている。牛肉を食べると言うことは、間接的に、その8倍の穀物を食べていると同じ事なのである。豚肉の場合には、3.2㎏必要となる。  20世紀の終わりに、世界の穀物生産量は6億トンであったが、その三分の2は家畜の餌に使用され、人間が直接食べるのは2億トンに過ぎなかった。それ以来、美味しい肉のお陰で、肉の消費量が爆発的に伸びたのである。同時に、餌となる穀物の必要量も増加したのだ。
 現在では、およそ20億トンの穀物が生産されている。
  従来、穀物の価格は低く、あまり利益のない生産物であった。
注:これを更に利益の上げるように対策をして・・・と、家畜の餌にすることになったわけである。ここにアグリビジネス企業が進出したというわけである。
 これによって、人間の食糧と家畜の飼料の競合が生まれたわけだ。
 元来、人間の食糧と競合しないから、動物は家畜化されたのであった。 ・・・ 苦縁讃
 

アメリカ中西部のエタノール工場
 現在の穀物生産量=20億トン

 これを、肉を食べずに人間だけが食べた場合、140億人分の食糧に匹敵する。

 これは、現在の人口のおよそ2倍の人びとの食糧とすることができる。
 シカゴ穀物取引所。

 ここで穀物の価格が、取引の状況に応じて決められている。
 先進国が、「家畜の餌のために穀物が必要だ!」となれば、穀物の価格は高騰することになる。

 価格が上がれば貧しい国の人びとは穀物を買うことが出来なくなってしまう。
  
○ 最近では、食糧とエネルギーの競合が起こっている ○
 原因は、バイオエタノールである。
 自動車の燃料に使えば、エタノールは炭酸ガスを発生しない。
 地球温暖化予防に効果的であった。・・と言うわけで、
 トウモロコシが、エタノール生産に使われ出した。
 エタノール工場が急激に増加している。
 これによって、トウモロコシの価格は益々上昇した。
 農家は、毎日エタノール工場と集荷業者の買い取り価格を比較して売り先を決めている。バイオエタノールの急激な増産は、食用としてのトウモロコシの流通に深刻な影響を及ぼし始めている。
 食糧のために、トウモロコシを取り扱っていた近隣の業者は、価格高騰のために従来の3分の2しか確保できなくなっている。

 
☆  日本の食糧自給の問題は、現状のままでよいのであろうか?? 本当に良いのであろうか?
 さて・・
 
一日にダンプカーに何台分の残飯が捨てられるのだろうか? 飽食の国、日本!?
 料理番組が多い。相変わらずに、大食い選手権がもてはやされて居る。
 島国の日本人は、食糧生産の現状とこれから先の見通しが論議されることがない。
 また、他国の人々の飢餓の様子が、よく知らされていない。実は、分かっていないのである。
 人間には食べ物は欠かせない。当然のことなのだが、しかし、今、世界の他国の人々の多くは空腹に泣いている。
 我々は、当面、コンビニに行けば苦労せずに空腹を満たすことが可能である。TVのどのチャンネルも、グルメ番組。
 『う~ん! 甘くって柔らか~!!』等と、レポートしている。
 だが、実は知らない所で、飢餓に苦しんでいる人々は多い。
             
 日本の養鶏場では、鶏に粉砕した麦やトウモロコシに似た作物の実・マイロを食べさせて卵を生産している。 ・・・・?!
  しかし、粉砕されない、丸ごとの麦でさえ口にできない、飢えた人々がいる。そんな国もあるのだ。
 何時までも知らないふりをして、美食を楽しんでばかりは、・・・・・、そんな状況は許されないように思う。
             
 昔、私が子どもの頃には、卵は、村のお祭りか小学校の遠足でもないと口にすることは不可能だった。
 いま、食糧がある。日本には、豊富にある。
             
 しかし、何故だろうか・・?? これを、不思議に思わない人ばかりである。
 かく言う、私も・・・、どっぷりと、この中に浸かりきっている。 (*^_^*)
 
 富裕な国の民達(20%)が世界の食糧の80%を、消費しているというのである!
 自戒しながら、『農業・農村・食糧』について、考えてみたい。

 ☆ 実は、”お金の不思議な魔力”によって、今、我々日本人は”飽食”に浸って居られるのだ!

 かく言う、私も・・・、どっぷりと、この中に浸かりきっている。 (*^_^*)
 
 富裕な国の民達(20%)が世界の食糧の80%を、消費しているというのである!
 自戒しながら、『農業・農村・食糧』について、考えてみたい!

 ☆ 実は、”お金の不思議な魔力”によって、今、我々日本人は”飽食”に浸っておられるのだ!

 (1) ”お金”の不思議な魔力 ・・・ 有ればあるほどに、「もっと欲しくなる」魔力 ・・・
 先進国と言われる国の人口は、およそ2割だという。この国の人々は世界で生産する食糧の、実に8割を思うままに調理して食しているのである。『大食い選手権』等という”お遊び”にも興じている。何故、それが可能なのであろうか? ・・・・。それがお金の魔力である。
          ・ 有ればあるほどに、「もっと欲しくなる」お金の魔力である ・・・
『お金を出せば、食糧はいくらでも手にはいるよ!』 ・・・ 確かに、そんな考え方が主流を占めている。!!
だが、





 発展途上国で生産された食糧は、自国の人々を相手に売るよりも、先進国に売った方が高額の利益が上がる。
 食糧だけではない!建築資材だって、貧しい自国の人々を相手にするよりも先進国に売る方が儲かる!
  そこで、発展途上国の人々は飢えに苦しみ、StreetーChildren(浮浪児)も増加する。
 一部の大企業や自国以外の他国資本の企業によって、人々のつながりは途切れ山や農村は荒れることになる! これが魔力だ!
 自国の未来よりも、自分の今の財布の中身のことが重要なのである!富める者も、そして、もちろん貧しい者も・・・!
 先進国(我が国もその中に入っているようだ?!)・・・何かが先に進んでいるから・・・ !? 確かに日本は、・・・まるで「天国」だ!
 先進国では、やすい資材を使って(しかもその資材を可能な限り少なく使って)、物造りをする。建築物(家)・機会・器具・・・、外国からの安い労働力を頼りにし、更には外国に会社を作って逆輸入する。消費者は安い方がよいからである。
                              
 その結果、次のような変化が起きている。・・・具体的には、「食糧・農業・農村基本問題調査会」の答申に目をお通し願いたい。
 山の産物は顧みられなくなった。→  山が人間社会とは離れて存在するようになった。
 農村から、昔は在った「村の姿」が消えてきた。 → 過疎化は進む一方である。
 食糧などの農産物が、輸入物に頼るようになった。 → 農家の子弟は、農業することに”天職だ!”という誇りが持てなくなった。
 耕作可能な田畑やかつて祖先が植林した山林は放置されてきた。 → 山崩れ・雨後の鉄砲水・洪水が多くなった。
        △  人工林特有の過密な生物環境となった。   →  山の動物が里に出てきて、畑や田の作物を食べるようになった。
 日本に食糧などを輸出する後進国と同様に、”村”が崩壊し始めてきた。 → 過疎化は、拍車を掛けて進んでいる。
 若者達は、食糧の重要さを知る術を失った。 → だが、・・、どこかで、誰かが額に汗して働いて・・・、一粒の米を生産している。
                            
 いま、ここに至って、『政治家は何してんだ!?』と、怒鳴っても、事はすでに遅いのである。
    2010年2月現在。 ゴールドラッシュならぬランドラッシュが起こってきた。
 発展したインドや中東諸国、そして中国・韓国等の国が、アフリカやロシア・ウクライナなどの農耕地を買い取る戦いが始まっている。
(韓国では、国内の全農地に匹敵する土地を国外で獲得する国策を行っている。)
 生産された農産物を買い取るのではなく、直接、外国の農地を買い取るのである。
 「お金を出せば買える!」時代ではなくなりつつあるのだ。 作物食糧を作る農地が、国家によって買収され、確保されているのである。
 今世紀末には、人口が90億人を超えそうな宇宙船地球号! いまでも、弱肉強食の世界がそこにある。 土地を手放さざるを得ない貧しい国も在るのだ。
 ◎ 「食糧・農業・農村基本問題調査会」の答申。それは、長年踏襲されていた「農業基本法」に変わる新しい時代の農政改革素案であった。
 これは、一体何を訴えているのであろうか? どのように理解すればよいのであろうか?

 一日の我が国で作られる残飯の量は予想以上に多い。そんな日常の中で、我々は、食糧自給率が30~40%の現実を無感覚で聞き流している。むしろ、ほとんどの人々が「食料は、有り余っている。」という感覚でいる。
 日常生活では、単純に”食品が高いか?!安いか?!”の判断にとどまっている。
 「農業・農村とは何か?」について、考えた人はそんなに多くは居ない。

                                   
 都会と田舎(いなか)。それは、ひょっとすると「文化」と「野蛮」と、言葉を置き換えても良いほどの、『偏見』か『とんでもない誤解』と言っても過言ではなさそうだ。
 このたび
「農業基本法」に変わる新しい時代の農政改革素案として、日本の食料が真剣に討議され、農業と農村が広い見地から見直されたことは、大変に意義深いことである。
                                   
 ここにご紹介した情報は10年以上も前のもの、一見、古い様に思われがちであるが、決してそうではない。
 リーダーや為政者が呼びかけた事柄が、15~20年後になって、はじめて地域社会に反映されてくるようである。
 企業体の動きや、世の中の流れは、そんなモノだ。
 流行歌や、ファッション、他人の流言飛語とは性格を異にしているのである。
 中央教育審議会の答申や改革プログラムが示されて、もう、10年以上経過している。
 いま、やっと地方政治に反映されようとの動きが出始めている。
 日本という国体の性格であろうか?諸外国と比較することは出来ないが、・・・・・・、今になって、各種の動きが、それらに基づいて動こうとしている。
 しかし、それらの答申の真意を本当に理解して居るようには思えないところがもどかしい。
 未だに、「腐ったお役所仕事」「無神経なロボット」が、機械的に役目を果たそうとしているとしか思えない節もあるからである。

                                                       By  苦縁讃
☆ 体制と経緯 ☆
起 こ り  内閣総理大臣の諮問機関として、平成9年に設置された。
 食糧・農業・農村政策全般について、各階の有識者達が審議・協議を重ねて練り上げられたのであった。

 現在、我が国では、政治・経済・社会全般にわたって大きな転機を迎えています
 人口・食糧・環境・エネルギー問題は、地球規模の21世紀の課題であり、我が国の食料・農業・農村についても、従来の農業政策や考え方では対処できなくなりつつあります。
 食料・農業・農村の在り方について、国民全体・国土全体の問題としてとらえ直し、新しい政策としていくことが必要となっています。
その後の

経緯 
  ○ 平成9年6月以降:食糧、農業、農村の各部会においてあらかじめ討議・整理
  ○ 同10月には全国4カ所(札幌、仙台、岡山、熊本)にて地方公聴会が開催。
  ○ 12月19日中間とりまとめ決定され、島村農林水産大臣に手渡し
  ○ 平成10年度夏を目途に最終答申
(平成10年9月18日)の運びとなった。
☆ 調査の内容 ☆
Ⅰ 食糧・農業・農村を考える基本的な視点  ・・・・ 2010年までを想定し、国民的見地に立って、食料・農業・農村を一体として施策の対象として検討された。

今後は国民的見地に立って、食料・農業・農村を一体として施策の対象としていくことが必要となっています。その背景は以下のとおりです。
品質・安全性を含む食料の安定供給、食生活の変化への対応といった食糧の問題が重要となっていること。
農業を日本社会の中に的確に位置付け、担い手を励まし、消費者の信頼と理解の得られるものにしていくことが必要となっていること。
地域社会を維持し、活性化することが、必要であること。これを通じて国土や環境を保全する機能を維持することが重要となってきていること。

この、食料・農業・農村のあり方について考えるに当たって、次のような基本的視点を踏まえる必要がある。

1 食糧供給の安定は、国民生活の基盤であること。
2 農地と森林は、水をはぐくみ国土をつくる機能を備えていること。
3 21世紀は、安定的で持続的な社会の形成が求められること。
4 人口・食料・環境・エネルギー問題は、地球規模の問題としてとらえないと破綻に突き当たること。
5 少子化・高齢化の進行や経済社会のグローバル化の進展など、今後、経済社会全般にわたる変化が進行すること。
 極、当然で当たり前のことであると思うのだが、高名な有識者たちの調査の上、ここにこのように真面目に発表されたのは、今の社会状況を反映するものであった。
 食料・農村は、蔑視され見向きされない時代が随分と続いた。食料品売り場では、卵や牛乳が考えられないほど安値で店内に並べられているではないか。消費者意識はそのようなものである。易ければ何でも良いのだ?!卵から命が育つ。牛乳で子牛が育つ。これほど完全な食品はないのだ。(島国の日本、「いのち」の尊厳性を忘れてしまっているのか、農村や農業を心底見下しているとしか思えない。)
 これからもしばらく続くものと予想される。皆の気づきは早いほど良い。遅くては間に合わないからだ。    ・・・苦縁讃
『課題として』 ○ 農業を日本社会の中に的確に位置付ける
○ 担い手の励まし策
○ 一層の努力で、消費者の信頼と理解の得られるものにしていく
   (安い外国産の食品が安全か?)
○ 地域社会の維持・活性化を通じて国土・環境保全機能の維持・向上
 
(森は大切である。しかし、村は不便!里山は荒廃し、過疎化が進んでいる)
○ 「百姓」が、逞しく食料を生産してきた。
○ そして、「天職」として、誇りさえ持っていた。
○ 「自然」を相手に、汗をかく。工場で、生産するようなわけにはいかない。 
○ 効率化を図ることが困難な自然相手の農業。他産業並みの収益を得ようとすると、
  到底無理難題となる。・・・・。そこで、離農する者が増えた。       By 苦縁讃
   1 国民生活の基盤である食糧供給の安定を期すために・・・・
 食糧の自給は、

  
国家社会・国民生活の安定と安心の基盤をなすものである。
○ 今、世界的な飢餓の時代なのだ!「お金さえ払えば、いつでも食糧は手に入る。」だろうか?

○ 気候の予想外な変化によって、輸入先の国の作物が不作だったら・・・?!
  それでも、食糧を、売ってくれるだろうか?・・・。何時までも買えるだろうか?

○ 農薬や害虫混入のチェックができるだろうか? ・・・ 等と不安である。

                               By 苦縁讃
  2 水をはぐくみ国土をつくる農地と森林・・・・
 農地や森林を守り、水を維持管理する活動が持続的・継続的に行われることにより、荒廃を免れ緑豊かな人口扶養力の高い国土が維持される。 しかし、昔はそれが出来ていた。
 地球の砂漠化の原因は、樹木の伐採から始まった。
 昔、青銅をそしてもっと効率の良い「鉄」を造るために、樹木伐ってしまった。
土地の保水力が落ち、作物が不作となった。・・・・。そして、降雨量が減少。砂漠化した。
 分かってはいても、山の手入れはできない。経費のみ掛かって、収益がないからだ!
 農山村が、水資源を守っている。文明の排出するCOを吸収する森を守っている。だが、街の人々は、土地を所有する里の人々に羨望の目で反感さえ抱いている。水と空気は永久・無限に存在するモノではないのである。
                                    By 苦縁讃
  3 持続的な社会の形成が求められる21世紀  ・・・・ 人々の価値観や生き方の転換が求められる。
20世紀は  鉱物や化石燃料など、枯渇性資源に依存してきた
めざましい経済発展
 大量生産、大量消費、大量廃棄が、経済発展のためには必要なことでもあった
 自然の循環や再生を重視しない形で機能性、経済性、効率性の追求してきた
                            
これからは、    
三つのことを 重視すべきである  ○人間と自然・環境の再発見
 ○人間と人間(国際化)
 ○人間の過去(歴史、伝統、文化)
進歩発展といった価値観  ○ 調和と共感
 ○ 物からこころ
 ○ 健康や暮らしの心地よさ、美しさを優先
                            
これらの感覚を回復しなくてはならない !!
 人が自然を慈しみ
 いのちの安全と安心の確立
 食べ物を大切にし
 人と自然との美しい関わりを、今一度考える。
  4  地球規模の問題である人口・食糧・環境・エネルギーについて
  ◇ 人口増加の問題化
人口増加 1960年 1996年 2010年 2025年 資料:国連(World Population Prospects:the 1996 Revision)
30億人 58億人 69億人(ピーク) 80億人
 
  ◇ 食生活の向上により、需要が大幅に増大するであろう
  ◇ そのために、過放牧、過耕作、塩類集積による土壌劣化、砂漠化、等の不安要因が考えられる
  ◇ 地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨による農業生産物への影響が予想される。
  ◇ エネルギー需要の増大ひっ迫
注:
畜産物1Kg生産に要する飼料穀物量
(トウモロコシ換算) Kg
 畜産業界では、この数値を「飼料要求率」と言っている。

 右の各動物タンパク質を生産するために、表に示した量のトウモロコシが必要とされるのである。
世界の何処かには、トウモロコシはおろか、砂混じりの小麦さえも口にできない人々が居る。
鶏卵 鶏肉 豚肉 牛肉
11
注:過放牧、森林過伐、塩類集積による砂漠化の進行 資料:UNEP(Status of desertification and Implememtation of the United
       Nation Plan of Action to Combat Desertification)
灌漑農地 100~130万 ha/年 天水農地 350~400万 ha/年
  5 わが国経済社会をめぐる将来展望
  (1) 人口構成 ・・・・・・ 2007年にピーク  2010年に1.276億人
   ○ 輸入依存度の高いわが国の
      食糧安定供給確保
食糧需要、労働力供給、農村地域の活力に影響
   ○ 少子化・高齢化の進行
  (2) 経済の動向
    ○ 高齢化 貯蓄率の低下、資本蓄積の伸び低下
     ○ 海外生産比率の上昇、製品輸入の増加 経常収支の黒字減少
  (3) 価値観の変化 ・・・・・ 過去は、欧米諸国へのキャッチアップが目標であった。
   ○ 物の豊かさよりも心の豊かさを求め、満ち足りた生活や文化を優先
   ○ 所得の向上や利便性だけではなく、こころのゆとり
       人々や自然とのふれあいを求める
  (4) 国際化
国際的な協調、地球規模の課題への取り組み等・・地球的な視野から検討
Ⅱ 食糧・農業・農村の当面する課題 ・・・・・ 我が国の食料・農業・農村は次のような課題に当面している。

 食糧の自給率が先進国の中でも特に低いもの(供給熱量自給率42%、穀物自給率29%)となっている中にあって、将来にわたって食料の安定供給を確保していくこと。


 消費者・国民からは、食糧供給について量的な面ばかりでなく、質的な面での向上が求められている。今後、政策全般にわたり消費者・国民の視点に立ち、そのニーズに対応すること。
 食品産業について、食糧供給の重要な担い手として健全な発展を図ること。
 担い手や農地が減少する中で、農業が発展していくよう、構造の変革を進めること。また、意欲ある農業者の経営の安定を図ること。
 中山間地域等をはじめとして農村の過疎化・高齢化が進む中で農村地域の振興・活性化と魅力ある「むらつくり」を進めること。
 農業が環境を保全する機能を十分に発揮できるようにすると同時に、化学肥料、農薬等により環境に加えている負荷を軽減すること。
 飢餓・貧困問題の解決に向けて、食料・農業分野における国際貢献を行うこと。
 その他諸外国の農業政策の動向や財政事情を踏まえること。
   (1) 食糧の安定供給の確保
 ☆ 食糧自給率の取り扱い ☆
食糧の自給率とは、木民に供給される食糧の内、国内生産でまかなうことのできた割合を示す指標(比率)である。

 食料自給率には個々の品目ごとのもの、個々の品目を総合して一つのしたものがある。
 また、計算方法としては重さをもとに計算する方法(重量ベース)や熱量をもとに計算する方法(カロリーベース)などがある。
 現在。食料自給率として主に使われている指標として次の三つがある。


 品目別自給率(重量ベースの自給率)・・・国民に供給された食料について、それぞれ品目ごとの量のうち、該当する品目の国内で生産された割合。
    【平成8年度   米:102%、小麦:7%(小麦供給量640万t:国内での生産量48万t)、野菜:86%、肉類:56%】
 穀物自給率(重量ベースの自給率)・・・品目別自給率の一つであり、国民に供給された穀物(米、麦、飼料穀物など)の量のうち、国内で生産された割合。【平成8年度 29%】





 供給熱量自給率(カロリーベースの自給率)・・・国民に供給された食料の総熱量のうち、国内で生産された食料の熱量の割合。
 多種多様な個々の品目をカロリーに置き換えることにより一つのものとして総合的に見ることができる。
 【平成8年度 42%(国民に供給された食料の総熱量約2,600kcal:国内で生産された食料の熱量約1,100kcal) 】
 これについて畜産物についてみると、国内産の飼料で生産された畜産物のみが、国内産の供給熱量として計上される。
   ○ 畜産物の供給熱量ベースの自給率の計算方法(豚肉の場合) ○
    
{豚肉の国内生産量(126万t)÷豚肉の供給量(213万t)}×国内の豚肉生産に充てた飼料の国内での生産割合(10%) =59% × 10% = 6%

 我が国の畜産に用いる飼料はその大部分を穀物として輸入している。
 例えば、豚肉は国内生産割合が59%であるが、飼料の国内生産割合は10%に過ぎないため、供給熱量ベースの自給率では6%となる。
 このように「畜産物そのものの国内生産が多くても、飼料の多くを輸入に依存しているために、供給熱量ベースで見た場合自給率は低いものとなる。

 仮に、食生活の変化によって豚肉の消費が増え、その増加分をすべて国内生産でまかなったとしても、豚肉の生産には一般的に大量の輸入穀物を飼料として用いるため、供給熱量ベースで見た場合、食料自給率は低下する可能性も十分にある。
 

自給率 平成7年度 昭和35年度 資料:農林水産省「食料需給表」
カロリーベース(供給熱量自給率) 42% 79
穀物自給率 30% 82
供給熱量/人/日 2,638kcal 2,291

食料自給率は、供給熱量自給率で昭和40年の73%から平成8年の42%にまで低下した。これは、
① 自給品目である米の消費が減少したこと。                                 
② 畜産物や油脂の消費が増大し、このため飼料穀物や油脂原料等の農産物の輸入が増大した。
など、食生活の変化が大きく影響している

 ☆ 食糧自給率の低下要因 ☆
低下寄与率(%) 主要指標 昭和40年度 平成7年度
米の消費減少 31 純食料kg/人/年 111.7 kg 67.8
飼料輸入増 16 穀物輸入量 597 (万t) 1,640
油糧原料
輸入増
16 大豆・菜種輸入量 195 (万t) 669

○ 食料自給率を政策目標として位置づけるべきか ○
意見 A 政策目標とすべき B 政策目標とすべきでない
理由 食料自給率が先進国中で極めて低いものになっている。食料はできる限り国内でつくる方がよいと考える人が8割以上も占めるという世論調査の結果も踏まえ、食糧自給の向上を図るべきである。 食料自給率は、主に消費変化によって低下してきたたものであり、行政が介入することは困難である。
食料自給率は分かりやすいので、政策目標につき国民合意を得やすい。 食料自給率は国内生産力を示す客観的な指標ではない。むしろ食糧供給力の維持のための政策体系が重要である。

○ 我が国の自給率はきわめて低い水準である ○
人口一億人以上の国の穀物自給率
 中 国   インド  旧ソ連 米 国 インドネシア ブラジル  日 本  パキスタン バングラデシュ ナイジェリア 資料:
FAO 2010年の世界農業
人口 (百万人:90年) 1119 853 289 250 184 150 124 123 116 109
穀物自給率(88~90年) 95% 99% 74% 151% 96% 88% 29% 101% 89% 88%

◇  農地面積は減少し、耕作放棄が増加しつつある。
◇  担い手の減少がはじまり、更に高齢化が進む。
  (2) 消費者・国民のニーズへの対応
  (3) 食品産業の健全な発展
    
零細な経営が多い。   流通の合理化の遅れ      海外との競争激化、空洞化
  (4) 農業構造の変革と農業経営の安定
      
経営規模の拡大等経営体質の強化が立ち後れている
    ○  地域による農業の立地条件の相違に配慮しつつ農業構造の変革を進める
  (5) 農村地域の振興・活性化と魅力ある「むらづくり」

 過疎化・高齢化の急速な進行  地域社会の維持や国土・環境の保全に支障
 耕作放棄
  (6) 農業と環境の調和
  (7) 食糧・農業分野における国際貢献
  (8) その他の食糧・農業・農村をめぐる環境条件
      
厳しい財政事情の中で財政措置・・・効率的・重点的に
Ⅲ 食糧・農業・農村政策の基本的考え方・・・・ なお、以下の考え方には賛否両論となっているものもあるので、
                                                         国民の意見を踏まえながら考え方を集約してゆく必要がある。
 1 国民の生命と健康を守る食糧安全保障政策の確立
 (1) 不安定化する世界の食糧需給

 世界の食糧需給は、短期的な不安定さが増すとともに、中長期的にはひっ迫するおそれがある。
 
その背景は以下のようなものがある。
 人口が急激に増加し、また食生活が高度化するため、食糧需要が大幅に増大する。
 世界の農用地の拡大には限界があり、また、土壌劣化、砂漠化など環境問題が顕在化するなど生産面での制約が強まっている。
 輸出する国は特定の国に偏る傾向にあり、また輸出国は食料の在庫を減少してきている。
○ 開発途上国を中心に大幅な人口増加が続いている ○
(単位:億人)
1995年 2010年 2025年 資料:
 1996年国連人口推計
世界全体
  先進国
  開発途上国
    アフリカ
    アジア
57
11
45

34
69
12
57
11
42
80
12
68
15
48

○ 人為的要因による土壌劣化が進んでいる ○
過放牧及び不適切な農業活動による土壌劣化面積の農用地面積に対する割合
アジア ヨーロッパ 北中米 南 米 アフリカ 豪州 (資料)
UNEP「World Map of the Status of Human-induced Soil Degradation」(1990年)
FAO「Production Yearbook」
28 % 19 % 20 % 22 % 34 % 19 %

○ 砂漠化に至っている面積は毎年500万ha以上に及んでいる ○
合計 500万ha/年以上 (資料)
UNEP「Status of Desertfication and Implementation of the United Nation Plan of Action to Combat Dsertification」(1991年)
 内 灌漑農地
    天水農地
100 ~130万ha/年以上
350 ~400万ha/年以上
その他、放牧地でも多くの面積が砂漠化      
 (2) 国民が必要とする食糧の安定供給の確保
 食料の安定供給を確保していくためには、 ① 国内農業生産  ② 輸入  ③ 備蓄 を、適切に組み合わせていくことが必要である。

○ 我が国は人口では世界の2%に過ぎないが輸入する食料では世界の農産物貿易の1割を占め、世界一の食糧輸入国である。
○ 農産物の純輸入額 ○     億ドル         1994年
日本 ドイツ ロシア イタリア イギリス (資料)FAO「Trade Yearbook」
(注) 純輸入額=輸入額ー輸出額
361 161 97 95 93

 A 〔国内農業生産を基本として位置付けるべきであるとの意見〕
輸入依存が更に高まると、食糧供給構造の危険度が高まる

食料輸入を拡大すると、発展途上国の食料調達を更に困難にする。自国の資源を最大限に活用することが必要であり、これは地球社会の中での責務である。

農業を適切に維持することにより、国土・環境保全等の機能が発揮されて、国土保全の公益的・多面的機能を十分に果たすことができる。このためにも国内生産を維持すべきだ。



今後、わが国の経済収支が黒字が減少した場合には、また、食料輸出国が国内で供給不足になった場合、日本への輸入が確保されるとは限らない。
備蓄は輸入の短期的な変動に備える措置であるが、品質やコスト面に限界。

農業生産投入財価格等の比較 資料:農林水産省調べほか
日  本 米  国
農地価格(千円/10a)   1995 1,690 (106倍) 16
農地面積(ha)/戸    1995 1.5  (1/127) 189.8
製造業労賃(円/時間)  1995 2,208 (1.9倍) 1,164
農薬(NAC剤)(円/kg)  1996 1,447 (1.3倍) 1,099
電気料金(円/kwh)    1995 17.0 (3.4倍) 5.0

B 〔国内農業生産と同様に輸入の役割も重要であるとの意見〕
日本の農産物は生産コスト高い。これを拡大すると国民の負担が増大する。
国際協調の時代である。輸入先の多元化等食糧外交によって輸入を確保すべきである。

  (3) 食糧自給率の取り扱い
A 〔食糧自給率を政策目標とすべきであるとの意見〕
「コストを下げながら国内で・」の意見、世論調査結果の8割
「コストを下げながら国内で・」の意見、世論調査結果の8割 資料:総理府「食料・農業・農村の役割に関する調査」
外国産より高くても生産コストを下げながら国内でつくる方がよい H8.9
将来の我が国食糧事情について不安がある 71%
政策目標とすることについて国民合意得やすい。(わかりやすい指標)
B 〔食糧自給率を政策目標とすべきでないとの意見〕
自給率を政策目標とするには行政が国民の食生活に積極的に介入・コントロールしなくてはならず困難。
自給率は食生活の内容によって大きく変わるもので、国内生産力を示す客観的な指標ではない。国民に安心感をもたらすためにはむしろ食糧供給力の維持が必要。

 (4) 食糧供給力の維持・確保
 国民が安心して暮らすことのできるようにするために、将来、我が国が食料を安定的に輸入することが困難となるような事態が生じた場合でも、国民にとって最低限必要な栄養を供給できるようにしておく必要がある。このため、農業生産基盤(農地、水、担い手、技術等)の確保が必要である。
○ 将来我が国の食糧事情に不安があるという人が7割以上を占める ○
まったく不安はない あまり不安はない 分からない ある程度不安がある 非常に不安がある 資料: 平成8年9月
総理府「食料・農業・農村の役割に関する世論調査」
3.1% 23.1% 3.3% 53.2% 17.3%
   ○  食糧需要が逼迫して安定した輸入が困難となるような事態が生じても、最低限必要な栄養を国内で供給できるような生産基盤(農地、水、担い手、技術等)の確保が必要である。
   ○  安定した輸入が困難になるなどの事態に対処し、最低限必要な栄養水準の確保を優先して、体制作り・・・
                                
農業生産への迅速・的確な転換に必要な農地総量を明確化する
国民に対する適正な価格での公平な供給のための体制を検討
○ 我が国の総農地面積は主要国と比較して少ない ○
アメリカ E.U フランス イギリス ドイツ 日本 資料:EUROSTAT「RAPID REPORTS 1995.12」ほか

注:
  1.日本の一戸当たり農用地面積は「耕地及び作付け面積統計」の耕地面積を農家戸数で除したもの。
  2. アメリカは1995年、EUおよびEU諸国は1993年の数値。
  
農用地面積(万ha) 39,255 12,845 2,811 1,638 1,702 504
  同   (倍) 78 25
農家一戸当たり農用地面積(ha) 189.8 16.4 35.1 67.3 28.1 1.5
農家一戸当たり日本と比較(倍) 127倍 11 23 45 19

 
(5) 安全・良質な食糧供給と的確な情報提供 ・・・ 食糧の相当部分が破棄されその割合が高まる。栄養のバランスが崩れてきている。
 量の確保とともに、安全性、品質・鮮度といった質の面を含めた食料の安全供給が求められている。このような国民のニーズに的確に応えられるような供給側の各段階において、より安全で良質な食料を供給するための努力が必要である。
 また、国民が適切な商品選択を行うことができるよう、規格・表示など的確な情報提供を行っていく必要がある。
○ 国民は食料について質の面を含めた安定的な供給を求めている ○
そう思う どちらともいえない わからない そうは思わない 資料:
 総理府「食料・農業・農村の役割に関する世論調査」
栄養のバランスがとれている 68.5 13.0 2.4 16.0
品質や鮮度の良い食品をとっている 83.7 8.9 2.3 5.2
有害物質のない安全な食品をとっている 55.5 22.6 6.1 15.9
   ○ 食生活に関する啓発に努める。

 (6) 食糧供給の担い手としての食品産業の発展
  ○ 適正価格で供給するために、一層の合理化・効率化
  ○ 原料農産物の内外格差を縮小
  ○ 国産原料の価格適性化、品質面での安定的供給
  ○ 内外格差の縮小を踏まえつつ、農業者の経営の安定

食料品の内外格差 
    (平成8年11月)
価 格 比   (東京=100) 資料:農林水産省「東京および海外主要5都市における食料品の小売価格」
    為替レート:113.29円/米ドル、190.72円/英ポンド、22.38円/仏フラン、75.02円/独マルク、89.09円/スイスフラン
ニューヨーク ロンドン パリ ハンブルグ ジュネーブ
平均 80 79 86 76 102
☆ 次世代にむけた農業構造の変革
我が国の農業の構造を見ると、零細経営が多くを占めている。特に稲作などの土地利用型農業において経営規模の拡大が進んでいない。
農業者のうち「昭和一桁世代」が4割を占めるが、そのリタイアする時期がちかずきつつある。これを契機に、農業構造の変革を進めていくことが必要である。
○ 経営規模の拡大は進んでいない ○
農家一戸当たりの平均経営規模
昭和50年 昭和60年 平成2年 平成7年 資料:
農林水産省「農林業センサス」、「農家経済調査」
全国(ha) 0.97 1.05 1.14 1.20
北海道(ha) 6.76 9.28 10.81 12.64
都府県(ha) 0.80 0.83 0.89 0.92
  (1) 農業構造の変革と生産性の向上
 効率的な経営体は自立の精神と優れた経営感覚を持っている。このような経営が地域農業の中心を担うよう農業構造の変革を加速すべきである。
 このため、経営感覚に優れた意欲のある農業者(認定農業者数の増加)に施策を集中すべきである。これによって規模拡大等による生産性の向上や高付加価値化を進める必要がある。

 
また、農地の流動化、農業基盤整備、技術開発の施策について、構造の改革と結びつけ重点化していくべきである。
○ 農業外部からの就業も出てきている ○
37年 40年 45年 50年 55年 60年 H2年 7年 資料:
農林水産省「農業構造動態調査」、「農林業センサス」、全国農業会議所調べほか
新規学卒就業者(農業が主) (千人) 79.1 68.0 36.9 9.9 7.0 4.8 1.8 1.8
新規学卒就業者(他産業が主)(千人) - - - - 32.5 25.0 23.2 19.0
Uターン就業者(39才以下) (千人) - - - - 26.7 15.7 2.5 5.8
新規就農ガイドセンター等   (人)
   相談者数
   就農者総数

-
-

-
-

-
-

-
-

-
-

-
-

754
92

2,474
311
都道府県農業大学校への入校者数(人)
   うち 非農家出身
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1,942
156
1,986
319
2,342
524
自立の精神とすぐれた経営感覚を持った効率的な経営体が中心となるよう、農業構造の変革を加速
経営の複合化、高収益作物の導入、高付加価値化、多角化によって自立的な農業経営確立。基盤整備、技術開発などによる生産コスト低減・高付加価値化
     
  (2) 意欲ある多彩な担い手の確保・育成
意欲ある多彩な担い手の確保・育成のため、 ① 農家の後継者の育成 ② 農業経営の法人化 ③ 農業以外の分野からの新規参入などを進めるべきである。
○ 経営の効率化のための法人経営が増加している ○     平成7年
合計 果樹・花卉

花卉
畜 産   

養豚・養鶏
資料:
 
農林水産省「農林業センサス」
法人 計 4,986 611 357 2,726 1,737
うち  農業組合法人
    株式会社
    有限会社
1,529
951
2,073
233
120
223
71
103
165
625
632
1,247
300
546
813
任意組合・その他 1,453 170 54 138 39
経営組織計 6,439 781 411 2,864 1,776

 女性は農業者の6割を占めており、その地位を明確化し、向上させる必要がある。高齢者も担い手としてその経験を生かした活動ができるようにすべきである。
○ 農業者のうち、女性は6割を占めている ○      (平成7年)
区分 計(万人) 15~29歳
30~39歳
40~49歳
50~59歳
60~歳

65歳~
資料:
農林水産省「農林業センサス」

注:
 農業就業人口は、販売農家ベースである。
農業就業人口 ①
  うち女性   ②
414
237
21
29
20
46
29
69
47
248
132
180
92
割合 ②/① (%) 57.3 44.5 69.4 62.4 67.3 53.2 50.9

経営の法人化・・外部からの就農、農作業の受委託事業体、第三セクタ等
男女共同参画社会形成:家族経営協定の活用により女性の地位向上と明確化したり高齢者も担い手として考え、各種の施策を・・
      
  (3) 農地制度のあり方 ・・・・ 農地は一貫して減少しているが、食料供給のため優良農地を確保していくことが必要である。
                   このために、農地の公共性についての認識を徹底すべきである。
○ 農地面積は一貫して減少している ○
昭和40年 50年 60年 平成2年  8年  資料:
農林水産省「耕地及び作付け面積統計」
農地面積 (万ha) 600 557 538 524 499
農地かい廃面積 (万ha) 7.0 8.9 3.6 4.7 4.8

農地は単なる資産ではなく公共性の高い財であるとの認識の徹底が必要
土地利用型農業、株式会社の農地の権利取得について賛否両論、農地の投機的取得の防止を検討しつつ将来の農業構造を展望しつつ、農業生産法人制度の在り方を検討
 農地に関する権利の移転・設定については、投機目的などによる農地の権利取得を排除し、農地の有効利用を図る観点から、農地法により規制されている。株式会社による農地の権利取得は認められていない。
 株式会社に野市の権利取得を認めるか否かについては、賛否両論があり、引き続き検討を行う。
A 〔株式会社の農地の権利取得を認めるべきであるとの意見〕
農業以外から様々な経営能力(情報力、技術開発力、マーケッティング・ノウハウ等)を持つ株式会社が農業に参入することで農業全体が活性化する
農業生産法人が、株式会社となることにより、規模拡大や加工・流通分野への進出のための資金調達が容易となる。
すでに、現在、畜産・施設園芸部門で株式会社が参入し活躍している。土地利用型農業においてのみ株式会社の参入を認めないのはおかしい。
土地利用制度充実、農地転用規制の強化による、農地の投機的取得や無秩序な転用の防止が可能である。上記の参入の規制は適切ではない。

B 〔株式会社の農地の権利取得を認めるべきでないとの意見〕
現在の状況下では、不耕作や転用を目的とする投機的な農地の取得を、完全に排除できない。無秩序な農地転用につながりかねない。

土地利用型農業の収益性を踏まえると、資本の集合体である株式会社では収益の出ないときには、採算性の問題から事業から撤廃し、農地荒廃につながる。
農業は水管理、土地利用などの面で地域の集団的な活動により成り立っている。株式会社の参入は地域社会の繋がりを乱すおそれがある。
自然相手の農業は、家族経営が基本であり今後もこれを崩すべきではない。
      
☆ 市場原理の活用と経営の安定
  (1) 価格政策における市場原理の一層の活用
  国民生活の安定を図る上で特に重要な品目について、価格安定の措置が講じられてきており、これは国民の家計を安定させ農業経営を安定させてきた。
     しかし、問題は・・・
需要の動向が生産者に的確に伝わりにくい。
零細企業も含めて、すべての農業者に効果が及ぶので、農業構造の改善につながらない。
内外格差の是正につながらず、製品半製品の輸入増加、食品産業の空洞化となって、ひいては国産農産物の需要の減少。

  (2) 意欲ある農業者に対する経営安定対策の在り方
このため、価格政策において「市場原理を一層活用することが必要である。これによって、価格が需給や国民のニーズを反映するシグナルとしての機能を十分に発揮しうるようになる。
需給事情によって価格の変動幅を大きくすることは、大きな価格低落では、
大規模な意欲ある農業者の経営が大きな打撃を受ける。
作目別の生産・流通事情に応じた経営安定措置の導入
中・長期的には個々の作目ごとではなく経営全体をとらえた安定策を・・・
○ 主要農産物ごとに価格安定制度が設けられている ○
類 型 対象農産物 制度の概要
最低価格保証制度 麦類
甘しょ、馬鈴薯
てん菜、さとうきび
市場価格が一定の最低価格水準を下回る場合に政府が買い入れることなどにより最低価格を保証する。
安定帯価格制度 豚肉、牛肉
繭、生糸(廃止予定)
農畜産業振興事業団の売買操作や生産者団体の調整保管などにより、一定の価格を安定指標価格の一定市場価格を安定させる。
安定指標価格制度 指定乳製品 農畜産業振興事業団の売買操作や生産者団体の調整保管により、市場価格を安定指標価格の一定幅に収れんさせる。
交付金制度 加工原料乳 保証価格とメーカー支払い可能価格との差額を交付金として不足払いする。
大豆、なたね 基準価格と標準販売価格との差額を交付金として不足払いする。
肉用子牛 指定肉用子牛の平均売買価格が保証基準価格を下回った場合に生産者補給金を交付する。
需要・価格安定制度 全体需給のバランスを確保するため、計画に基づく生産調整、備蓄、調整保管、安定流通の実施を行い、米全体の価格安定を図る。

  (3) 米対策のあり方 ・・・・・・・  米の過剰基調とその他の作物の自給率の低さが同時並行的に存在

水田の
公益的な機能
○ 稲作は、米の生産基盤 ◇ 当面して、米の生産調整 ・・・ 実施しながら・・
○ 国土・環境保全
○ 水資源の涵養
                                                                   
他作物への転換進める・・・ 各地区において適地適作の観点を踏まえて、地域農業の在り方を積極的に再構築。
意欲ある農業者が大きな打撃をうける事態を避けるために・・・
  政策方向に沿って、農業者の参加と一定の負担の下に経営の安定を図る措置を講じる必要がある。
  (4) 農産物についての内外較差の縮小への対応策
我が国の農産物については、諸外国と比べ無いが格差が生じている。これは経営規模が小さいこと、地価、資材料、人件費が高いことなどのコスト要因による。
 しかしながら、内外格差の拡大により、食料の製品輸入の増加や食品産業の海外進出に伴う空洞化が生じ、結果として国産農産物の販路を狭めてjきたという問題がある。
 米以外の農産物についても意欲のある農業者の経営の安定を図りながら内外格差を縮小していく必要がある。
○ 消費者価格で比較すると食料品価格は諸外国に比べ2割程度高い ○  H8.11.調査
価 格 比  (東京=100)
ニューヨーク ロンドン パ リ ハンブルグ ジュネーブ 資料:
農林水産省「東京及び海外主要5都市における食料品の小売り価格差」

注:
 為替レートは、1ドル=113.29円、1ポンド=190.27円、1仏フラン=22.38円、1マルク=75.02円、1スイスフラン=89.09円
食料品(調査品目平均) 80 79 86 76 102
 米 40 79 126 103 82
食パン 96 52 123 74 127
豚肉(肩肉) 73 103 65 46 125
砂 糖 71 71 99 69 61

農業振興を阻むもの ◇ 粗放的な栽培や大規模経営の諸外国に比較して、
   日本の農業は生産コストが高くなる
◇ 円高による経営の不利

○ 農産物の内外格差には様々な要因がある ○
日本 米国 日本/米国 資料:
 農林水産省調べ(1995年)
農地条件
  農家一戸当たり農地面積(ha)
  農地価格     (千円/10a)

1.5
1,697

189.8
15.0

1/127
113倍
製造業賃金  (円/h) 2,206 1,233 1.8倍
生産資材価格 (硫安・円/t) 33,650 20,650~18,020 1.6~1.9倍
電気料金 (円/kwh) 17.4 4.4 4.0倍
ガソリン価格 (円/リットル) 108.1 28.5 3.8倍
☆ 中山間地域等の振興
    
中山間地域には、我が国の食料の供給に加え、国土・環境の保全や水資源のかん養等重要な役割を果たしている。
   中山間地域においては、規模拡大による生産性の向上には限界があるため、平地地域とは異なった施策の検討が必要である。
 ☆ 中山間地域の主要指標 ☆
全 国 ① 中山間地 ② ②/① 資料:

農林水産省「農林業センサス」,「耕地及び作付け面積統計」、「生産農業所得統計」、国土地理院「全国都道府県市町村別面積調」、総務庁「国勢調査」
総面積 (平成4年) 3,713 万ha 2,527 万ha 68 %
総人口 (平成7年) 12,557万人 1,747万人 14 %
耕地面積 (平成7年) 504 万ha 209 万ha 41 %
総農家数 (平成7年) 344 万戸 146 万戸 42 %
農家粗生産額 (平成7年) 105,846億円 38,914億円 37 %
人口自然減市町村 (平成7年) 1,915 1.412 74 %
耕作放棄地率(平成7年)  % 3.8 % 5.2 %
 ☆ 生活環境施設整備状況 ☆   (平成8年)
農 村 中都市 大都市 資料:自治省「公共施設整備状況調」 (平成8年3月末現在)
汚水処理施設普及率 % 17 59 95
道路  改良率 % 45 56 64
道路  舗装率 % 64 81 86

 
(1) 立地条件を生かした特色ある農林業の展開 ・・・・・ 多様な立地条件を活かした特色ある農業を展開し、付加価値の高い農業生産を目指す
   ○ 多品目少量生産の展開 
   ○ 特産物の導入
   ○ 農業以外の分野を含めた多彩で複合的な活動
      (加工・流通分野への進出・グリーンツーリズム・都市と農村の交流)
EUで実施の条件不利地対策=直接所得保障措置
内  容 地域指定区分 ① 山岳地域   ② その他条件不利地域  ③特別ハンディキャップ地域
対 象 農 家  保有農用地3ha(一部2ha)以上、
  5年以上農業継続       1.4家畜単位/ha上限
助 成 単 価  20.3ECU(約2,500円)~121.5ECU    (約15,000円)/家畜単位またはha
EUの補助率  原則25%(最大65%まで引き上げ)
実  績 総支給額     1994
受給農家数    1994
一戸あたり支給額 1994
 1,701 億円
  105 万戸
   16万円

 ○ EU型の直接所得保障措置を導入すべきか ○
意 見 導 入 に 積 極 的 導 入 に 消 極 的
理由 農業生産活動を維持するためには、傾斜地が多い等の生産条件の不利を補うことが必要である。 我が国はヨーロッパとは異なっていて規模拡大が進んでいない。零細な農業構造の温存や意欲の減退などの問題が生じない施策でなければならない。
農業活動により国土・環境保全等経済外的な価値が生み出されている。 農業者のみの助成することについては、地域住民が納得できる合理的な理由が必要である。
地域社会の維持のためには産業振興、生活環境整備だけではなく、より直接的な所得確保が必要である。 助成の対象地域、対象者の範囲などを明確にしなければ国民の理解を売ることはできない。

  (2) 食糧供給、国土保全等の観点からの施策のあり方
      ア 過疎化・高齢化進行・・・集落機能の低下が今後の問題
      イ 耕作放棄地の増加・・・・地域資源の維持管理困難
      ウ 中山間地等の条件不利地において、農業者の収入機会を確保


    
A 〔直接所得保障措置の導入に積極的な意見〕
傾斜地・農地狭小・農地分散などの不利・・・生産活動維持のためこれを補う
中山間地の貢献(農地のもつ経済外的な価値を、多くの国民が享受)に、支援
農業収益性低い、兼業機会に恵まれない・・・産業振興、生活環境整備のみではなく、定住を確保する観点から直接的な所得確保
☆ 農 業 関 係 主 要 指 標 ☆
昭和35年 平成9年
生 産 国内総生産(名目) 兆円
内 農業 兆円
(農業のシェア)   %
16.7
1.5
(9.0)
* 488.5(H7)
* 6.8(H7)
(*1.4) H7
人 口   農業就業人口     万人
 総就業人口に占める割合 %
 65歳以上人口の割合 %
1,196
27
*12(昭43)
** 321(H8)
** 5(H8)
** 41(H8)
戸 数  農家戸数 万戸
    専業農家のシェア %
    第Ⅰ種兼業農家 %
    第Ⅱ種兼業農家 %
606
34
34
32
334
17
16
67
 耕地面積 万ha
一戸当たり経営耕地面積(全国) ha
607
0.9
495
1.5
 水稲10a当たり労働時間・平均年収 173時間・371kg **38時間・502kg
輸 入  農産物輸入額 億ドル
 為替レート 円/ドル
9
360
* 393(H7)
** 112.7(H8)
予 算 農林水産関係 億円
割合(一般会計にしめる%)
1,319
8.4
35,922
4.6

   B 〔直接所得保障措置の導入に消極的な意見〕
ヨーロッパはすでに規模拡大が進んでいる。日本では零細な農業構造温存、農業者の生産意欲を失わせる。
多様な住民から成る地域社会、農業者のみに助成は合理的な理由がないと国民の理解を得られない。
作目・土地利用の点でヨーロッパほどに地域差がないので、助成の対象者・対象地の範囲を明確にしないと国民の理解が得られない。
☆ 農村地域の活力の増進
  (1) 農村の公益的・多面的機能の発揮・・・ 農村は、国土・環境の保全、水資源のかん養、自然・景観のの提供等公益的な木野が発揮される場である。
                            このような機能は広く国民が享受するものであり、美しい農村空間は国民共有の財産として位置づけられる。
 ○ 農業・農村は多面的・公益的な機能を有している ○
 農産物の供給 農産物供給
生活・就業の場の確保 農業就業による所得の確保
住宅地の供給 静かな環境、ゆったりとした居住空間の提供
施設等用地の供給 工場、事務所、レクレーション施設用地の供給
 国土の保全 浸食防止 土壌浸食防止、土砂流失防止、風食防止等
自然災害防止 山崩れ防止、洪水の防止等
水資源の涵養 水の貯蔵、水量調整、水質浄化
自然環境の保全・形成 自然景観
気象緩和 気温緩和、地温緩和、温度調節
大気浄化 CO吸収、O供給、塵芥浄化等
野生動植物の保護
自然・文化資源の提供 自然学習 自然探求、体験学習(観光農園)、農山村留学、情操等の涵養
レクレーション スポーツ活動、行楽、健康維持増進、地域交流の場
農村の景観
文化 伝統文化の保存の場

○ 水田は土砂崩壊を防止する機能を有している ○
水田の耕作放棄と土砂災害発生確率との関係(新潟県牧村)
耕作放棄以前  耕作放棄率50%未満 耕作放棄率50%以上 資料:農林水産省「土砂災害抑制機能調査」平成6年
注: 土砂災害の発生確率とは、地滑りが発生しやすい一定面積の地域(5~10ha)で
   100年間に土砂災害が発生する回数である。
0.56 % 1.62 % 2.03 %

UNESCO(国連教育科学文化機関)の世界遺産条約にあるように 公益的・多面的機能は広く国民が享受するものであり、美しい農村空間は
国民共有の財産、心のよりどころとして位置づけ、保全保護されるべき時代に来たといえよう。

食糧供給の場
多数の国民の居住の場
適切な農林業生産活動を通じて国土・環境の保全、水資源の涵養、
自然景観の提供
地域特有の文化や伝統をはぐくむ場
青少年の自然とのふれあいによる教育の場
良好な余暇・生活空間の場

  (2) 農村地域の活性化と魅力ある「むらづくり」・・・・ 農村地域の活性化を図っていくため、農林業を含む多様な産業の振興や生活環境の整備促進等が重要である。
                 この場合、中小都市と周辺農村の連携・機能分担や総合的・計画的な土地利用を図ることが重要である。また、農村住民と都市住民の交流の条件整備が必要である。

 ○ 農村地域の生活基盤整備は立ち後れている ○        平成8年3月末現在
道路改良率 道路舗装率 屎尿処理率 ゴミ収集率 上下水等普及率 汚水処理施設普及率 資料:自治省「公共施設整備状況調」(平成8年3月末現在)

 中都市とは、特別区、政令指定都市を除く人口10万人以上の市を指す。
大都市 64.0 85.8 99.3 100 99.2 94.7
中都市 56.3 81.1 99.1 98.9 98.1 58.8
町 村 44.5 63.6 92.9 79.6 89.4 17.0

           
☆ これからの目途 ☆
地域の活性化 ○ 多様な産業活動による経済的な活力向上
○ 地域の風土・文化的個性や独自性生かした魅力ある村づくり
快適な居住環境の整備

☆ 施 策 ☆
生産・生活面に・・高度情報通信技術の活用とそのための条件整備
高齢者の生きがいの場づくり
中小都市と周辺農村との連携により機能分担して圏域全体として発展
計画的な土地利用・都市住民も参加した地域資源の管理

☆ 環境と調和する持続的な生産の推進
  (1) 農業の公益的機能の発揮 
 ○ 農地は公益的機能を果たしている ○
機 能  便 益   評価額(億円) 資料:三菱総合研究所による試算(平成6年)
     (代替法)
水田
洪水防止機能 洪水被害の軽減 19,527 3,881 23,408
水資源かん養機能 河川流況の安定化及び安価な地下水供給 7,398 236 7,634
土壌浸食・土砂崩壊防止機能 土壌浸食や土砂崩壊による被害の軽減 472 55 527
土壌浄化機能 食物残渣等の廃棄物処理費用の軽減 45 37 82
農村景観・保健休養機能 都市住民訪問による価値 17,116 14,581 31,697
大気浄化機能 大気汚染ガスを吸収し大気を浄化 1,717 1,465 3,182
合         計 46,275 20,225 66,530

                         農業は環境と最も調和し得る産業 である。
                                 
                        土・水・生物などの物質循環の上に成り立つ産業

                                  
     
今後の農政のあり方について
農業の有する国土・環境保全等の機能について                                            
① 適性に評価し国民の理解を求めて行く
②  政策の構築に当たってこれを十分に踏まえる
  (2) 環境に対する負荷の軽減 ・・・・・・ 「負荷」とは・・・
○ 農業全体を環境保全型農業に移行させる必要がある ○
取り組み内容
環境保全型農業 施肥量を節減
農薬の施用量を節減
有機物のリサイクル
合理的な輪作・土地利用
有機農業 化学肥料と農薬を使わない

[負荷の要因] 地下水汚染の課題
化学肥料や農薬の不適切な使用   農業用水汚濁 農業と環境との調和をはかるための技術開発
家畜糞尿の不適切な処理 河川・湖沼の富栄養化 糞尿・食品残さ・・・堆肥化の促進と農業上の利用
草地資源の有効かつ循環的に利用・・・資料の国内生産拡大
☆ 食糧・農業分野における主体的・積極的な国際貢献について
 「世界食料サミット」が、 1997年11月 に開かれた。
 この時に、
  ○ 世界の食糧安全保障の達成 ○ 2015年までの栄養不足・人口の半減 が、重要な協議の課題となった。
                                  

 現在、世界では8億4千万人の人々が栄養不足に苦しんでいる。これを早急に減少させ、飢餓、貧困問題の解決に向けて努力することが国際的な課題となっている。
○ 栄養不足人口 ○    1990/92年
中南米・カリブ 南アジア 東アジア 近東・北アフリカ サブサハラ・アフリカ 資料:FAO「第6回世界食糧調査」
人口(百万人 64 255 269 37 215
15 22 16 12 43
 世界の食糧の安定的な確保・供給だけでなく、我が国の食料安全保障にもつながるものとして、技術協力、資金協力及び食糧援助を積極的に推進していくべきである。
                                         
食料・農業分野での 国際貢献の重要性が、再認識された。                      
  さらに、開発途上国の農業生産の拡大や栄養不足人口の解消 のために
         ○ 技術協力 ○
          ○ 資金協力 ○
           ○ 食料援助 ○       が、具体化に向けて協議された。
○ 世界食糧安全保障のためのローマ宣言 ○ (1999年11月)
 我々は、世界の食糧安全保障(food security for all) の達成と、全ての国で飢餓の撲滅のために努力を継続し、まず2015年までに栄養不足人口を現在の水準の半分に削減することを目指すとの政治的意思と各国及び共通の誓約について宣誓する。
 
          100 people「もし世界が100人の村だったら」 
「もし世界が100人の村だったら」

誰かが私に興味深いお話を伝えてくれました
もし現在の人類統計比率をきちんと盛り込んで
全世界を100人の村に縮小するとどうなるでしょう


その村には…

57人のアジア人
21人のヨーロッパ人
14人の南北アメリカ人
8人のアフリカ人がいます

52人が女性で
48人が男性です

70人が有色人種で
30人が白人

70人がキリスト教以外の人たちで
30人がキリスト教

89人が異性愛者で
11人が同性愛者

6人が全世界の富の59%を所有し
その6人ともがアメリカ国籍

80人は標準以下の居住環境に住み
70人は文字が読めません
50人は栄養失調に苦しみ
1人が瀕死の状態にあり
1人は今生まれようとしています

1人は(そうたった1人)は大学の教育を受け
そして1人だけがコンピューターを所有しています

もしこのように縮小された全体図から 私達の世界を見るなら
相手をあるがままに 受け容れること 自分と違う人を理解すること
そしてそう言う事実を知るための教育がいかに必要かは
火を見るより明らかです


また次のような視点からもじっくり考えて見ましょう

もしあなたが今朝目が覚めた時 病気でなく健康だなと感じることが
出来たなら…あなたは今週生き残る事のできないであろう100万
人の人たちより 恵まれています

もしあなたが戦いの危険や投獄される孤独や獄門の苦悩
あるいは飢えの悲痛を 一度も経験したことがないのなら…
あなたは世界の5億人の人たちより恵まれています

もしあなたがしっこく苦しめられることや逮捕拷問
または死の恐怖を感じることなしに教会のミサに行くことが
出来るなら…
あなたは世界の30億人の人たちより恵まれています

もし冷蔵庫に食料があり着る服があり 頭の上に屋根があり寝る
場所があるなら…
あなたは世界の75%の人たちより裕福で恵まれています

もし銀行に預金がありお財布にお金があり
家のどこかに小銭が入った入れ物があるなら…
あなたはこの世界の中で最も裕福な上位8%のうちの一人です

もしあなたの両親がともに健在で そして二人がまだ一緒なら
…それはとても稀れ なことです

もしこのメッセ-ジを読む事ができるなら あなたはこの瞬間2倍の
祝福を受けるでしょう
何故ならあなたの事を思ってこれを伝えている誰かがいて
その上あなた は全く文字の読めない世界中の20億の人々より
ずっと恵まれているからです

昔の人がこう言いました
みずから出るものはいずれ我が身に帰り来ると

お金に執着することなく喜んで働きましょう
かって一度も傷ついたことがないかのごとく 人を愛しましょう
誰も見ていないかのごとく自由に踊りましょう
誰も聞いてないかのごとくのびやかに歌いましょう
あたかもここが地上の天国であるかのように 生きていきましょう

このメッセ-ジを人に伝えて下さい 
そしてその人の一日を照らしてください
  
 かつてベストセラーであったという本の中にあった詩である。
 我が国は、まるで「天国」である。しかし、この天国。天使様ばかりの住んでいる国なのであろうか?
 今日 世界では, 6,000,000,000 人の人々が住んでいる。この 世界が100 人の人々の村のサイズへ縮まったら?