トラブル回避術

1.オ-バ-ヒ-ト

 やかんが沸騰したような蒸気がエンジンル−ムから出たり、水温計の針がH側に振り切れていたらオ−バ−ヒ−トの可能性があります。オ−バ−ヒ−トの原因のほとんどが冷却水漏れや不足が原因で起こるものです。オ−バ−ヒ−トになったらすぐ安全に停車できる場所に行き、エンジンは停止させずアイドリング状態でエンジンの冷却を続けます。エンジンをすぐに停止させると、急激に温度が上昇して被害が拡大することもあります。さらにボンネットを開けてエンジンル−ムを冷却するといいのですが、その際蒸気で火傷をしないよう十分に気をつけましょう。(オ−バ−ヒ−ト時のラジエ−タ−内の温度は、120〜130度と危険です。また、数分たっても温度が低下せず異音がするようであれば、エンジンを止めて救援を呼ぶ方がベタ−)水温が適温程度まで下がってきたらエンジンを止めて、ラジエ-タ−ホ−ス等点検し、切れているなら、ビニ−ルテ−プで損傷箇所をぐるぐるに巻き付けて塞ぎ、一刻も早く修理してくれる所までいきましょう。つくまでは、水温計を気にしながら走行して下さい。何にせよこう言う事態の無いよう、冷却装置の点検や補充をお忘れなく!

2. バッテリ−上がり

 バッテリ−上がりをおこした場合、電気を供給してくれる車やブ−スタ−ケ−ブルがあれば他車の電力を使用して、エンジンを始動させることができます。このバッテリ−上がりの原因は、バッテリ−のメンテナンス不足から起こるものがほとんどです。一旦エンジンが始動すれば、新しいバッテリ−を入手して交換できる場所まで自走してゆくことが可能です。こういう万一に備えてバッテリ−の点検はもちろんですが、必ずブ−スタ−ケ−ブルを積んでおきましょう。

3.スタックした時

 自然のトラブルとして、ぬかるみや砂地などでスタックしてしまった場合は、あせってタイヤを空回りさせないこと。ぬかるみの場合、空転させればさせるほどタイヤがぬかるみにハマリこんで状態を悪化させるばかりです。古い毛布や、なければ板など何かとっかかりになるようなものを捜してタイヤの下にいれて、空転を抑える工夫をすれば脱出できるはずです。また、砂地の場合は、下回り周辺の砂を掘って取り除きましょう。

4.空気圧点検 

 平地で直線道路を走行中に、一定の方向に曲がって進むような感じを受けませんか?もしそうした感じがある場合は、道路の状態やホイ−ルアライメントの狂いが考えられますが、意外とタイヤの空気圧が原因の場合があります。これはタイヤの空気圧が左右揃っていないと、タイヤの左右の直径が異なることによって、起こる現象です。当店で定期的な空気圧点検をお勧めします。

(注)ホイ−ルアライメント[wheel alignment]:タイヤが路面との関係においてどのように車体に取り付けられているかを表すもの。一般にキングピン傾角、キャンバ−、キャスタ−及びト−インの4つの要素を言う。

5.パ−キングランプが点灯したままとなった

 パ−キングランプが点灯したままになった時は、まず、パ−キングブレ−キレバ−(ペダル)が完全に戻っていない事が考えられる。この場合には、力強く、パ−キングブレ−キレバ−を戻してみる。パ−キングブレ−キレバ−が正常に戻っているはずなのにパ−キングブレ−キの警告ランプが点灯している場合には、ブレ−キ液量の不足の可能性があります。パ−キングブレ−キの警告ランプには、種々の警告機能が盛り込まれているから、しっかりと本当の原因を探すことが必要です。また、ブレ−キフル−ドの量が不足していて、警告ランプが点灯した場合には、単純にブレ−キフル−ドを補充するだけでなく、各ホイ−ルの裏側を見てフル−ド漏れが発生していないかをチェック、ブレ−キペタルの裏側のマスタ−シリンダ−のフル−ドが漏れていないかチェック、フロントディスクパットの摩耗状況点検も必要です。(フロントディスクパットが摩耗するとその分だけリザ−ブタンクのブレ−キフル−ドも減るから)


パ-キングランプ

6.規定値のスペアヒュ-ズを持っていない

普通に車を使用している分には、ヒュ-ズ切れが起こると言うことは余りありません。電装用品を取り付けて間違ってショ−トさせる等、人為的ミスの方が圧倒的に多い様に思います。うっかりショ−トさせ、同容量のヒュ-ズが無い場合、誰にでも勧められる方法ではありませんが、1クラス上の容量なら使っても悪影響は無いといえます。最近の車では、ミニタイプのブレ−ドヒュ−ズを使用する為、購入時は、大きさに注意が必要です。

7.走行中にキ−キ−音 

 走行中、金属が擦れ合うようなキ−キ−音がする。音の性質は、ややブレ−キ鳴きに似ている。音の発生場所もブレ−キ付近こんな場合は、パッドの摩耗が怪しい。音の原因は、パッドの摩耗が限界に達した事を警告するウエアインジケ−タ−が作動した為で、このインジケ−タ−はパッド部分に付いている金属片が、ロ−タ−に接触する事で音を発生する構造です。パッドが完全に摩耗する以前の段階で独特の音を発生する事により、パッドの残量をユ−ザ−に知らせます。対処として早急にブレ−キパッドの交換をお勧めします。

(注)ブレ−キパッド[brake pad]:平らなバッキングプレ−トに磨耗材としてのブレ−キライニングを貼り付けたもので、ディスクブレ−キのキャリパ−内に組み込まれている。ドラムブレ−キのブレ−キシュ-と同じ働きをするが、その面積はブレ−キシュ-よりもずっと小さく、逆にディスクロ−タ−に押し付けられる力は数倍大きい。その為、仕事としてはブレ−キシュ-よりもシビアになり、寿命はブレ−キシュ-よりも短い。

(注)ディスクロ−タ−[disc rotor]:ディスクブレ−キの主要コンポ−ネントで、鋳鉄製の円盤をさす。ディスクロ−タ−は運動エネルギ−を熱エネルギ−に変えるものなので、その温度は、400度以上になることもあり、冷却をよくするために摩擦面と摩擦面の間に冷却穴をあけたものがベンチレ−テッドディスクです。


8.ライトのバルブは何でも使えるか? 

 どんな車にも合うように作られているパ−ツの代表的な物がライトのバルブです。今の車のほとんどはヘッドライトにH4と言う規格の物を使用しています。この規格の物を選べば、どのメ−カ−の物でも大丈夫です。明るさはロ−ビ−ムが50W、ハイビ−ムが55Wと言うのが標準ですが、100/110Wと言うような、ハイワットの物もあります。ハイワットの物は寿命が短いようです。ライトバルブにはヘッドライトの他にいろいろな部分の物がありますが、車用はみな差し込み部分は同じ規格ですから、どれを選んでも良い。但し、明るさには種類があり、自分の車と同じ物に換えましょう

9.ATFのレベルチェックは?

 ATFのレベルのチェックするには温間時が基本です。暖機後、車を平坦な場所に停め、エンジンをアイドル回転のままで、シフトレバ−をゆっくりP-R-N-D-2-1,またその逆にシフトする。そしてPレンジにてエンジンを止めないで、ATFレベルゲ−ジを抜いて、HOTの範囲にあるかどうかをチェックする。なお、糸くずや小さなごみがATF流路内に入るとトラブルの元になるので、十分に注意しよう。

(注)アイドリング[idling]:エンジンに負荷をかけないで低回転する状態。アイドリング回転数は、車によって指定されている。

10.バッテリ−液が極板が見えるほど少ない?

 バッテリ−は、極板を覆う電解液を仲立ちにした化学作用によって成り立つものだから、液から極板が露出するような状態になっていれば、バッテリ−に対して、何らかのダメ−ジが生じるのは当然の事です。このように極板が露出するまで液が減少するには、かなりの期間、液不足状態で使用していたはずです。そのようなドライ状態のバッテリ−はおそらく寿命が短くなっているでしょう。このような状態にならない為にも液の点検と補充は、忘れないようにしたい。

11.Vリブドベルトがキ−キ−鳴き始めた

 Vリブドベルトから発生する鳴きの原因は、ベルトの緩みが原因の事もありますが、あまり長期間エンジンを回転させない状態が続いた場合には、プ−リ−に発生したサビが原因になっている事もあります。Vリブドベルトに鳴きが発生した時には、まず、ベルトの張りを点検します。適正な張りは、一般論としては、指先でベルトを押したとき、1cm程度のタワミがあれば、張り具合は、適当と判断できます。ベルトの緩みが原因の鳴きは、エンジンを高回転にした時発生しやすい傾向があります。

12.エンジンオイルがレベルゲ−ジに付かない

 エンジンオイルがレベルゲ−ジに付かない時は、早急にオイルを補充する必要があります。しかし、それだけでは不十分です。エンジンが正常な状態であれば、前回のオイル交換から3,000kmから5,000km位走行して、それ程多くのオイルが減るとは、考えられません。何かエンジンに異常が発生している可能性があります。

13.ステアリングを交換したらウインカ−が戻らない 

 ウインカ−のオ−トリタ−ン機構が、ステアリング交換後に不具合を発生すると言うことは、比較的あるケ−スです。このような時は、ステアリングをはずして、ステアリングボスの裏とウィンカ−ランプ側の接触状態をチェックしてみると良い。スイッチとしてピンを打ち込むタイプのステアリングでは、位置がずれている事もある。

(注)ステアリングホイ−ル[steering wheel]:自動車の進行方向を変える為のかじ取りホイ−ル。ドライバ−はステアリングホイ−ルから前輪がどのような動きをしているかを感じとり、タイヤのグリップを感じながらコ-ナリングを行う。