測量・登記

境界標を設置するためには、筆界を決める必要があります。
筆界は土地の所有者同士で自由に決めることができないものです。

※所有権界ではありません!あくまで筆界です!

なので、資料を集め、現地の使用状況、土地の形、登記簿に記載されている土地の面積、その土地の慣習などに基づき過去に定められた筆界を特定していなかければなりません。
ここでは、その特定方法を順に紹介していきます。


注記:下記の情報は書籍・ネット上の情報を参考に私なりにまとめたものです。 
   かかる費用は場所によって若干の差異があります。あくまで参考程度にお考え下さい。

 

参  考  図

参考図1

 

 

調査士による筆界確認

資料調査から始まり、現地調査、測量、立会い、境界標埋設まで、上記の参考例でいくと、 およそ25〜35万円になります。土地の面積や、障害物の多さ、資料の有無によって、 測量費は変わってきます。調査士は資料の提示、説明をして納得してもらえるよう最善を尽くします。 しかし、様々な事情で立会いの協力・了承が得られない場合があります。その場合は・・・↓

 

 

調査士による筆界特定制度

@お隣さんに立会いの協力が得られない

Aお隣さんの行方がわからない

B筆界について争いがある

C土地家屋調査士が資料に基づき説明をしても、双方の意見が食い違う

Dいわゆる「筆界未定地」の解消。

 

上記のような理由で筆界特定制度を利用することができます。一方の当事者の同意がない場合であっても、筆界について公的な認定判断を示す制度です。筆界特定制度は過去に定められた筆界を特定する制度です。新たに形成することはできません。調査を尽くしても筆界の位置が不明の時は、線ではなくて筆界の位置の範囲を特定することになります。
(A-Bの線で特定するのが難しいときは、赤線で囲った四角の範囲で特定する)

 

参  考  図

参考図2

 

 

筆界特定の申請がなされると、原則として法務局で現況等把握調査を行ないます。
申請書に添付された図面等では筆界を現地で特定することが難しいとされた場合、 特定調査に要する測量費が別にかかることになります。

 

 

<筆界特定制度の併用>

・裁判所における調停との併用

・境界確定訴訟との併用

・所有権確認訴訟との併用が考えられます。

 この場合、筆界特定されたあとで、境界確定訴訟の判決が筆界特定の内容と 異なる部分が会った場合、抵触する範囲で筆界特定の効力を失うことになります。
つまり、「境界確定訴訟」の判決の内容のほうが「筆界特定」の内容に優るということです。

 

<筆界特定制度の申請にかかる費用>

申請手数料は対象土地の価格によって決まります。

上記参考図の1番2番の土地がそれぞれ2000万 である場合・・・両土地の合計額は4000万円

公式(ここでは省略します)に当てはめて計算すると申請手数料は8000円となります。

添付図面では筆界の特定が難しいとされた場合にはさらに測量費がかかる場合があります。

 

 

境界問題相談センター(ADR)

これは、裁判外紛争解決制度です。話し合いによる紛争解決をめざします。
このADRの特徴は、筆界の確認だけでなく、その筆界が不明であることによる所有権界を決める制度だということです。

 

ポイント!
筆界は土地の所有者同士が自由に決めることはできません。
ですが、所有権界は話し合いで決めることができるものです。
話し合いには「弁護士」「鑑定人」「調停員」が専門的知識をもって解決に取り組みます。
ただし、手続を開始するには、相手方の合意がなければ開始できません。
土地所有者同士が 「この際はっきりさせましょう」という気持ちがなければ、利用出来ない制度です。 (調停手続は非公開になります)

 

<ADRにかかる費用>

あいち境界問題相談センターでは・・・

申立手数料
調査手数料
期日手数料
成立手数料
測量・鑑定手数料
21,000円
31,500円
5,250円×回数
157,500円
事件ごとに見積り・予納

 

と、いうことで・・・およそ215,250円〜+測量費という計算になります。

通常の境界(筆界)確定訴訟や、土地所有権確認訴訟などの裁判に比べたら

解決までの時間は迅速で、柔軟的です。 その裁判となると・・・↓

 

 

境界(筆界)確定訴訟

その特徴は・・・

 

1.土地の筆界を決めるのは裁判官
・・・・境界確定は専門性の高い分野で、裁判官がその分野に精通しているとはいえません。
  裁判官にかかる負担も大きいと思われます。

2.長期化することがある
・・・・請求を棄却することができず、必ず確定しなければならないのに、証拠が不足している
  場合が多いので、必然的に長引いてしまいます。

3.費用がかかる
・・・・鑑定費用、訴訟費用、弁護士費用、図面作製費用
  (資料の収集は訴えた当事者がすることになるからです)

4.対立構造をとる
・・・・お隣同士で原告と被告という対立構造をとることになります。隣人関係に悪影響を及ぼし、
  子孫にまで遺恨を残すことになるかもしれません。境界確定訴訟は請求の棄却が
  出来ないので少ない資料ながらも必ず境界を確定します。しかし、かかった費用と
  境界確定で得た利益を比べると・・・?

 

土地の筆界を決めるのにいろんな段階があることがわかりますね。土地や建物に関して聞きたい事がある、相談したいことがあるときはまず、お近くの土地家屋調査士を訪ねてみてください。
相談料は、1時間3500円ほどです。
いろんな情報が得られれば、不安を解消する道が見えてくるかもしれません。