「気に入った土地が見つかったので、見て欲しい。」と施主に言われ、その土地に立ったとき、最初に感じたのは、交通量の多さだった。付近の抜道となっている巾6mの道路は大型車通行禁止となっているにもかかわらず、バスもトラックも頻繁に通っていた。しかも、クランク状に土地を囲むように車が通るので、加速減速で、交通音も大きくなっているように感じた。

「もう一度、ご主人と二人で何時間かこの土地に立って、様子をみて我慢できるか確認して下さい。」とアドバイスをした。結局施主がこの土地の購入を決められましたので、この環境で快適に生活するためにとRCの塀で囲む事を提案いたしました。又、設計時点では南側隣地が空地で、広々とした雰囲気でしたが、隣地には北側いっぱい寄せて二階建てが建つだろうと容易に想像できましたので、敷地南側に縦長のカーポートを提案しました。カーポートと住宅を物干場で結びコの字型の中庭を造りました。カーポート、物干場が外部空間の重要なデザイン要素となるため、これらを木造とし、庭にできるだけ光を取入れるため屋根を波形ガラスで葺きました。

こうして囲われた中庭は、落着いたくつろげる空間となっています。純粋な庭の広さはそれ程広くありませんがカーポート、物干場を視覚的には庭の広がりと感じますので、広々とした外部空間を演出できました。