編集・管理人: 本 田 哲 康(苦縁讃)
 
                
貴方はアクセスカウンター番目のお客様です。ようこそ! 
 
 LINK  脳:記憶回路  LINK   脳:記憶とグリア細胞
 
2 精神分裂症とは・・閉ざされた世界である。
 分裂症は、精神病の中の精神病と言われるくらいであって、人と人との関係が維持できない病である。動物にはない、人間のみにある病気だ。
 話の話題は、予想外の方向に進んだり、話題と話題の間に関連がない。しかも、非現実的な妄想も入り交じる。
 現在日本では、50〜60万人の人が精神病に苦しんで居る。それは、人口およそ200人に一人の割合となる。
この絵は、女性が今当に火あぶりになろうとしている。16世木絵である。
彼女は悪魔に魂を売り渡した魔女であるという判決で、このような残酷な刑に処せられようとしている。
 宗教上の異端者・政治的な反逆者・社会のアウトローなど1600年頃を中心として、「魔女狩り」の対象となって数十万人が処刑された。
 この中に多くの精神病患者が含まれていたと言うことである。病気と迫害、精神病にはこのような二つの不幸が込められている。
 分裂病は、”精神病の中の精神病”と言われている。分裂病を見つめていくと、「人間とは何か?」または、「脳とは何か?」と言う大きな課題に突き当たることになる。
 日本には50〜60万人いる。およそ200人に一人の割合である。いわばポピュラーな病気である。
 他の病気にたとえると、肝臓・腎臓・結核と同様、一端治りかけてまた悪くなる場合もある。

 簡単に直る場合もある。
☆ 症状
説明的ではない絵。二つの顔。意識していないが、二つの顔の色が異なる。

急性期には、不安な状況が表現される。「何かが聞こえてきた。」とか言う症状の出ていない時期の絵。   → 多くの眼を描く(紙面に人の目鼻口・輪郭のない顔ばかり)。

部分部分は完結した絵であるが、一枚の絵全体は何かと問われると、何も意味はない絵。これも、急性期。

自分の住んでいる世界と周りの世界の区別が付かなくなる世界→青い空と青い動物。自分らしさが無く、不安の状態を示す。これも、急性期。

進んでくると、Perspectiveな状態が残って、家の絵は左右から見た状態。太陽と月が同じ絵に現れる。
自称芸術家。意味の分からない言語を書き、自分だけの人から犯されない世界を創っている。
慢性のタイプ。同じ絵ばかりを描いて外からの刺激を遮断して自分の世界に入り込んだままである。
不安な状況が表現される 「何かが聞こえてきた。」 色彩の使い方が通常と異なっている。
部分部分は完結した絵であるが、全体的には意味がない。急性期。 自分の住んでいる世界と周りの世界の区別が付かなくなる
太陽と月が同じ絵に現れる 自称芸術家・文字は何語でもない。 同じ絵ばかりを描いて外からの刺激を遮断・慢性
◇ ダリル・カーチ:アメリカ・精神神経科        アメリカ精神衛生研究所「聖エリザベス病院」
 思考が混乱し考えが妄想になってくる。

 誇大妄想や偏執的妄想もある。気分も良くないようで、行動は一貫性が無く奇妙である。
 無意味で無目的な行動を見せる。道で、何かを見かけたときに、声が聞こえてくる。
 非難の声が聞こえたりし、時には、「アレをせよ!これをせよ!」と、指図する声が聞こえてくることがある。心配なことである。

◇ ダニエル・ワインバーガー:アメリカ・精神神経科
 全体的な病気である。行動が奇妙だとか個人的な見方・考え方が変わっているとか、そう言った単純な物ではないのだ。
 人間の持っている最も高度な機能が障害を受けている状態である。
 行動の異常、思考の異常、考え方の異常、部屋の中を動くときの歩き方の異常、感覚の異常など・・。


行動異常。思考障害。自分の世界と周りの世界との区別が付かない。
 外から、言葉で自分に何かを訴えているような気がしてくる。意味のない言葉を発する。


絵を描かせると、色の使い方が特異的である。
 または、芸術家の描くような絵を描いたり、同じ絵ばかりを繰り返して描く。
慢性の場合、発病は生後15〜20年後に現れる。本人は、夢の中にいるような状態。

☆ 原因は何か?
○ 生理学的な異常 ・・・ シナプス間の神経伝達物質に異常が現れる。
 ◇ フラー・トレー(聖エリザベス病院・アメリカ精神神経学者)。
 三分の一の原則がある。三分の一は良くなって、再び分裂病にはならない。次の三分の一は、時々病気が出るといった人で、殆ど普通の人と同じ生活ができる。
 残りの三分の一が、慢性的な患者で病院にいる人たちである。
 慢性の患者には、脳に何らかの損傷がある。
 分裂病を引き起こす引き金が、脳に何らかの損傷をもたらすのである。 
 発病の原因は、本人の育った環境にあり、その間の精神発達に起因するという説:患者の幼児体験が影響しているという。しかし、この説を裏付ける、ものはまだ無い。
 フラー・トレー(アメリカ精神神経学者)は、フロイトは、「手の付けられようがない。」と、診察もしなかった病気である。という。

 しかし、フロイトの弟子は、治療を試みるものもいたが、結果は余り良くはなかった。
 そして、患者の幼児の時の体験が分裂病を引き起こすのだとした。
 しかし、この説を裏付ける証拠もないし、全く正反対の異なる説もある。

○ 遺伝的な要因もあるらしい?!しかし、
それを否定する説もある。
 ◇ アーノルド・シャイベル:アメリカ・精神神経科・・
 発病の引き金の一つは、育った環境にあると言うことが多い。

 最近の20〜30年の研究の結果、分裂病は、遺伝的な要素もあると言われ出した。しかし、だからといって分裂病の親から分裂病の子供が生まれると言うことではなく、その可能性があるらしいと言うことだけである。

 しかし、この説を否定するような事実もある。
 ◇ ダニエル・ワインバーガー:アメリカ・精神神経科 
 20世紀の初め頃から、分裂病の患者には、脳に損傷があると考えられていたが、しかし、脳に損傷のあるのは、慢性の分裂病以外にはない。

 分裂病は、どうやら精神発達に原因があるという考え方が出てきた。

 育て方、薬、学校での体験などで何らかの精神的な傷ができて分裂症になると言う考え方もある。

 ◇ 原田憲一 東京大学精神神経科 は、
 分裂病は、現実とは別の世界辻褄の合わない夢の世界にいるようなものだ。
 妄想とは、従って、正常な私たちでも、夢の中でそんなケースもある。

 正常者と全く無縁な症状とばかりはいえない。人間の心は外に開かれていて、他とのかかわりを持つのであるが、分裂症の場合は、他との関わりがとれなくなってしまう。従って、閉ざされた世界に入ってしまうので、まだ、よく理解できない部分が多い。


  
まだ、原因が明らかになるまでには、時間が掛かりそうであるという。
 (1) 生理学的理解・・・脳の中のシナプス間の神経伝達異常。
通常は、シナプス間で、神経伝達物質が分泌される。この物質が次の神経の「受容体」に伝わる。分裂症の場合には、このシナプスの神経伝達物質のところに異常があるであろうと見られている。
神経細胞間には、間が開いている。 刺激が来ると・・・次の細胞に伝える。 シナプスの神経伝達物質のところに異常
正常なシナプス 神経回路
☆ 一つの仮説:
→ 情報伝達物質が必要以上に分泌されたり、間に壁ができて、神経伝達物質を再吸収しないための、余計伝達物質が伝わってしまう。興奮状態が続いてしまう。
「メタアンフェタミン・覚醒剤」を注射すると、首振り運動を起こす。

 これが、分裂症と同じ症状だと思われる。

 (2) 心因的異常
 ・・・思春期までの過程で、人間関係のゆがみが生じ挫折するケース。
 分裂病のバックグラウンドが明らかになるにはだいぶ時間が掛かると思われる。
 生まれてから思春期になるまでに、次第に自我が発達してくるのであるが、自我が発達する過程で、様々な影響を被って、思春期になって人間関係にゆがみが生じたり挫折したりして、分裂症の引き金になっていく。分裂病の生物学的な理解(シナプスの異常)と、この心因的な理解の、両方を視野に入れてアプローチする必要がある。・・・という。
 ◇ 薬の応用:聖アン病院(フランス・パリ)のアンリ・ラボリ博士:心理薬理学者。)
 分裂病の治療は、薬の発見で大きく変わった。当時は、麻酔薬も進歩していなかったのだ。
 彼は、分裂症患者の多くが、手術を受ける一週間も前に、不安が募ってきた。しかし、犬や猫のように不安でも大騒ぎができない。後戻りできない、追いつめられた心境になる。そんな状況下の、心配によるストレスに苦しんでいる患者の姿を見て、緊張を取り除き薬によってこのストレスを和らげることを考えた。
 いろいろな薬を試したが、結果、「フロールプロマシン」:”ラボリの遮断性カクテル”に行き着いた。患者は、肉体的にも精神的にも落ち着き、そして冷静になるようになったのだ。薬は、神経伝達物質を受け取る受容体をふさぐために、精神の無駄な興奮を抑えることができるようである。
病院には興奮を抑えきれない患者が多かった 大声で歌を歌っている患者
脳全体が激しく興奮している 前は、妄想が多かった。今思うと馬鹿らしいという。
◇ 石川 元 :浜松医大 精神神経科は、薬の効果を患者の描く絵によって示した。
心が硬直した状態 → 心が穏やかになった状態
○ 四角い虎の絵を各患者が、丸い輪郭の虎を書くようになった。

○ 花をかかせると、大きな変化が構図に現れた。 など。
興奮で、神経が枯渇した状態 → 薬で、心が豊かになった様子。

◇レウェリン・ピジェロウ・:アメリカ精神神経科は、
分裂症患者の脳は、「脳全体が、激しく興奮している。」と、・・・・。

◎ 「天才と狂気は紙一重である。」と言うが、歴史を振り返ると人間の狂気というものが歴史を進歩させたという事実が沢山あると思う。
 いわば、人類を進歩させたのは人間の中にある狂気であったというわけである。
 その点では、誰しも「狂気」と無縁であったわけではないわけである。
 人間、皆、の内にあるものだ。社会とのかかわりの中で、努力していかねばならない問題である。

 ◇ 原田憲一 東京大学精神神経科 は、30年の経験から
 「これは、誰でも罹りうる病気である。
 だが、まだまだ社会復帰活動は不十分で、本来ならば退院しても良いはずの患者が、病院にとどまらざるを得ない場合が多い。」と述べている。