「今日はなんぞあったか?」
「子供と会って話をした」
「子供? 数年前に離れ離れになったお前の子供か?」
「違う。まだ1度も産ませてない」
「なら他人の子か? 一体、他人の子と何を話したんや? ママごとの約束か?」
「そんな約束する訳がないだろ。仕事で会ってきたんだ」
「仕事で子供と会う? もしかしてお前、ロンパールームの司会者か?」
「古いネタだな。たぶん誰も知らんぞ。違う。そんなんじゃない」
「何やねんな」
「だから、仕事で或る子供に会い、現在の熱い想いと、将来に向けての夢を聞いてきたのだ」
「熱い想い? 青年の主張みたいやな。どんなことをステージで語ったんや?」
「勝手に方向を変えるな。その子の家に行って話を聞いたのだ。ステージなんかある訳ないだろ」
「よく分からんが、なんでまたその子供の話を聞くことにしたんや?」
「女優を目指し、養成所に通うなどして真剣に取り組んでいるということで話を聞きにいったんだ」
「女優? へー。それはすごいでんな。一体、いくつくらいなんや? その子供の年齢は」
「まだ小学5年生ということだった。11歳と言っていた」
「11歳で夢は女優か。すごいでんな。わしが11歳の頃はまだ鼻を垂らしてオムツを嵌めていた」
「そんな11歳、聞いたことないわ」
「何にしてもすごいな。で、その子に女優の素質はありそうなのか?」
「さあ。その辺はよく分からない」
「顔はどやった? 女優を目指すだけあって、やっぱり美人なんか?」
「んー、よく分からないな。クッキリ二重という感じではなかったが、不美人でもなかった」
「女優として成功しそうなんか?」
「そこら辺もよく分からん。ただ、押しが強いというふうではなかったから、そこら辺りが心配だ」
「心配?」
「ああいう世界は他人を押し退けて自身をアピールするものだろ?」
「なるほどな。しかし、11歳で現実的に夢を想うなんざ、すごいでんな」
「そうだな」
「わしが11歳の頃はまだ幼稚園に通ってた」
「どんな11歳だ」
「そういう訳で、ほな、さいなら」
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