帝都双月魔術陣039「徐福の遺産」要約
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明示二十六年霜月(一一月)
第1話(表)「怪しい西洋旅館」
担当:佐伯響子マスター

 横浜の西洋ホテル「降魔館」はそのすばらしい設備だけでなく、怪しい噂が流れることでも有名だ。その噂はホテル側には否定されているが、「天魔御前」大国巴が同じ天魔御前の天都静を捜して殴り込んだのは確かな事実である。

 そこには従業員として、あるいは客として「照らされざる者」たちも訪れていた。客として訪れた一人は夜中に怪異で目が覚め、同じ寝台で寝ていた元清明守護使天が暖炉を指さし「地下」と告げるのを聞いた。

 降魔館の厨房はこの時代には珍しい瓦斯を使った器具がそろえられている。そこでの名物「ティンダロスの猟犬ティラミス」(ただし材料は秘密にされている)は評判だ。そして飼われているレトリバー犬マリアのくわえてきた怪しい触手も食材とされることになる。

 ラウンジや客室には電灯も備えられ、さらには自家発電装置もあるという。そんなラウンジでも日中から怪現象は起こっている。

 新入りの従業員達は先日の「殴り込み」や、館の地下室や離れに興味を示して休憩時間には先輩メイドの彩に尋ねたりする。あまり話題にしないようにといわれているからか殴り込みには曖昧な回答しかしないが、常連客の「柏葉」なる人物もいるから大丈夫だろうと思っている様子だ。また、地下室は発電機があり危険だから立入禁止、離れはオーナーのロバートソン・玲子の義弟で経営担当のルドルフの部屋であるので当然勝手に立ち入ることはできないという。

 従業員として様子を探っていた者は、怪しい外国人も何人か宿泊しているのを感じていた。中でも既に1ヵ月以上滞在している白髪の老人がいて、怪しく見える客はすべてその並びの部屋に宿泊していた。また、あまり人前に出てこないルドルフも何度かその部屋を訪れている。ルドルフ自身、プロメテウスとの繋がりも噂されていた。また、様々な調査から隠し部屋の存在も感じられている。

 オーナーの玲子やルドルフとの接触をする者もいる。どうやら玲子自身は怪異に一度も遭遇したことがないらしく、噂には困惑していた。また、ホテルの計画はルドルフが立ててそこに玲子を招いたという形のようだ。そのルドルフと面会した者は、彼に油断できないものを感じていた。

 「猫屋敷」と呼ばれる豪奢な作りの屋敷の主は柏葉という。変わり者で知られる彼は現在「徐福の墓探し」を表明し、変人の評判を高めている。また、巴の殴り込みに居合わせて意識を失った彼女を保護し、被害を弁償した人物でもある。巴は現在も静養中だが、天魔剣を生み出す力を持った静が降魔館にいるのは状況から間違いがないという。失踪前に静の天魔御前の力で「身内の少女の病気を治す」としつこく迫っていた人物が人相などからルドルフにちがいないというのだ。

 周囲の人物から「お詫びをしてきちんと話す」と説得された巴は「働くため」とメイド姿にされて降魔館へ向かう。そして玲子の私室で静と引き合わされた。静はルドルフの依頼に応えて来たのだというが、もう1ヵ月以上になっているとは思わなかったというし、なんだか眠そうでもあった。静の力は役には立たなかったが、病気の少女レイナに懐かれてそばについていることにしたのだという。これはルドルフの独断であり玲子は何も知らなかったともいっているが、自分の娘にずっとついていた者を知らなかったというのには違和感が感じられた。

 実は館を探っていた者はもう少しで離れの調査に取りかかろうというところだった。ルドルフがそれを感じ、あえて静を表に出してきたのだという感想を持ったものも多い。そして静はレイナの病を治すため「徐福の墓」にある薬を探して欲しいといった。玲子の実家は富士山近くの「福元寺」で徐福の墓だという「鶴塚」があり、家系も徐福の直系だとされていた。その言い伝えにある病気と同じ症状がレイナに現れているのだという。指先から始まった青い発疹が腕の付け根に達したとき、高熱が出て腕が壊死し、3日で死亡する。それを治療できるのは徐福の墓にある薬のみだというのだ。

 そして柏葉とも協力して捜索が始まることになった。鶴塚は実際には目印であり、入り口は別のところにあるのだろうというのが柏葉の見解だ。また、鶴塚には「徐福の幽霊」が出るという噂が流れているという。目撃者を脅した後に指さして消えるというのだが、その方向は富士山だとか富士5湖だとか近くの湧水だとかで統一性がなかった。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 柏葉や男性客を部屋から追い出すと、水無月蛍は持参のメイド服を手早く巴に着せる。あまりの素早さに、巴が抵抗する暇もない。普段は袴姿ばかりの巴は、初めての洋装に戸惑いを隠せない。さらに蛍は、仮面師の蓮屋一二三から預かった眼鏡を巴にかけさせる。力を制御する為の仮面を眼鏡に偽装したものだった。着替え終わった巴に、蛍は満足そうに笑みを浮かべた。
「もう暴れちゃ駄目だよ」


 う〜ん、個人的な感覚ではプレイヤーが行間から読みとるべきものまで文章化されているような。親切といえばそうなのでしょうが。

 あと、玲子の実家が最初「神社」とされているのに「福元寺」なんですよね。神仏習合は現実世界ではもっと後だったような。

2001,11,26
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明示二十六年師走(一二月)
第2話(裏)「徐福登場」
担当:佐伯響子マスター

 不治の病のレイナを助けるため、「徐福の墓」へ向かった大国巴。それを送り出した天都静はホテル「降魔館」に留まっていたが、意志という物が感じられないようなほどの無気力状態である。それを治療しようとしたものもいるが、強力な操作が施されているらしく静は倒れ、寝込んでしまう。

 レイナを治療しようとした物もいるが、進行を抑えることすらできなかった。しばらく様子を見ようとした者の目に入ったのは異臭を放つ黒い染みの付いたテーブルクロスだったが、それが依然にレトリバー犬のマリアがくわえてきた触手と同じ異臭のものとは気がつかなかった。

 降魔館の離れ、ルドルフの部屋を探った者達は噂の生物「イダイ君」にそっくりなものが部屋にいるのに気がついた。臆病そうな生物はあっという間に姿を隠してしまい、一人が壁から延びてきた植物のツタのようなものに襲われたこともあって探索を打ち切らざるをえなかった。

 隠し通路をさがし、発見したものもいる。降魔館の地下一帯に広がるらしい地下通路を通って出た先には、中で何かが蠢く粘性の高い液体の入った水槽のある部屋に出たが、殺気を感じて直後に気を失い、気がついたのは自宅で二度と入り口は見つからなかった。

 降魔館の長期滞在客アドルフに近づいたものもいる。紅茶をもって世間話をする程度には警戒を解けたが、お茶が済むと早々に追い出されてしまい、机の走り書きの「クローン」「天魔御前」「天魔剣」などの単語を読みとることができただけであった。

 マリアが見つけてきた幻覚作用を持つ朝鮮朝顔の出所を調べたものもいる。関係者に聞いてもわからなかったのだが、マリアに導かれて入ったレイナの部屋の箪笥の影で花弁を発見する。また、小さなガラス瓶の中の黒い液体の中に朝顔の種のようなものが漬けられているのも発見した。

 館内に多数ある人形を調べたものを見る。その過程で使った「誘惑」の魔法の為に懐いてしまった人形によると、彼女たちは夜中だけ命を持つ魔法人形で10体ほどいるという。降魔館から離れることもできず、以前の記憶もない。館内で起こる怪異のほとんどは人形達の悪戯であるようでもあった。

 富士山麓にある福元寺の周辺には徐福の幽霊が現れるという。寺の「鶴塚」は200年ほど前、徐福の化身であるという鶴を葬ったものということで本人の墓ではない。そこを訪れた一行の騒がしさに、徐福の幽霊が文句を言いつつ姿を現した。死後もしばらく鶴と化して見守っていたが200年ほど前に眠り、最近大陸で始皇帝が目覚めた影響で起こされたのだという。

 子孫がいるからと話ぐらいはと出てきたという徐福は、墓にはいろんなものがあったはずだが2000年前のことだから細かいことは覚えていない、欲しければ勝手に探せ、罠もあったはずだが墓は自分が作ったものでないから責任もてないなどとかなり突き放した態度だった。

 玲子の実家の高子神社に報告に戻ると、玲子は自分も探索に同行すると言い出した。更に弟のルドルフを呼び、到着まで探索を中断するようにいう。その間に神社の記録を調べていたものは、伝承にあるというレイナの病気の記録も言い伝えも全くないことに気がついていた。

 到着したルドルフに諭されて玲子は神社に残ることになったが、何かあったらいつでも出ていきそうな気配である。巴たちも準備を整え、富士山麓の「人穴」へと向かった。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 レイナの部屋に、食事の盆を持った蓮屋一二三が入ってきた。一二三は、テーブルに温野菜のスープと、ソレル(ハーブの一種)の葉を刻み入れたオムレツ、パンの皿を並べていく。良い匂いがする。レイナも、急に空腹を思い出したかのように、大人しく食べ始めた。
 一二三は医者として、何とかレイナの病気の進行だけでも阻止したかった。その為に、レイナの側にいたのだ。しかし思いつく限り手は尽くしても効果はない。とうとう、医者嫌いのレイナにすっかり怯えられてしまう始末だった。
 そこで、しばらくはただ様子を見守ることとしていた。そして、食事が終わるのを待っていた一二三は、奇妙なものを見かける。部屋の籠に、洗濯にだす汚れ物があった。紅茶でもこぼしたのか、茶色い染みのついたテーブルクロス。それは良い。しかし、その隅に奇妙などす黒い染みがあった。微かに異臭がした。それが、以前あのマリアがどこからかくわえてきた謎の触手と、同じ異臭であることを、一二三はまだ知らない。


 結構情報量多いですね。まとめてみると怪しい点は数多くあるのですが、プレイヤー情報をどこまでを使えるものか。

2001,12,21
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明示二十七年睦月(一月)
第3話(表)「クローンの影」
担当:佐伯響子マスター

 ホテル降魔館では、主人のルドルフが富士の徐福の墓に出かけている間にその私室を探ろうとするものと、守ろうとするものとが戦闘を繰り広げていた。結局侵入組はその目的を果たすことは出来なかったが、騒動の間にそこにいた「あるもの」が出ていっていた。

 「あるもの」こと、謎の生物「イダイちゃん」は料理人のエグ・サンブーカの所でお茶会に参加していた。本人(?)によると、彼はレイナの頼みで南の島から着いてきたのだという。レイナは彼の血を使って「アンブロジア」を作りたかったようだが、それはまだ完成していないらしい。レイナは「こんなひ弱な身体、もうたくさん、間違えた」と言っているという。

 静には「イダイちゃん」の協力も得て作った解毒剤が投与され、触手の付いた種のようなものを吐き出した静は正気を取り戻した。だが、記憶の欠落もあって毒を盛った人物が誰かはわからないままで、玲子が戻るまではここに留まるつもりのようだ。

 降魔館の地下に再び潜入した者達は、そこで異様な生物が培養されているのを見つけた。破壊した水槽からあふれ出たそのクローンたちにはとどめをさして回ったが、現れた静そっくりの少女は掌から剣を生み出し、一同を攻撃する。その姿に躊躇して負傷した一行は撤退したが、クローン達は追ってこなかった。

 降魔館の動く人形、シアを調べていたものは、その髪の中に触手の付いた種のようなものがあるのに気が付く。それをとろうとするのはシアが痛がるのであきらめられた。また、バラ園を調査したものにも同じようなものが付着したがまだ誰も気が付いていない。「最近妙にだるい」というメイドの彩にも妙なものが付いていて、取るのには髪を数本犠牲にするほどだった。

 レイナに「敵」と見なされたと感じているものは、ネズミのような生物に襲われた。一方無邪気な様子を見せるレイナは「静と会うのを邪魔する者達を追い出し、静を出て行かせない」ようにと頼んでいた。

 そして徐福の墓に向かった面々は、最後の扉の前にたどり着いているらしい。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

「……?失礼、髪に何かついています」
 蓮屋一ニ三は、彩の髪にゴミのようなものを見つけ、手を伸ばす。彼は、降魔館の関係者全員の健康診断を考えていた。レイナの病気の手がかりを求めてだ。しかし、レイナ本人もそれ以外の者も、「それどころではない」と否決されてしまった。その為、今も彩に協力を頼んでいるところだった。
「え?ありがと……痛!」
 黒っぽいそれはすぐにはとれず、彩の髪の毛を数本抜く結果となる。それは、黒い種の様な奇妙な物だった。


 こちらのアクションはうまくいかなかったけど、それなりに面白い展開になったかな。しかし舞台が二つに分かれているのは同じシナリオというより、リンクの密接な二つのシナリオという感じ。

2002,01,28
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明示二十七年如月(二月)
第4話(表)「真実の姿」
担当:佐伯響子マスター

 ホテル「降魔館」では怪異が相次ぎ、メイドの彩などは再就職先を決めて準備を進めているほどである。また、人々の頭に付いているのが見つかった黒い種は、風に乗って取り付き人々の体力や霊力を奪っているらしい。「痛いから」と種を取らないでいた者は、それに緑の芽が出ているのに気がつく。

 「イダイちゃん」を恋人のように扱う料理人は、レイナからクローンの失敗作を「食材」として提供し、最大限に養分を吸収出来る料理を自分にも提供するように求めた。

 レイナが黒幕であると感じている者はそれを直接問いつめる。レイナはそれに対して「苛める」と騒ぎ立てる。それにこっそり魔術をかけた者がいることでレイナは眠りにつくが、「睡魔」は弱い効果を見せるに留まる。だが、それが人間であるとは感じられた。

 レイナは彼女に協力する者から、敵対する者のリストを受け取っていた。静は残すが、その者達とホテルの従業員もまとめて追い出すことを決めるレイナを、こっそりと見張る者もいた。

 静はレイナが黒幕であるらしいことや、大国巴がただの人間であるらしいことなどを知らされていた。静の生み出す天魔剣は「力」であり、それ自体に意志などはないようだ。夢で渡された八本の剣に対し、今まで作り出したのは七本。おそらくあと一本しか天魔剣は作れないだろう。プロメテウスが静のクローンを作るのは、天魔剣を作り出せなくなったときに使い捨てるためだと思われた。

 降魔館の飼い犬であるマリアに「獣語」でレイナについて訊いた者もいた。犬の思考では細かいことはわからなかったが、飼われている2年の間に何度か「別人のように」匂いが替わることがあったということだ。

 そこに襲撃してきたのはネズミや蛇に似た怪物の群れだった。数の多さに手を焼く一同は、降魔館の離れであるルドルフの部屋に立てこもることになる。レイナは協力する者達を従え、静を引き渡すのを要求した。

 地下通路でクローン静と相対した者達もいた。戦闘で重傷を負わされたクローン静は、彼女をなんとかしたい者や天魔剣を求める者に助けられて脱出を望んだ。クローンは明かさないが、その先は実は離れがあるはずだ。途中の分岐路で片方を指したクローン静は、「新しい身体を手に入れようという恐ろしい化け物の本体が眠っている」という。同行していたイダイちゃんは正体を知っているが、人間の身体より本体の方がいいと思うとも言っている。

 富士に向かった一行は徐福の墓を発見したらしい。そしてルドルフとの戦闘の最中、逸れた攻撃が「破邪の鏡」に当たり、暴走した鏡は周囲の霊力を増幅。富士山噴火のおそれがでているという。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

「あ、蓮屋さん。これ片づけちゃったら、履歴書持っていきますから。少しお時間いただけます? 大河内さんも、ご心配いただいて、ありがとうございます」
 彩は幸一郎を無視して、その後ろの蓮屋一二三と大河内雅に話しかける。
 彩は医者の一二三に誘われ、その助手になろうと考えていた。内心、看護婦への憧れもあったのである。最近帝都も色々と騒がしく、降魔館の客足も遠のいている。オーナーの玲子が戻りしだい、挨拶をして辞めるつもりで、下準備を始めていたのだ。
「じゃ、すみません。その籠運んでもらえます?」
「これやな、まかしとき」
 気軽に引き受ける雅と一二三と、足早に立ち去る彩。幸一郎は、一人後に取り残される格好となってしまう。口元に苦笑いを浮かべながら、煙草をくわえて火をつける。彩は、一度は幸一郎の誘いに乗ろうとしていた。憧れの銀座で働けるのだから。しかしそれは幸一郎のメイド、マーナナン嬢の知るところとなった。結果、押しかけメイドのマーナナンの嫉妬に、彩は根負けすることとなったのだが、そんな事には全く気がついていない幸一郎だった。


 とりあえずアクションは成功。あちらの事情が無ければわからないところではありましたが。あとはかなり敵の手の内も明かされた模様。

2002,02,26
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明示二十七年弥生(三月)
第5話(表)「地下に棲むもの」
担当:佐伯響子マスター

 降魔館ではレイナがその本性を現し「照らされざる者」達の排除に取りかかっていた。 天魔御前である静のクローン体は負傷している。彼女の導きで辿り着いた先にいたのは、姿を消していた宿泊客の老人アドルフだった。プロメテウス幹部と思われる彼は何も訊かずにクローン静の治療をし、脱出を試みる彼女らを見送った。

 レイナの放った魔物達に追われ、本物の静達は裏庭の離れに閉じこめられている。静は最後の天魔剣「天魔乾闥婆剣」を造りだし、出来る限りのことはやり終えた。この剣には蘇生の力もあるようだ。

 地下に通じる抜け道を発見し、そこからの脱出を試みた静たちはクローンたちと出会う。情報交換でレイナが戦闘しているのを知ったクローンは地上へ向かいたがり、更に静を人質に取られてしまった。

 地上でのレイナの戦闘は、奇襲でレイナが倒されたことで統率を失った魔物たちの敗北に終わった。瀕死となったレイナは降魔館に運び込まれる。

 地下ではクローンたちが「開けてはいけない」といっていた扉の前に立つ者達がいた。この扉の中にいる者こそがレイナを操っていると信じてのことだが、「イダイちゃん」も開けるのには反対意見だった。それでも決着を望み扉を開けた者達は「旧支配者」と遭遇することになる。そして旧支配者の力を借りた霊力吸収植物により操られた者も照らされざる者の妨害に回る。

 レイナは医師が見放す重傷だった。富士から一足先に戻ってきた母親の玲子も錯乱していたが、落ち着きを取り戻したところで聞いたことによると、今はほとんど全ての記憶がぼやけてしまった状態で、それが一年半ほど前に病死した夫の弟、ルドルフが現れてからではないかと感じられるということだった。それまでは夫に弟がいるという話も聞いたことがなかったという。そして玲子は、幼い頃に祖父から聞いた「心と体を癒す」非時《ときじく》の実のことを思い出していた。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 降魔館に運び込まれたレイナは、危険な状態だった。意識も戻らず、呼吸も脈もほとんど感じられない。首筋の脈を探っていた医者の蓮屋一ニ三は、小さく首を振る。メイドの彩を危険から遠ざけるべく、麻酔で眠らせて連れだし、降魔館から少し離れて状況を見守っていた一二三だが、医者を探す剣橋真純たちに捜し出されてしまったのだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 一方、一二三は一通りの手当を終えると、部屋を出ていった。その表情は固い。医者としての経験が、レイナはとても助からないと告げていたのだ。おそらく、既に心停止に近い状態だろう。


 こちらは地味に診察。出来るだけ事件を穏便に済ませたいって感じのアクションでしたしね。

2002,03,23
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明示二十七年卯月(四月)
第6話(表)「決戦の時」
担当:佐伯響子マスター

 オリジナルの天都静を人質にしたクローン静はレイナのもとに向かおうとしていたが、そのレイナが重傷を負ったという情報に動揺し、作りだした天魔剣を次々に奪われては新たに作り出すことを繰り返す。そして8本の天魔剣を作り尽くしたクローンは力を失い、「照らされざる者」が身柄を預かり「芽久美」と名を与えられる。

 降魔館地下の旧支配者はクトーニアンと呼ばれる種類とわかり、弱点である水を呼ぶことで優勢に進んだ戦いは旧支配者に致命傷を負わせる。

 瀕死の旧支配者は地上に出てしまい、暴れ出す。そして「イダイちゃん」の力を借りた魔法陣により異次元の彼方へと飛ばされてしまった。そのエネルギーの余波は地下にいた静たちにも及ぶが、クローン静の作りだした天魔剣がそれを吸収して相殺し、残ったのは別の場所にあった3本だけだった。

 レイナは魔術で傷を塞ぎ、蘇生能力を持つ天魔乾闥婆剣により命を繋ぎ、持ち帰られた非時《ときじく》の実によって元気になった。この後ふたたび旧支配者に操られることはないだろう。

 その後、降魔館からはプロメテウスの影を一掃する仕事が残っていた。アドルフはおとなしく投降し、本国へ強制送還となる。だが生き残っていた魔物たちは回収され、いずこかでプロメテウスの再起を伺っているのだろう。降魔館は玲子たちが再起を目指して活動している。徐福の幽霊も何故か居着いてしまった。そして実はただの人間だった大国巴と、力を使い切った天都静も普通の女子学生としての生活を送っている。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 メイドの彩と話していた天国幸一郎は、その意外な申し出に思わず耳を疑った。クトーニアンとの決戦中は、彩を連れて脱出していた幸一郎だが、戦闘が終わったのを確認して、降魔館に戻っていた。蓮屋一二三の提案で、近所の住人を避難させていたのだ。「地下発電機が故障して爆発しそう」という口実で、万が一にも戦闘に巻き込まないようにしたのである。


 う〜ん、イマイチ消化不良ですね。やっぱりキャラクターを作り直し、というかもう少し方向性の定まったキャラクターを作った方がいいかな?

2002,04,20
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