ピエロ
細い体のピエロが踊る
丸い口をとがらし
くの字になって
手足の大輪をうちふり
細い体のピエロは踊る
すべての意識を溶かし去った
初夏の光に浮かんで
白い道化服もキラキラと燃える
道化の仕草に
ゆるやかに輪はめぐる
静かに眠る街の石畳に
ボウフラのようにゆれて
光り輝いた悲しみは
その足腰 手つきに
重い重い純金の体をにじませる
膝に涙を落とし
悲しい 悲しい
深く体を折り
とんがり帽子をおどりあげ
青白い窪んだ顔をつきつけ
暗い暗い笑みに
魂を奪われるような
か細いピエロの踊り
おもしろおかしい仕草に
純金の哀愁をにじませて
夏の都の 石畳の上に
しずかに踊るピエロは
心の消えてゆくのを
知ってる
繊(ほそ)い体のピエロは
知ってる