黒い頭
いばらの垣根が高かった
くずれそうなワラ屋の壁と
あいだに道が
せまく暗かった
せまいせまい いたい場所
戦争が死んだあとの子供達
あさ黒い土の上の石ころのように
カランと素朴に笑ってた
しずかに歩む心よ
幼いその
黒い影
はてもなく
つかれた白い光
うつむき
ゆくりゆくり歩む
大きく 頑固そうな黒い頭
その老いの顔も消え
寂しい遊びが
ひっぱられてゆく
軒下の
低い垣根の下の
手造りのワラ屋に住んでた
カーブじいさんが 死んだ
曇った空は
よごれた綿のようにかぶさり
小づくりの黒い板塀が
白目むく
そんな気のする日だった