エターナルヴォイス:リプレイ要約

 
オープニングC1
「始まりはいつもにぎやか」
原作:龍河 流
作画:藤並 あくる

 マルベリー王国の地方都市、ホリーウッズは賑やかな街で、ここ数日は地球人が降ってきていた。そこの領主で仕事で地球人を集めて保護しているストレリチア・レギアナと、ギルド長で地球人向けの物品の手配をしているバーネット・ブラットワートは、共にそれぞれの意味で有能な人物であるが異常に仲が悪く、地球人が所在不明になったのを互いに相手の仕業だと決めつけてしまった。


 1PCですし、テラネッツということでまずはコミックに限定。次にPCの特徴である「呑んだくれ」が使えるように、酒が豊富にありそうなところということでファンシィウッズ。あとはほのぼのやりたいなぁとC1にしました。


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第1回C1
災いの芽は 緩やかに伸びて
原作:龍河 流
作画:藤並 あくる

 星歴1350年天使の月、ホリーウッズでは「行方不明の地球人」の捜索が行なわれていたが、勘違いであったり、本人の意志で外泊していたり、善意からの親切を受けていたりといった者も多く、現場は混乱していた。そういった情報を整理・総合すると、現状で最低5人の行方不明者がいるのは確かなようだ。

 そんなある日、領主とギルドマスターの館にそれぞれ賊が押し入り、双方共に刺されているようだ。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 ところが、この日は行方不明者の一人が戻ってくるという出来事があったのだ。
「これ以上はお嬢さんには言えねえな」
「言われなくても察しがついたから、もういい」
 三日前から行方不明だと騒がれていた坂倉一虎は、ひょっこりと帰ってきて、いけしゃあしゃあとそう述べた。おかげで対応していたフィオナ・ロンバートの言葉も冷たいが、これは当人が気にしなければ痛くも痒くもない。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 が、坂倉が続けた台詞で、そんな考えは吹き飛んでしまった。
「そういえば、店でしつこく話しかけてきた男がいたな。ロ説くほうが忙しくて、相手にしてなかったけど」
 闘技大会をヴィジョンを使ってやるからと誘われた。そんな話を聞いて、平静でいられるのはティエラの事情に疎い地球人だけだ。その男が誘拐犯かも知れないと色めき立つ力ワトやフィオナに対して、坂倉は単なる遊び人ぶりを披露してくれた。
「顔なんて覚えてねえよ。ギャンブルには、そんなに興味ねえし」


 まあコミックの初回だし、ほとんどのPCが登場しているのかな。その中で2コマ登場、セリフ3つは悪いほうじゃないです。で、個別はプレイングがほぼ通ってます。あぶないかなと思いつつ「怪しい男に話しかけられた」としていたのがよかったかな。

2001,03,05
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第2回C1
繁る葉は 虚ろの影を落とす
原作:龍河 流
作画:藤並 あくる

 重体となった領主とギルドマスターの容体は芳しくない。できる限りの治療は施したが、脳のダメージはどうしようもない。そして、その犯人は地球人であるという噂が流れている。

 その噂には根拠はなにもないのだが、怪しんでいる者がいるからこそ噂も流れる。そして領主の護衛に当たる者の結束も乱れていた。以前からの誘拐事件に加えての2件の暗殺未遂事件の対応に多くの人が動かなくてはならないのだが。

 左手の甲に薔薇十字の刺青があるという犯人の手配状も出されて街に配られているが、特捜隊の活動では騒動が防がれることもあれば騒動を起こしてしまうこともある。

 そんな中で新たに起こっている問題といえば、主催者が不明のヴィジョンを使った闘技大会がある。それはある者の言葉では強盗犯人がその資金で賭け事をして儲けるためだという。また、ギルドの館も放火されてしまうなど、追わなければいけない対象がますます増えていく。

 そしてとうとう領主も亡くなり、跡目が決まるまでは家族の合議で代行されるようだ。また、ギルドマスターも長くはないと言われている。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 細い毛糸を球状に固く巻いて、その上に間に合わせだが皮を張ると、ボールが出来上がる。次にヴィジョンのヴァーンシュタイン、愛称バースを呼び出して、棍棒を持たせる。
 さあ、ピッチャー第一球の後は、やっぱり場外ホームランだ!
「カズは、何をしてるの?」
 フィオナ・ロンバートは、坂倉一虎の意味不明な行動に悩まされていた。野球など知らない彼女は、ヴィジョンに球を打たせる理由が分からない。坂倉は『犯人を無傷で捕える練習』と言うが、それなら直接ホワイトタイガーを差し向けるべきと、彼女は心底から思っていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「複数犯の複数犯罪の同時多発。さあ、漢字で書いてみろ」
 そういう冗談を言っている場合ではないだろうと、守皇院と蘭が思ったことなど無視して、坂倉はご機嫌だった。彼の言う『同時多発』こそが問題なのだが‥‥疑惑だけでは話は通まない。せめて一人なりと、犯人に繋がる人物を見付けなくてはならなかった。この際、酔っ払いのご機嫌おじさんは無視して。

 「現地人を悩ませる地球人」の役割になってますね。そういうポジションは望むところなのですが、今更ながらこれでストーリーにからむのは難しいなぁ。

2001,03,31
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第3回C1
ついた蕾は 死の色を宿し
原作:龍河 流
作画:藤並 あくる

 領主の葬儀は粛々と行なわれた。その後、掠われていた者たちが「銀色の人にさらわれていた」と証言した事から、銀の勢力のものがここにまで攻めてきたかとちょっとした騒ぎになる。

 また、ギルド長と領主の死亡で予想された混乱は腹心達が合議制をとって運営した事で防がれている。そして殺害犯かと疑われていた地球人も「事件を目撃したので隠れていた」と自ら出頭、彼も「銀色の化け物」が犯人であるといった。

 銀の勢力の侵攻の噂はこれまで疑われていた闘技大会の主催者達をギルドが公認するにいたり、これらの団体に保護されていたものが表に出、また、銀の勢力から解放されたという者たちも増えて行方不明者は激減した。

 だが、領主の館は再度の襲撃を受け、急変する事態に素早く対応するために、合議制でなく責任者を選ぶ「選挙」が地球人から提案された。ただ、ホリーウッズの人々はそれについてよく理解していないため行われるかどうかも未定だ。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

「桜の下では、その場で調理したものを食べるのが礼儀。さて、さっさか始めようや」
「酒とつまみがあったら、それでいいと思うがなあ。ま、うまいもんを作ってもらって、お嬢らにも元気だしてもらお」
 花の下で宴を催し、故人の霊を慰める。と、フィエに教えたのは、坂倉一虎である。地球における有名な言棄として、『桜の下には死体が埋まっている云々』と語った彼は、遺族の気持ちを引き立てると称して、宴を決行したのだ。
 当然のことながら、青森以下地球人のうち日本人からは『それは小説の一説だろう』や『桜の下にて春死なむの方がまし』などと異論が相次いだのだが、フィエは坂倉の説明を素直に信用していた。挙げ句に『レギアナ様も湿っぼいのは嫌いだったから』と口にしたので、まだ悲嘆にくれている家族達も集まっての宴が始まっていた。
 こうなっては、本当のことだって言えない場合もある。よって多数の日本人は懸命にも沈黙を守り、粛々とした雰囲気で宴は進んでいたのである。
 その割に、りんごは館の料理長と腕を競い合い、料理にいちいち感想を求めては、どっちが勝ったの負けたのと隅で言い争っている。その脇では酒瓶を抱えて、坂倉が肴の味にいちいち注文をつけていた。
 しかも坂倉の場合、飲んだくれているくせに声が掛かると『地球における花見の効用』などを得々と語るので、結構始末が悪かった。そもそも咲いている花が、かなり似ているが桜でないことは、ほとんどの地球人がわかっている。坂倉だって、当然知っていただろう。だが、酔っ払いに節度や理性を訴えても無駄だ。
 そういう訳で、花を見上げて『魂は世界樹の中にあるのよね』と、これまた出身地の信仰にとっぷり浸っているフィエが事実を知ることはなかった。ちなみに一般的には、魂は冥界に行くものと思われている。


 コミックは扉に一コマ。個別はこんなものでしょう。しかし、ウチのPBM説明ページでやってる「中世風世界で現代民主主義を唱える」をホントにやっちゃってるよ。まあこの状況ならそれほど不自然ではないけど、受け入れられるかはね。

2001,04,28
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第4回C1
頑なな花弁は 開く気配も見せず
原作:龍河 流
作画:藤並 あくる

 ホリーウッズの領主を選挙で決めようという提案に対して地球人達が詳しい説明をしていたが、地球でも長い歴史を経て積み上げられた制度を簡単に理解してもらうのは出来ないようだ。

 また、銀の勢力に対抗するための戦力確保などを名目としたヴィジョンでの武闘大会は盛り上がりを見せているが、そのお気楽さに不安を覚えるものもまた存在する。

 銀の勢力の侵攻の情報に対して、接触したという者に尋問を行なおうという者たちもいた。非公式で、非公開のそれには反発するものもいたが、2人の協力者を得る。だが、その証言は一人が「自由を得るために偽証したが、犯人は人間だった」というものであるのに、もう一人は「銀の顔をしていた」とはっきりしないままだった。

 銀の種族との繋がりを疑われている者もいる。そのものは、少なくとも表面上では紳士的な態度は崩さない。

 ギルドは「亡くなったギルド長の養子」であると主張するものが新たに長となった。また、領主は選挙をまたず、国王の任命により決定された。

 「銀との接触者」の一人は疑いをはらそうと一人で出かけていった後、傷だらけで発見された。彼はほとんど何も覚えていなかったが「呼ぶ声が聞こえた」と言っていた。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 しかし、そういうことに反省しても、それを態度に表わさない男もいるもので。
「さっきのお詫びに、送らせてほしーな」
 聴取の最後に、光に不埒な真似を働いたと怒られた坂倉一虎は、まったくめげない笑顔で光を待っていた。彼は公開質問会へ光を誘った本人だが、皆で取り囲むことになるとは思っていなかったのだ。悪かったと自省してお茶目をすれば痛い目を見て、なかなかいいことがない。
 せめて光に一言謝っておこうとしている割に、また問題発言をかましている。根が明るくかなり軽いのだろう。
「悪気はない奴らだけど、気がきついからさ。根まないでやってくれ」
「ええ‥‥私だって、本当は歌手してないで、お仲間しなきやいけないんだし」
 そのために呼ばれたんだから、恐がっている場合じゃない。そう自分に言い聞かせている光に、坂倉は『呼ばれる』の意味を色々に考えた。
「ま、みんなが不安にならないように話もしてくれたし、歌で気を引き立たせるってのも、いいことだと思うぞ」
 だから気にせず歌ってなさい。ファンも多いみたいだから。そう坂倉が告げると、光がすうと涙をこぼした。自分の何がいけなかっただろうと慌てる彼に、小さく眩かれた言葉は『恐い』と一言。
 やはり光にはもっと配慮をしなきゃいけなかったなと、坂倉はため息をつきながら、俯いた頭を撫でた。光が恐がっているものを彼は確かめず、しばらく見守っていることにしたのである。


 コミックでは背景扱い含めて4コマ。扱いが軽いわりにコマ数多めなのは何か意味があるのかな。と、こういう読み方をするのが下手に経験長いプレイヤー。内容以外から意味を読もうとするのはあまりよくないと思うんだけどね。

2001,06,02
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第5回C1
群れ飛ぶ蜂は 蜜を奪い合う
原作:龍河 流
作画:藤並 あくる

 ホリーウッズの新領主には様々な評判が流れる。しかしその初仕事となる事件捜査関係者との会合の中、いきなり新領主を前ギルド長の暗殺犯だと名指しするものがいたりと紛糾する。そして結局は地球人の一部にも地元民と同じ捜査権を与えるとともに、事件によって利益を得たものは身分を問わず再度の取り調べを行なうこととなった。

 銀の勢力の捜査は新領主の命により費用も用意されて進められていたが、なんら利益を上げられない。一方で領主の館では暗殺されたはずの人物が多数目撃されていた。ギルド館でもやはり怪しい人影が目撃され、調査されている。

 また、新たな襲撃事件も起こっている。目撃された犯人は二人組だが、その一人は自警団のメンバーと見える人物だった。

 新領主に対してはまたも暗殺未遂事件がおき、地球人数人が拘束されたりもする。それに対して新領主は何人かに探りを入れたいようだ。

 そして、新領主は前領主の落胤だという子息があらわれたのを発表した。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 黒木の両手には水の入った桶があり、店の隅に立たされていた。ちなみに発案者は、面白がって色をけしかけている坂倉一虎だったりする。
「我慢だな。女の子を怒らせたらいかんよ」
 勉強会参加理由は『土地の言い回しを覚えて、女性を口説くのに使いたい』な坂倉なので、色には滅法甘かった。ほかにも女の子は何人かいるのだが、色が黒木にかまうのを見て楽しんでいる節がある。黒木にしたら、大変な迷惑だ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「さあて。おじゃま虫は帰るかな」
「なんや、それ。おじさん、勘違いしとる」
 二十歳も違えばおじさん呼ばわりも仕方がないと諦めているのか、坂倉はにぱっと笑った。
「おや。だって、彼が事件の夜のアリバイに、お嬢ちゃんと一緒だったって言ったのは、案外有名だよ?」
「雪夜ー!」
 嘘ではないが、坂倉が様々に含んだ声色を使ってくれたもので、黒木は更なる色の怒りに付き合わされることになった。確かに、この二人が夜間に誘拐犯を探して歩き回っていたことは、そこそこに知られていることではあったが‥‥

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 しっかり両腕と体の間を心持ち離して、二人を背中越しに振り返った坂倉に、光もフィエも思わず笑みを漏らしたのだった。
 文字通り両手に花の状態で、ライブハウス営業に戻ってきた坂倉に、黒木と色の視線は冷たかったが‥‥当人は無くもかゆくもない。


 コミックは扉ページのみの扱い。流れを大きく左右するものにはなっていないようですね。でも個別ではそこそこいい役というか、狂言回しっぽい。しかし次回はどうしたものか。

2001,06,30
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第6回C1
熱に晒された茎は 力を失い
原作:龍河 流
作画:藤並 あくる

 ホリーウッズでは何か企みがあるという噂も囁かれている。

 襲撃事件の犯人として目撃された「地球人」に関しては「地球人の服装」というあまりにもはっきりした目撃証言から、何者かの変装による偽装工作の可能性も指摘されている。対象が女性であった事から、男性ならば小柄な人物であろうとの推測もなされる。同時に初期の襲撃事件について「薔薇十字の刺青」という特徴を故意に示したのではないかとも考えられた。

 怪しいと噂される人物に対して事情を訊こうとするものもいたが、それは新たな対立感情も生むことになる。

 領主の館からは捕えられた人物が脱走したが、前領主の落胤と称する人物の護衛が優先と追跡はされなかった。また、新領主は現ギルド長に対して公文書偽造などの容疑で主立った人物を逮捕、拘束した。彼らは数日後に釈放されたが役職は剥奪、領主の選任による監査役が派遣された。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

「ちゃんと待っててって言ったのに−!」
「都会は誘惑に満ちてるからな−」
 途中で何があるか分からないが、護衛役に警護の役人をたくさん向けるのは大変だろう。と、口上は立派にフィエの護衛を買って出たはずの坂倉一虎は、往きの道中からしてまともに仕事をしていなかった。なんとなれば、少々大きな街に着くと遊びに出てしまうのである。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「借金、不名誉、怪我病気の土産は厳禁です」
 お付きの人々の、地の底から沸き上がるような言葉に耳も貸さず、坂倉は昼の視察の成果を表しに出掛けていき‥‥当然のごとく、何の問題も起こさずに戻っている。お土産は、ホリーウッズとは反対方面のどこだかの銘酒と、味も見栄えもよろしい揚げ菓子。これがあるから、彼のわがままは通っているとも言えた。
 そうして、フィエが国王からの返事をおし戴き、中身は分からないままにホリーウッズに持ち帰った。開封は領主が行なうはずだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 だが、問題のシドが街から消えたと聞いて、いても立ってもいられなかったのも光だった。
「あ〜、泣かせた」
「フィエ嬢も泣きたかったら、胸貸すぞ」
 すでに借りている状態の光にすると、困惑する冗談ではあったが、フィエはそれで胸に来るものがあったらしい。らしくもなくぼそぼそと□にした言葉は、光には聞こえなかったが‥‥
「あたしだって、王様にあの人の話聞きたかったの、我慢したのに」
 期せずして、両手に涙を落とす華の状態になった坂倉は、じつのところ、これが一人ずつだったら、口説けるのにと思っていた。
 こんな男に慰められていると知ったら、二人の態度は変わっていたかもしれない。


 コミックは続けて扉ページのみの扱い。個別の方は登場PC3人で描写量も増えています。いつの間にか若い女の子を騙すオヤジみたいになっちゃってますね。ストーリーにはあまり絡んでいませんが。

2001,09,01
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第7回C1 咲かぬ蕾は 地に堕ちかけ
原作:龍河 流
作画:藤並 あくる

 ホリーウッズのギルドは領主の捜査により多数の逮捕者を出し、監査役もいろいろと悪い噂が流れている。そして8月半ば過ぎに、監査役は残る役員での合議制にという指示を出して辞意を表明したが、その裏には人質をとっての脅迫などもあったらしい。

 街ではヴィジョン使いの名簿が作成されはじめていたが、ヴィジョン能力や現住所などまで調べているとなかなか進まない。

 何かと敵の多い領主は、前領主の落胤という青年を担いだ者達に「正当な後継者に危害を加えようとした」としてクーデターを起こされる。だが、領主は国王宛てに領主の座を譲る旨の書状を出していたのがわかる。結局領主は家族共々「領主の館」から出て行き、前領主の落胤が新領主として名乗りを上げたが、詳細の明かされぬままの交代に不満の声もある。

 そうした権力争いを横目に、「銀」の勢力との戦いに備えて立ち上がった者達もいる。だが、真の敵の姿はまだ見えない。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

「坂倉さん、どうしてすぐわかったんです?」
 大分髪質は荒れてしまったが、かなり薄めの金の髪はウェーブがかかっていて、生来の碧い瞳を強調するメイク。しかも身なりはこれまで着ていたことのないホリーウッズのいささか派手な服で、坂倉一虎の言う通りに、和泉透湖は『化けて』いた。この姿になってからこっち、会う人の大半は初対面の挨拶をしようとする。それから顔立ちで気付く人が半分、声で驚く人半分と、結構みんな騙されているのだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 だが、坂倉は平然としていて。
「だって、このスタイルの良さは透湖嬢とあと何人かしか覚えがない。しかも女性は髪型がよく変わるもんだろ。さすがに顔を見るまでは、自信なかったけどな」
「カズが日頃からなに見てるのか分かった」
 あけすけな坂倉の物言いに透湖は苦笑したし、フィエは嫌みを述べ、倫悟は目を白黒させた。なんとなく冷たくされていると思ったのか、坂倉は倫悟に対して一家言申し立て始める。
「倫悟嬢いるところに、透湖女史ありだ。別々に行動しなきゃ、ヒント与えてるぜ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「あなたの観察眼には恐れ入ったけれど、何か言い掛けたことがあるでしょう?」
「そんな構えられるとあれだが‥‥裾さばきがもたついてたかな。それに透湖女史も、最近はこちらの服装が多いから、見慣れてきたな

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ただし警備員服を見れば小鳥遊、警察制服なら近賀と思うのは、館に関係する人々共通の感覚である。この二人は滅多なことでは制服を脱がないので、後ろから見ても正体がばれている。制服の色が違うから、子供だって簡単に見分けているようだ。
「こっちの女性に透湖女史の服を着せたほうが、混乱すると思うが?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「もしもの時は俺が倫悟嬢、こんがり氏がフィエ嬢を抱えて逃げるとして、透湖女史は羊子ちゃんと走っておくれ」
 ギルド監査役の突然の辞任には、あまりいい噂がない。それゆえに心配した透湖も、ふざけた物言いながら警戒はしている坂倉に多少は安堵したのか、それ以上は何も言わなかった。


 コミックでは一コマ+足だけ。個別の方はバラケながらほぼ全体にわたって。個別の内容の服装に関する下りはプレイングではありません。マスターが書きたかったことを代弁していると見てもいいかも。

2001,10,01
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第8回C1
萎れた茎に 炎近付く
原作:龍河 流
作画:藤並 あくる

 ホリーウッズでは実力行使による領主交代劇もあり、政情が不安定となっている。「銀」の勢力侵攻の噂もはっきりとはしないままに一部の者達が警戒を強めているが、一般人には実感のわかない話しらしい。

 そして9月下旬、本当に「銀」がホリーウッズに侵攻して来た。周囲の農地を荒らした勢力は反撃に撤退するが、再侵攻は確実と見られている。また、銀の勢力の中にはヒュムノスの男の姿もあったという。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

「坂倉さん、でも楽しそうね」
「ハーレムだからなぁ。振り仮名は子守だが」
 小皿に盛られた果物を取り上げて、坂倉も苦笑する。彼はホリーウッズからの文書を届ける使者だが、他に当人主張するところの『子守』もしていた。一応表向きは『道案内』と称する。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「いや、やばい裏通りに女子高生行かせて、行方不明にしたなんて、近賀に言えないなって」
「そんなに危ないところですか?」
「普通の職人なら、犯罪に使う仮面は作らないさ。それに教えてもらった道順だと、その手前が花街だし、女の子はやっぱまずいだろ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「今すぐ戻ったほうがよろしいのでは?」
「そうだよ。はやくしなきゃ」
 由羅と琴美が急き込んで言い募るのを聞きつつ、坂倉は『このままここに居座る』有利さも考えていた。まあ、それは叶わないのは同行者の顔ぶれからも分かっていたが。
 それに、前の領主になったはずの青年と、街中で会っている。これでのうのうとしていられるとは、彼でなくても思うまい。


 コミックでは最後のコラムっぽいカットだけ。個別はちょっと保護者っぽくなってます。

 コミックの方はいろいろと思わせぶりな表現もありますが、文章にするには根拠がないので殆どカット。個別を集めろってことなんでしょうねぇ。

2001,11,05
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第9回C1
それでも花は 実を結ぼうとし
原作:龍河 流
作画:藤並 あくる

 銀の勢力のホリーウッズへの侵攻は膠着状態のまま半月ほどが経っていたが、その裏に地球人の暗躍があることも知られており人々の動揺を誘っていた。

 ホリーウッズから王都マルベリーやミラージュゲートへと応援に向かったものもいるが、実際にはそこに投入された銀勢力は少なく、そちらでは圧勝したもののかえってホリーウッズの膠着状態を長引かせることになる。

 ホリーウッズでは小競り合いも続くが、裏にいる地球人を意識しての混乱もある。そして戦いの最中、地球人達は戦いの後で一度だけ、地球へ帰還する道があることを知らせる声を聞いた。

 混乱の続くホリーウッズにはやがて援軍も到着、同時に「森の巫女」から世界を救う「歌」を教えられた。しかしまだ銀と、裏で糸を引くものの侵攻は続いている。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

 よって、蘭や由羅、真行寺琴実は、国軍の中でうつうつとしていたが、光と坂倉一虎はそうでもなかった。坂倉は軍が一週間足らずで動くのは、決して遅くないと思っていたし、光は蘭が『国軍を囮にして、銀の軍勢をゲートから引き離す』と□にした時点で徹底フォローを心に誓っていた。この辺、この二人はよくも悪くも、酸いと甘いを噛み分けた大人だった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 マルベリーを出て十日の丘陵で、銀と国軍はかちあったが‥‥わずか一日で戦闘は終了した。蘭と坂倉、琴実に、各種魔法の使い手十数人で、僅か百程度の銀の軍勢は壊滅に追い込めたのだ。由羅と光に至っては、出陣すらしなかった。あまりに拍子抜けである。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 あらゆる戦場で見られた戦力の大量投入は、この国では行なわれていない。つまり銀が最も押し寄せているのはホリーウッズとなり‥‥
「最初から戻ってれば早かったとか?」
 それは言っても仕方ないので、坂倉が国軍司令にこのままホリーウッズヘの進軍を願った。更に旋風寺が相手戦力について理路整然と述べたので、司令は国軍の何割かをそちらに割いてくれた。残りはゲートの警備にあたる。


 毎回のこととはいえ、コミックは「映画の予告編」のような感じで流れがつかみにくいです。交流で情報を集める気力がないと楽しみにくいですね。これはプレイヤー側の問題ですが。

2001,12,03
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第10回C1
やがて一粒の種が 荒れた地に落ちた
原作:龍河 流
作画:藤並 あくる

 巫女から伝えられた「歌」は発動し、動きの鈍った銀の勢力は狩られていき、味方した人間達も追われていく。

 全ての「銀」と関係者は駆逐され、ホリーウッズの新領主は王弟となった。以前の領主は王宮に召し抱えられている。地球人も帰還したりしなかったり。街を出て新たな生活に臨むものも、街で希望を見出すものもいる。


☆今回の登場シーン:抜粋☆

「一人で酒場をやろうなんて無茶だって」  坂倉一虎はイー・シャを捕まえて、すでに日課と化した交渉を続けていた。用件は毎日同じく、イーシャが自分のものにしようとしているラクシアの遺した店の経営についてだ。戻ればいいのにと心配半分、白い目半分で見られる現状をものともせず、居残りを決めた坂倉にはちょうどいい就職先である。だって、戻ったって失業者確定で、再就職困難は明らかだし。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「しまった」
 翌日、炊き出し店舗の周辺では、二度と見られないかも知れないプロ野球阪神戦に未練のある坂倉と、野球のルールを布に書いて張り出すのを止めるバシクやりんごの争いが起こり、途中からは布を奪ったリンダがレティの解説でお客とともに怪しい野球知識を身に付ける光景が広がっていた。そうしてイーシャは、そんな坂倉を見捨てて美少年捜しに出掛けている。


 半ばは後日談となっていますね。一虎は抜粋にあるような理由で残っています。この不景気に10ヵ月の無断欠勤ではねぇ。

2001,12,30
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