47500qで手に入れたきれいなBMWR100RS。

ところが初めてオイル交換した時点からいろんなぼろが出てきました。

エンジンオイルはどろどろ、ギアオイルも真っ黒け。シャフトオイルに至っては水が混じって真っ白。

まあ、4年ぐらいエンジンをかけるだけだったらしく、外観だけはきれいなままだったので、それはそれで助かりましたが。

タイヤ交換に始まり、フォークオイルシールの交換(オイルがどろどろでした)、オイルフィルター交換(こっちも真っ黒)、ブレーキキャリパーオーバーホール、セルモーターの交換、キャブの同調なんかを順番にやってきましたが、今回いままで面倒くさそうで避けていたタペット調整に挑戦しました。

OHC(DOHC含む)エンジンではバルブ駆動はほとんどチェーンやベルトですので、ヘッドの締め付けトルクはバルブクリアランスには影響しません。

しかしOHVエンジンはクランク側にカムがあり、長いプッシュロッドでロッカーアームを押し上げ、支点の反対側にあるバルブを突き上げます。つまりカムがプッシュロッドを通してシリンダーとヘッドを押し上げるのです。これではヘッドの締め付けトルクによってバルブクリアランスが変動します。

しかもこのエンジン、クランクケースから伸びた4本のスタッドボルトだけで、シリンダーとシリンダーヘッド、あろうことかロッカーアームのホルダーまでを締め付ける構造。(分かる人はモンキーと同じだと思ってください。)

この構造だと、シリンダーを固定するスタッドボルトが伸びてくると、シリンダーヘッドの締め付けトルクが不足して、プッシュロッドがロッカーアームホルダーを押し上げてしまい、バルブクリアランスがますます狂ってしまうのです。

そこでまずスタッドボルトへの締め付けトルクを確認します。(ほとんど増し締めが必要)

おっとその前に、5速に入れて後輪をエンジンに直結してフライホイールをまわし、上死点をださなくてはいけんません。(バルブが完全に閉じた状態) 

クランクをまわす抵抗になりますので、まずはプラグをはずします。

左のプラグ。ちょっとすすけてます。
こっちは右側。きれいに焼けてました。
次にロッカーカバーをはずします。ここは13oのボックスが必要です。ただしここだけはずしてもカバーは取れません。

シリンダー側のこの部分に10oのナットが対角に2個あります。これをはずすとカバーが外れますが、カバー内に溜まっているオイルがたれますので、オイル受けを下に置いておきます。

ここで見てはいけないものを発見。左のカバー下側からオイル漏れが。どうやらパッキンが変形している模様。こういうことを発見できるので整備は面白いです。(って、もっと早く気づけよな)

ここら辺のパッキンが浮いてます。

OHCと比べると何もないシリンダーヘッド。バルブタイミングを見る必要がないので、シリンダーをはずしても、ただ組み付けるだけで元のようにエンジンがかかります。それにしてもきれいですねー。前の持ち主が大事に乗ってきた証です。

まず四隅にあるナットを規定トルクで締め付けます。指定トルクは35NM(ニュートンメーター)から39NMとなってますが、4本共25NMぐらいで簡単に回ってしまいましたので、3回に分けてトルクを増しながら35NMになるまで締め付けました。

このナットは15oというドイツ車特有のサイズです。通常のソケットセットには入っていないサイズですので別に購入する必要があります。これはドイツ製の特売ソケットセットに入っていたもの。(ドイツ車は11oとか13o、15oを多用しますねー。)

次にミッションを5速に入れて後輪をエンジンに直結してフライホイールをまわし、上死点を出します。

エンジンのオイルレベルゲージの上にあるゴムキャップをはずすと、中にリングギアが見えます。後輪を回していくと、2個あるバルブがエンジン側に入り、また戻ってきます。どちらも戻りきったところで窓をのぞくと近くに「OT]というマークがありますのでそこを窓の真ん中に持ってきます。ここがそちらのシリンダーの上死点です(バルブが完全に閉じた状態) 。ここでIN,EXともロッカーアームを手でゆすると少し隙間があってカタカタ動くはずです。反対側を見るときはクランクを180度回します。

まずIN側バルブとロッカーアームの間にシックネスゲージを突っ込みます。こっちは正規0.10oですが0.08oぐらいしかありませんでした。音が気になるとついついクリアランスを詰めがちですが、このエンジンはカチャカチャいうぐらいで正常です。調整はまずスパナでこのようにプッシュロッド側の12oの六面幅(シャフトと一体なのでスパナをかける部分をこう呼びます)を固定して、その手前側に写っているナットを12oボックスで緩めます。
このようにプッシュロッドをカム側に押し付けながら、0.10oのシックネスゲージを突っ込みます。

0.1oがぐぎぐぎいいながら入るぐらいがベスト。プッシュロッドを右回しすると隙間が小さくなり、左回しで隙間が大きくなります。このあとナットを締めると隙間が大きくなりますので少しきつめで。決まったら六面幅をスパナで固定して、ナットをトルクレンチを使い18NMで締め付けます。ゆるかったり締めすぎていたらもう一回やり直します。今回は都合4回ほどやり直しました。

今度はEX(エキゾースト側)を0.2oに調整します。ここは0.1oしかありませんでした。これではエンジンが高温になるとあちこち膨張して排気バルブを突き上げてしまいます(つまり圧縮漏れ)。この辺が低速でのしゃくりの原因かも。
ここのナットは18NMで締め付けますが、最近買ったプリセット型トルクレンチは28NMからしか目盛りがなかったので、引退したプレート式を引っ張り出して、180kgf・cmで締め付けました(正確には183.5kgf・cm。およそ1NM=10kgfcm)。ガキのころから体でトルクを覚えた身にとって、こっちのほうが手に伝わる感触がわかりやすく、安心して締め付けることができますねー。カチンというプリセット型はボルトをなめそうで怖いです。
調整が終わったらカバーを取り付けます。3箇所ともワッシャーが入ってますが、真ん中のは、はずすときにカバー側に残るので注意。
オイル漏れしているので、せっかくカバーを外したんだし、ガスケットを交換しましょう。

カバーを取るとガスケットがかなりつぶれてます(四角い部分がもとの厚さ)。こうしてみるとカバー内部がIN、EXで完全に分割されていることがわかります。

接着されているわけでもないのにガスケットはカッターではがす必要があります。

あとのところはぺりっという感じで取れましたが、ボルト周りは固着していて、カッターで削ることに。それでもなかなかはがれません。

で、登場したのはデイトナのガスケットリムーバー。吹き付けて10分ぐらいでガスケットがふやけますのでカッターでしこしこと。

最後の仕上げにオイルストーンで面だし。

MOTO−BINSで買ったガスケットです。450円ぐらい。(ただし送料が3500円ぐらいかかるのでビーマーさんの599円は良心的なお値段ですねー。今回は送料節約のため色んなものと一緒に10枚購入。これで5回交換できます)

多分新車以来初めての交換でしょう。カバーを元通り組み付けて、
センターナットを22NMで締め付け、裏から10oナット2個も忘れず締めておきます

今度は右側のエキゾーストですが、こっちも0.10oしかはいりません。当然0.20oに調整します。

こっちのヘッドナットは2本が28NMで回ってしまいました。締め付けにばらつきがあったわけです。こっちも35NMで締め付け。

IN側も左と同じく0.1oが入りません。こちらも0.1oに調整し、カバーをつけて終了です。

クランクケースの窓にゴムキャップを忘れないように。

プラグを20NMで締め付け、プラグキャップをつけて、すべて完了。

エンジンをかけてみたら調整前よりエンジンがにぎやかになりました。隙間を増やしたので当然ですが、カチャカチャいいながらも、アイドリングが800回転で安定しています。

そこからアクセルを開けてもまったくもたつかず、回転がスムーズにあがるし。今回も勝ったようですね。

このバイク、やったらやっただけよくなっていくのでとっても楽しいですよー!

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