ブレンボキャリパーのオーバーホール
52000km走行した我がR100RS。
ブレーキを引きずっており、ハンドリングや燃費にも影響ありそうなのでオーバーホールします。

キャリパーを外す前にブレーキホースを外しておきます。
今回はキャリパーを分割しますので、車体についている時点で、強烈に締まっている8mmのヘキサゴンボルト2本を緩めておきます。
その後キャリパー取り付けボルト2本を外します。
パッドを外します。
これもキャリパーが車体についているときに外すべきでした。
この写真のパッドピン固定用のスプリング左側を押し下げ
ピンを抜きます。
1本抜くとスプリングのテンションがなくなりますので反対側のピンも抜きます。
スプリングを支えている支点はパッドに載っているだけですので無くさないようにしまっておきます。
これでパッドが外れます。
先に緩めておいた分割ボルトを外します。
オーバーホールされているかどうかはこのボルトを見ればわかります。
なぜならこのボルトは分解時には必ず新品にしないといけないから。
このさび方からすると、このキャリパーは新車時からオーバーホールされてません。
つまり52000km手付かずだった可能性大。
そりゃ引きずりも起こりますわ。
ボルト2本を抜くとこのとおり。
ブレーキをかけるとこの2個のパーツは開くほうに強大な力がかかります。
それを2本のボルトの張力だけで抑えているため、ボルトが伸びてしまうのです。
ですから要交換パーツなのです。
これがキャリパーのオーバーホールパーツ。
オイルシール、ダストカバー、Oリング、分割ボルト、ラバーグリスがキャリパー1個分入ってます。
R100RSはダブルディスクなので2個必要です。
1個分で5500円ぐらいですので11000円。
痛い出費です。
*注:1988年8月を境に、ブレーキキャリパーのサイズがかわってます。インナーパーツのサイズは同じですが、パッドサイズが8月以前はR80G/SやSTと共通の55mmで、8月以降はK100と同じ57mmに変更されてるのでパッドを買う時はパッドの幅を測ってから注文してください。
ピストン。
セラミック製のようで簡単に傷つくので落とさないように。
今回エアで抜いた際に勢い良く飛び出し、コンクリートに落として傷つけてしまいました。
ピストンが抜けた跡には汚いフルードが。
でもまだこちらはいいほうだったのです。
外したダストカバーはブレーキフルードに侵され、膨張して同じ部品とは思えないほど大きくなっていました。
右が新品です。
オイルシールを爪楊枝でほじくり出します。
相手を傷つけない爪楊枝はこの後溝掃除にも大活躍。
溝を爪楊枝で掃除して。
新しいオイルシールに付属のラバーグリスを塗ります。
溝にきっちりはめ込みます。
ピストンの溝も掃除しておきます。
こっち側のピストンには引きずりの原因は見つかりませんでした。
グリスを塗って
垂直に押し込みます。
この際オイルシールを噛み込まないように慎重に押し込んでいきます。
写真を撮り忘れましたが、この後、ダストカバーをピストンの溝とキャリパーの溝にかぶせます。
両側の交換が終わったらボルトにかじり防止のカッパーグリスを塗ります。
Oリングはキャリパーの分割面に入ります
眩しい新品ボルト。
高張力ボルトなので、普通のボルトを使わないこと。
ここにOリングを入れ、キャリパーを合体させて、ボルトを仮締めします。
パッドピンの片方にスプリングを通しておきます。
支点となるピンをまたいでスプリングを引っ掛け、もう片方のピンを押し込みます。
これでパッドピンが固定されます。
さてもう一個分解しなくてはなりませんが。
こっちはダストカバーがめくれてます。
どうやら引きずりの犯人はこっちのようです。
きゃー。
ピストンに歯垢のような固形物が。
このせいでピストンが戻らなかったようです。
でもなぜこんなモノが・・・。
うぎゃー!!
ブレーキフルードじゃないものがはいってる!!
どうやら水が混じってピストンが腐食してしまったみたいです。
こんな状態で北海道へ行ったのか・・・。
コーティングが剥げるけどしゃーない。
ペーパーでガシガシ擦ってたいらにしました。
キャリパーに押し込み、スムーズに動くことを確認しキャリパーを元通りに組み付けます。
キャリパーを取り付けてマウントボルト2本を30Nmで締め付けたら、仮締めしておいた分割ボルトを50Nmで本締めします。

これで左右のキャリパーのオーバーホールが完了。マスターシリンダーにブレーキフルードを満たし、エア抜きをします。

ブリーダーボルトに注射器をホースで接続してブレーキオイルを吸い込みます。

ブレーキレバーを数回握って、キャリパーのブリーダーを開けると負圧でエアが吸い出されますので、エアが抜けたらブリーダーを閉じてレバーを離す。これを繰り返します。

しこしこしこしこ。しこしこしこしこ。

あれ?あれえ?

0.5リッター缶がなくなるほどオイルは循環したのに一向に手ごたえがありません。ブリーダーからはエアではなくちゃんとオイルが出てきてるのに・・・。相変わらずレバーがグリップについてしまいます。

1時間やって挫折。

BMW ボクサーの掲示板を見ると、マスターシリンダーにエア塊が残ってしまう模様。

で、掲示板にあったやり方で養生してみました。

  1. ブレーキレバーをタイラップでグリップ側へ引っ張り固定。
  2. ブレーキレバー側がホース側より高くなるようにハンドルを固定(左へ切る)
  3. サイドスタンドで立ててバイクを左に傾いた状態にする。
  4. 一晩置く。

 なんとこの方法でリザーバーのエアが完全に抜けてタッチが回復しました。

こうするとホースとタンクの継ぎ目にあるエアがタンク側に浮いてくるそうです。

早速試乗。

あれ、効かない。止まらない。タッチはちゃんとしてるのに。まるで硬化した自転車のブレーキのよう。

ここで原因らしきことを思い出しました。

ブレーキパッドを組むときに、内外どっちについていたかチェックせずに適当に入れたのです。

精度よく作られていてもブレーキパッドはまっすぐ減りません。ディスクに対しあたりが付いて初めて効くようになります。

たぶん部分あたりしているのでもう一度慣らしから。

教訓:はずした部品は必ず元の場所へ戻しましょう。

もちろん引きずりはなくなりました。やっぱりあの石灰質がシールに引っかかってピストンが押し出されたままになったようです。これで燃費ももっと伸びるでしょう。(現行22q)

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