ORIENTの秘密その12


多石時計と言えば、どうしてもグランプリ100が注目を浴びてしまいますが、
隠れた名品としてグランプリ64も魅力的な時計です。

そこで、今回はグランプリ64の魅力再確認(?)という意味を踏まえて
世界の多石時計(グランプリ64のライバル?)として、GRUEN 65Jを取り上げ
グランプリ64と比較して行きます。

まずは、GRUEN 65Jの顔を見てみましょう。



極めてベーシックな顔つきに、『PRECISION AUTO WIND』と控えめな表記・・・。
決して65石を前面に出した雰囲気はありません。(と言うより、どこにも65石と書いてありません。)
どちらかと言えば、クサビ型のインデックスと落ち着いた文字盤の雰囲気は、高級時計のイメージです。
(実際に高価な時計だったと思われます。)

次に問題(?)の65石機械です。



チラネジ付きのテンプと不思議な形のローターが、見えるだけで一見して多石な気配は
ありませんね。とはいえ、地板の加工もしっかりされており、如何にも高級感のある機械です。

では、65石はどこにあるのでしょう???




画像を見て頂けば分かると思いますが、実は、このローターに工夫があります。
一見ローターと一体化しているように見える外周のガイド部は、ローターを挟んで上下に分割でき、
ローター端を上下から挟み込む様な構造(ガイドレール型)になっています。
このローター端を石入りガイドレールで支える事で回転効率の向上を図っている様です。
機構としては、『ガラ研:ORIENTの謎 其の6』で取り上げたウォルサム100石と外観上酷似しています。


    GRUEN65J と WALTHAM100J


ガイドレールに入っている石数は、片面21個なので、21×上下=42個となり、
ローター以外の自動巻き機械部で残りの石数(65-42=23!!)を使用していると思われます。
従って、ローターのガイドレールにのみ石を使っていると推定されるウォルサム100石とは
異なる可能性もあります。詳細は不明ですが・・・。




では、オリエントのグランプリ64と比較してみましょう。



グランプリ64の方が、なんとなくベーシックな仕上がりである気がします。(根拠ナシ)
ただ、ローターの回転効率に石を多用している意図では、根本的なコンセプトは同じですね。

と、ここまで比較してみましたが、それぞれに考えた事は同じ様な違う様な事(?)ですから、
これは、64対65でも引き分けと言う事にしましょう!! (爆)