帝都双月魔術陣044「月に吼えろ」要約
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明示二十六年霜月(一一月)
第1話(裏)「暗き深淵より這いいでてコツリコツリと骨をはむ」
担当:黒田はじめマスター

 「なにわ博」会場から微妙な距離に位置する松沢商店街。池田千鶴と娘の紅葉が切り盛りする「紅葉館」には最近地上げ屋の姿が見られるようになった。もっとものんきな千鶴は気がついてもいないようだが。また、怪物(ハグアル)も出没しており、床屋の主人の水尾誠などは頭を痛めている。

 裏の世界に関係するものは、ハグアルは狂科学者エイルが作り、クォフに率いられているのだろうという見方が一般的である。だが、この商店街が狙われる理由としては「なにわ博会場から見て鬼門に当たり、その先が京都」というような頼りない理由しか見あたらない。「温泉が出そう」などという意見もあったが。

 無貌紳士は「考えているだけでは先に進まない」といい、行動を促す。その彼が紅葉に「エキスポドン」などの怪しげな噂を伝えたのではないかと考えるものもいたが、その横で近所のおじさんが紅葉に「月まで行ける大砲」の話をしているのと同様の噂のようだ。その紅葉は居合わせた者達とパンフレットを見ながら雑談をしていた。会場の土地は竹林がほとんどで、ところどころに畑やすすきの原っぱがあるような所だったという。それで環境破壊がどうのといわれているが紅葉にはよくわからないようで、それよりも彼女にとって問題なのは近所のボス猫「コブタ」に連敗中のことのようである。

 エイルと話していたものは、ハグアルが混乱させるためのものでほおっておけばいいということを告げられる。詳しいことは言わないが、混沌を求めるなら派手にかき回せということだ。

 万博会場には多くの人間が訪れていた。巨大な「月の塔」が目を引く他にも、仏蘭西館の「蜻蛉文花瓶」「花文六角瓶」といったエミール・ガレのガラス器、中国館の前で行われる少年少女の雑伎などそれぞれ人気の展示があり、大通りの突き当たりに位置する大水族館は圧巻である。日本館の1号館の曰く付きの武具の数々には興味を持つ裏の者も多い。

 会場と商店街を臨める位置にある丘の上にはレシュの姿があった。彼の一部を持つ故にたどり着いた者は、獣の顔だった彼が美しい人間の顔であるのに驚く。また、無貌紳士によってたどり着いた者もいる。レシュは無貌紳士に用事は済んだのかと訊き、それに対してまだ誰も気がついていないだろうけどなどと答える間柄のようだ。そして動き出した一行は会場と商店街からの妖気を感じる。レシュは不機嫌そうに獣の牙を見せていた。

 商店街にはレシュと同じ「好色天魔王」を名乗るクォフがあらわれていた。ハグアルを率いていたレシュ自身が戦闘に加わることで押され気味となる一同だが、クォフは傷を負うとハグアルを足止めに退却する。それに協力しようと言う者もいるが、レシュも現れたことで目をくらまして逃走していった。

 足止めのハグアルと交戦していた者の前には「鬼」が現れた。飛びかかるハグアルを粉砕した「鬼」は「俺なんか足元にも及ばない凶暴な鬼」を探しているという。「鬼」は腕に斬りつけられて去っていったが、それを追わせた式神は北の山中で消されてしまった。

 紅葉館には無貌紳士とレシュが宿を取っていた。警戒する者達に対し、レシュはハグアルについて帝都で見られたもの以外の、普段は人間の姿をしていて支配者の命令で活動を始める種類があることを教え、それがいかにして生まれるかが確信へ迫る問題に繋がるといった。

 なにわ博から帰ってきた紅葉は、同行してハグアル退治に活躍した者達を「芸人」と思ったらしい。それを利用しての儲け話も考えているようだ。そして、何かに取り憑かれたようになった紅葉は何かの図面のようなものを描き上げるが、雑でなんだかわからなかった。無貌紳士はそれを見て「とりあえず一つ」と言う言葉を残して去っていった。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 この時のぞき見られていた紅葉は、さっきの悩みはすでにどこかへ行ったか、蓮屋一二三と夜摩寧子、藤代七海が持っていた小冊子に見入っていた。
「最新医療関係の展示は……日本館の四号館ですか。ここは他にも最新科学技術なんかが紹介されるんですね。あ、美術館には世界の文化財もあるそうですよ。面とかもあるかな」
 一二三が冊子をめくり、その度に寧子達が声を上げる。会場の左側には外国の展示館、右側には月の塔を始め日本の物がほとんどである。そして道路を挟んで陸橋で繋がっている南側にはエキスポランドなる遊園地があるらしい。


 前回参加のシナリオから繋がる部分が多いシナリオになります。舞台なども移動して、かなりの人間関係にリセットかかっているはずですが。

 実は今回はアクションも書いてしまってからの要約作業です。いくつも重なってしまいまして。改めてみると、もう少しおもしろいアクションもかけられたかなぁ。

2001,11,26
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明示二十六年師走(一二月)
第2話(表)「なにわ博風雲録〜熱唱編〜」
担当:黒田はじめマスター

 なにわ博会場での騒ぎは「やりすぎた催し物」として処理されていた。一方で「出資者」のエイルの経歴について訪ねた者は「ソドモーラ生まれでエリクサー協会に所属していたことがあり、つい最近になって世界的博愛結社プロメテウスに加わった56歳」という答えももらったが、その国の名前に心当たりはなかった。

 「月の塔」を破壊しようとしたものが現れたが、それは迷惑罪に器物破損などで捕らえられた(その後外交官特権で釈放されたが)。エイルは、もう少しでルナ・レプリカがとつぶやいて去っていった。

 池田紅葉は商店街の馴染み客の体を揉んでいるうちに、数枚の図面を描き上げた。図面は興味を示す者が多くて写しが多数作られて配られている。何かの機械らしい図面は無貌紳士が人々の頭に刷り込み、紅葉によって筆記されるようにされたようだ。混沌を求める無貌紳士はエイルの元から設計図を持ち出して旧支配者復活を妨害しているらしい。また、本人の弁によると「鬼」と彼とは無関係だということだ。

 なにわ博会場では芸人と偽って活動する「照らされざる者」達の前で、ハグアル達が出現する。動物的に行動する故に単純であるが、身体能力の高いハグアルには手こずっていた。更に好色天魔王クォフも登場し、状況は混乱を増す。クォフは力のこもった「歌」により逃げていったが、かなりの騒動になってしまったのは間違いない。

 騒動の最中に月の塔へと潜り込んだ者は、ハグアルの複製を作り出しているのを見つける。エイルと助手の「べっちー」に見つかった者の一人は「プロメテウスの炎」により力を得た者だったが、それ故にプロメテウスに逆らうことは許されず、設計図を取り戻し塔を護ることを命じられる。そして太古の昔より生きている「オリジナル・ハグアル」も姿を現すが、それは獲物を釣るための「餌」だという。

 そしてエイルは万博会場の迎賓館で、各国代表を前にルナ・レプリカについての説明をしていた。それは人工衛星であり、様々な実験、観測による利益を還元する代償として打ち上げまでの情報隠蔽などが依頼された。それはそれぞれの本国とも交渉済みで数日中には正式な通達があるはずという。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 途中、飛び入りで鳴神征一郎が手品を披轟し、蓮屋一二三が仮面の早替えをしながら曲芸を見せて場を盛り上げる。そして会場のノリは特別招待の鳳凰院貴緒が登場した時、最高潮を迎えた。


 いろいろと細かいネタもちりばめられていますが、それを除いてもこのぐらい。そこそこの情報量がありますね。ギャグ入れると情報量は少なくなりがちなのですが、マスターの力量でしょうか。

2001,12,24
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明示二十七年睦月(一月)
第三話(表)「大坂三百ヘクタール」
担当:黒田はじめマスター

 新年を迎えた紅葉館では池田千鶴、紅葉親子も晴着で一同を迎えていた。紅葉はお年玉が目当てのようであったが。

 滞在中の天魔王レシュは勝負事に目が無く、花札で挑んだものもいる。もっとも仮にも神であるレシュはルールを覚えたてでもツキに恵まれ、イカサマでもしないと勝てなかった。ただ、楽しませてもらったからと紅葉の按摩を受けるのは承諾し、結果として新たな図面の一部が手に入った。

 正月も半ば過ぎ、「なにわ博」会場に再びハグアル達が現れた。それに引き寄せられるように出ていった紅葉を追う者達に、千鶴は「あの子は何もしらへんので」と頼んでいた。

 一般人を遠ざけようと結界が張られた会場に、なぜか紅葉は入り込んでいた。また、遠目にも目に付く行動を押さえようと努力するものもいる。そして大勢のハグアルを引きつけるべく行動を開始した。

 ハグアルの原種を巡っては、倒そうというものも捕らえて情報を引き出そうという者もいた。「転移」での攻撃はタイムラグにより易々とかわされ、いつの間にか現れた無貌紳士は「転移」に失敗したものの姿を見せて安易な使用を警告する。

 戦いは混乱したものの、レシュの力を宿した式によって原種を従わせることに成功し、戦闘は収束した。だが、落ち着いて気が付くと紅葉の姿が消えていた。また、この機に会場で行動していた者達は無貌紳士と出会い、「本当に面白いことをしてくれるなら、邪魔どころか手助けだってしちゃうかも」と告げられる。

 「月の塔」内部では、捕らえられた紅葉からエイルが情報を手に入れ、「ルナ・レプリカ」の図面を完璧なものにするべく行動を始めた。また、助手である「べっちー」は実は好色天魔王クォフのもう一人であり、別の場所で倒されたクォフとはまた別の存在らしい。だが、その正体を巡るやりとりの影では等の破壊をもくろむ者がいた。気付くのが遅れたために塔にはかなりの被害が出て、計画の遅れは免れない状況だ。

 そして紅葉館では千鶴もいなくなっていた。何でも鬼のもとにいるらしい。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

「ここ露天風呂といっても、温泉引いてないんですよねえ」
「使えなくなってる女湯の方で温泉掘ろうとしてる人がいるんですけど、どうなってるんでしょうねぇ」
 少し残念そうな小夜に、一二三は柵の向こう側に目を向けた。二人ともいい感じに酒が入っており、ぼうっとした時間を過ごしている。
「温泉が万博会場の下まで続いていて、大量に汲み出したら影響……ないですよねぇ。まあ、それはそれとして、温泉の効用でも宣伝して、有志を集めるぐらいの協力は……。飲み過ぎは毒ですよ?」
「そんな、医者みたいなこと言わないで下さいよ。こう見えて、育児や何やらで色々と溜まってるんですから」
「いや、僕、一応医者なんですけどね」


 う〜ん、マスターから「続編があります」といわれても、参加するとは限らないんだし。そりゃマスター側にしてみれば次も参加して欲しいだろうけど、「続編はありますが、このシナリオだけでも完結します」として欲しいし、続編の方も「前の話を知らなくても問題ありません」として欲しいし。

 ところで、あらためて振り返ってみると前回同様本筋にあまり関わっていないながらも描写量はちょっと多い。単にバランスの都合か、実は重要なポイントだったのか。

2002,01,31
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明示二十七年如月(二月)
044:月に吼えろ
第四話(表)「お願い、会いに時間を」
担当:黒田ばじめマスター

 紅葉がさらわれ、千鶴も不在となった紅葉館は他の者が懸命にもり立てている。一方でエイルは万博取材の記者達に追われ、その悲鳴から照らされざる者達は計画の実行が二日後らしいことを知る。

 さらわれた紅葉は既に情報を引き出され、記憶を操作された上で解放された。

 残された図面を調べ、エイルの目的は新たな「歯車の月」を作り出し世界を混乱に陥らせることだということが判明した。

 照らされざる者達の必死の妨害活動にも関わらず、ルナ・レプリカは打ち上げられた。「月の塔」は単なる発射台であったらしい。だが、エイルの送ってきた通信の感度からはそれが望む軌道に乗っていないことが推測された。エイルは放送で「忘れ物」を届けてもらいたいと要求している。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 念での会話を終え、高松は近くにいる蓮屋一二三に声をかけた。
「蓮屋さん、そろそろ危険のようです。引き揚げ時です」
「紅葉さんを見つけられなかったのは残念ですが……」
 蓮屋は頷くと高松と共に走り出した。


 スケジュールに大幅に遅れて到着です。事情はあるかも知れませんが、とりあえずシナリオの続編には不参加を決定しました。あと、要約はかなり簡単にしています。

2002,03,02
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